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第325話 最高の冒険者に会っちゃいました

評価やブックマーク等、応援して下さった全ての方、ありがとうございます。


「フフ、フフフフフ! そーだ。何の説明も無しにやるのも可哀そうだから、少しだけ注意しといてあげますねー」


「何を言ってやがるんだよ?」


「まーまー、そう言わずに、見といて下さい♪」



 僕は模擬戦場にある、石柱の前まで足を運んでから話を続けた。



「貴方達の様なゴミクズに武器何て使いませんけど、まずは軽いパンチから説明しますねー」



 パンッ!



 僕は石柱に軽くジャブのようなパンチを繰り出すと、当たった部分の石が弾け飛んだ。



「はぁ?」


「まあ、ジャブみたいなものですね、手足なら大丈夫かもしれませんが、頭や胴体に当たったら危険なので躱して下さいね~」


「次は、普通のパンチです♪」



 ボッ! ドゴンッ!



「ひっ!」



 僕が繰り出したストレートが石柱に当たると、その部分は砕け散った。



「これは、ストレートとかフックですね~


もし当たったら、その部分は無くなると思って下さい。メッチャ危険です。


次は、寸勁って呼ばれる技です♪」



 石柱に手を触れ軽く寸勁を放つと、背後の石が弾け飛びガラガラと石柱が崩れ落ちた。



「ひゃああああああああああ!!!!!」


「これはヤバいですよー、僕に触れられたら、その時点で死んじゃいますね~


触れたのが手足だったとしても、頭を吹っ飛ばす事が出来ちゃいます♪


さって、説明は終わりです、さー、やりましょうか」


「ひっ!」


「・・・ヨウ君。ブチ切れてるわね?」×ナギサ


「私達まで手を出すって言っちゃったんだもの、当然よ?」×アヤメ


「自業自得だよ」×ツドイ


「フフ、こうなると、もはや哀れとしか思えませんね」×リラ


「ま、待ってくれ、違うんだ」



 パンッ! どさっ



「あー、躱さないと駄目じゃないですかー


あーあ、顔面に真面に食らっちゃって、前歯が全部消し飛んじゃいましたね。


ところで気絶したら終わり、ってルールなんてありませんよね?」



 ドカッ! 



「あれっ? 足を踏み潰しても起きませんね・・・良いのかな早く起きないと死んじゃいますよー」


「ヒッ! ヒィィィィィィ!」


「ま、待ってくれ、終わりだ。もう終わりだ」


「あはは、なに勝手な事言ってるんですか♪ さー、此処に居る皆さんも行きますよー」


「や、止め・・・」


「ほーら、ゆっくり攻撃して上げますから、ちゃんと躱して下さいね~


よいっしょ!」



 ドッゴーーーーーーン!



「うわああああああああああああああ!!!!!」



 僕はワザと大振りにしたパンチを、コンクリートの床へ叩きつけると、ボッコリと大穴が空いてしまった。



「あはは、何を逃げまくってるんですか? 僕が弱そうに見えたんでしょ? 早く掛かってきて下さいよ」



 ドゴン! ドカンッ! バッコーン!



「ヒッ! ば、化物だぁあああああ!!!!!」


「あ~ そんな失礼な事を言ったら、温厚な僕も怒っちゃいますよー、スキルも使っちゃおうかな?」


「あ、あああ」


「<風斬>いっきまーす!」



 シュババババババババババ!



