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店巡り

翌日。


王都の大通り。


「今日は買い物!」


ララが元気いっぱいに歩いていた。


「何を買うんだ?」


真銀が尋ねる。


「特に決めてない!」


「決めてないのか。」


ライが小さくため息をつく。


「見て回るだけでも楽しいもん!」


「それもそうですね。」


アイシィが微笑む。


千乃も神靴で軽やかに歩きながら、いろいろなお店を見ていた。


「かわいいお店いっぱいだね。」


『人の街というものは、見ていて飽きぬな。』


ミルも肩の上から周囲を見回している。


---


しばらく歩いていると。


「わぁ!」


千乃が一軒のお店の前で足を止めた。


ガラス越しに並んでいるのは、小さなアクセサリーだった。


星。


羽。


雪の結晶。


月。


色とりどりの飾りが並んでいる。


「きれい……。」


ララも目を輝かせる。


「入りたい!」


「少しだけなら。」


真銀が頷いた。


店内へ入ると、店主が笑顔で迎えてくれる。


「いらっしゃいませ。」


千乃は並んでいるアクセサリーを一つひとつ見ていく。


「これかわいい。」


手に取ったのは、小さな星形の銀色のチャーム。


すると隣でララが声を上げた。


「あっ!」


「千乃、それ見て!」


ララが指差した先には。


真紅の小さな羽を模したチャーム。


「羽だ!」


「ほんとだ。」


アイシィは雪の結晶の飾りを見つける。


「これも素敵ですね。」


ライは青い狼を模した金属細工を手に取った。


「……よくできている。」


真銀は少し離れた棚を眺めていた。


そこには。


夜空を模した、深い紺色の小さなキーホルダー。


銀色の星が一つだけ輝いている。


「これ、真銀っぽい!」


千乃が笑う。


「そうか?」


「うん。」


ララもうんうんと頷く。


「ぴったり!」


真銀は少し照れくさそうに頭をかいた。


「そういうものか。」


---


「ねぇねぇ!」


ララが突然手を叩く。


「みんなでおそろいにしない?」


「おそろい?」


「うん!」


「形は違ってもいいからさ!」


「同じシリーズ!」


千乃は嬉しそうに笑った。


「いいね!」


アイシィも頷く。


「思い出になります。」


ライは少し考えた後、小さく笑う。


「悪くない。」


真銀も静かに頷いた。


「じゃあ、それにするか。」


みんなはそれぞれ、自分に合ったデザインを選ぶ。


千乃は星。


真銀は夜空。


ララは羽。


ライは狼。


アイシィは雪の結晶。


ミルは小さな白い竜。


会計を済ませると、それぞれが大事そうに受け取った。


ララは嬉しそうに掲げる。


「これでみんなおそろい!」


「形は違うけどね。」


千乃が笑う。


「だからいいんだよ。」


真銀も自分のキーホルダーを見つめ、小さく微笑んだ。


「なくさないようにしないとな。」


「絶対なくさない!」


ララが元気よく宣言する。


ライが静かに呟く。


「……その台詞、一番心配なのはララだ。」


「えっ。」


「確かに。」


真銀が苦笑すると、みんなも思わず笑い出した。


笑い声を響かせながら、一行は次のお店へと歩いていった。




「いい匂い!」


ララがぴたりと立ち止まる。


その視線の先には、ずらりと並ぶ屋台。


焼き鳥。


串焼き。


焼き菓子。


果物飴。


甘い匂いと香ばしい匂いが通りいっぱいに広がっていた。


「屋台だ!」


「昼ご飯は食べたばかりだぞ。」


真銀が苦笑する。


「デザートは別腹!」


「まだデザートじゃない屋台もあるけどな。」


千乃もくすっと笑った。


「ちょっとだけ見ていこうよ。」


「まあ、それくらいなら。」


---


「これ見て!」


千乃が足を止めたのは、リンゴ飴の屋台だった。


赤くつやつやと光るリンゴ飴が並んでいる。


「きれい。」


ララの目が輝く。


「食べたい!」


「一本だけな。」


真銀が言う。


「やったー!」


ララは飛び跳ねた。


千乃も一本選ぶ。


「私も食べてみようかな。」


アイシィはぶどう飴を手に取り、ライは焼き串を一本買う。


ミルは肩の上から興味深そうに眺めていた。


『人は果物まで飴で包むのか。』


「お祭りとかだと定番なんだよ。」


千乃が説明する。


『なるほど。』


---


「いただきまーす!」


ララが勢いよくかじる。


カリッ。


「おいしいー!」


口いっぱいに笑顔が広がる。


千乃も小さくかじる。


「ほんとだ。」


「外はパリパリ、中はしゃきしゃき。」


真銀はその様子を見ながら笑う。


「そんなにうまいか。」


「一口食べる?」


千乃がリンゴ飴を差し出す。


「いや、自分のを食べろ。」


「そっか。」


千乃は少し笑って、もう一口かじった。


---


その時。


「……あ。」


ララの手からリンゴ飴の棒がするりと滑る。


「落ちるー!」


地面まであと少し。


その瞬間。


シュッ。


千乃が片手でひょいっと受け止めた。


「はい。」


「すごーい!」


ララは目を丸くする。


「ありがとう!」


「間に合ってよかった。」


真銀は苦笑した。


「反応速度まで上がってるな。」


千乃は少し考えて答える。


「神化の影響……かな?」


ミルが静かに頷く。


『身体能力全般が向上している。』


『今の程度なら、ほぼ無意識でも反応できるだろう。』


「便利だね。」


「便利というか、すごすぎる。」


真銀が呆れたように笑う。


---


屋台を見て回っていると、ララがまた立ち止まる。


「わぁ!」


今度は綿あめだった。


「雲みたい!」


「食べるか?」


真銀が聞く。


ララは数秒悩み……。


「今日は我慢する!」


全員が少し驚く。


「珍しいな。」


ライが言う。


「リンゴ飴食べたし!」


「また今度のお楽しみにする!」


千乃はにっこり笑った。


「それもいいね。」


「うん!」


ララは満足そうに頷く。


こうして一行は、屋台の賑わいを楽しみながら、ゆっくりと王都の通りを歩いていった。

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