「ぎゃあああああああああああああああああああ!!!!!」


「た、助けてくれーーーーーーーーーー」



 一応<風斬>は当たらないようにしたけど、天井や壁に当たった<風斬>により、破片が無数に飛び散ることになった。


 建物内で使うようなスキルじゃないんだけど、手当たり次第に乱射したから、既に建物は崩れそうなほどボロボロになっていた。



「な、何事だ、なんだこれは? 一体どうなってやがる」



 僕は逃げ回るクランの男達を追い掛けながら叩きのめしていると、2階から偉そうな人が下りて来たようだ。


 だけど、そんな事は僕に関係ないので、好き放題に暴れまわっていった。


 一階にいたクランメンバーを全員叩きのめし終わる頃、二階から下りて来た者達に近づいていった。



「さて、皆さんも準備とかは良いですか?」


「ま、待て! お前はSSランクの三日月陽か?」


「そうですけど?」


「・・・馬鹿な。あの話しは本当だったのか」


「あの話し、って何ですか?」


「い、いや、なんでもない・・・」


「ウチのメンバーの誰かが、お前にちょっかいを掛けたってとこか?」


「フフ、お前とは誰の事を言っているのですか?」


「クッ! 三日月さんに迷惑を掛けたのか?」


「そうですね。僕が皆と気分よくダンジョンに行こうとしてたのに、このクランのおっさん達が稽古を付けてくれって言って来たんですよ。本当に大迷惑ですね」


「すまん。迷惑料も払うから、許して貰えないだろうか?」


「あ~ 別に良いですよ。この模擬戦に僕が勝ったら、クランメンバー全員の全財産を貰えるらしいですから」


「なっ、なに?」


「フフ~ もう迷惑料を払えるお金なんて無かったりして」


「さて、もう残ってるのは貴方達だけなんですよ。頑張って僕に勝たないと破産ですよ?」


「こ、この馬鹿野郎共が・・・」


「待ってくれ。俺はこのクランリーダーだが何も知らなかったんだ」


「此奴等が勝手にやったことだ。もう許してくれないか?」


「ふむふむ。別に良いですけど、降参って事ですよね? クランメンバー全員の全財産は頂きますよ?」


「そ、そんな馬鹿な。此奴等は好きにしてくれて良いからクランは許してくれ」


「それは駄目ですよー、僕が賭けたのは<鑑定>スキルオーブですよ?


それどころか、僕が負けたらアヤメさん達やシュアンさん達まで手を出そうとしてましたし。


徹底的に、叩き潰しとかないと?」


「グッ! どこまで馬鹿共なんだ・・・」


「今更、後悔したって遅すぎでしょ? どうせ今までロクな事してこなかったのは明白なんだから」×アヤメ


「フフ、言っておきますが、ヨウ様を敵に回して、これぐらいで済むのは幸運なのですよ?


もう、分かっているのではないですか?」


「わ、分かった。全財産を渡すクランも解散するから、どうか許してくれこのとおりだ」



 クランメンバー全員を再起不能になるまで叩き潰してやろうと思っていたけど、事務職員だろうか何人か女性も居る事だし許してあげるか・・・



「ん~ しょうがないですね。不本意ですけど、そこまで言うなら許して上げようかな。でも、次は無いですよ?」


「分かった・・・感謝する」


「あっ! そうそう。この建物はもうすぐ崩れると思いますから、早く逃げた方が良いですよ?」


「な、なに?」



 僕達はこのまま放置しても良かったんだけど、一応気絶して倒れている男達も外へ運びだしてあげた。


 すると、タイミングを見計らったかのように、『ドーシー』クラン本部は音を立てて崩れ落ちた。



「あ、ああ、あああ・・・」


「おー、危なかったですね」


「もうギリギリじゃない。ヨウ君やり過ぎよ?」


「あれ以上の手加減は難しいですね。でも、ゴミは綺麗サッパリの方が良いでしょ?」


「まあね♪」


「お、終わりだ・・・中国一のクランまで上り詰めたのに、たった1日で」


「何言ってるの? 中国一のクランは、どう考えても『力拳』でしょ?


悪い事ばっかして伸し上がったクランなんて、誰も認めないわ。


これに懲りたら、もう悪い事はしないことね」×シュアン



 僕達は放心状態になっている男を残し、その場を後にした。


 悪い事ばかりしてたんなら、同情する気持ちにもなれないしね。


 それよりも、すっごく気になる事が出来てワクワクが止まらない。



「シュアンさん、シュアンさん」


「えっ! どうしたのヨウ君?」


「クラン『力拳』って、シー・ウェイさんがリーダーしてるとこですよね?


ひょっとして知り合いなんですか?」


「ええ、何度か話しをしたぐらいだけど・・・」


「うわー、うわー、会いたいです! めっちゃ会いたいです! シュアンさんの紹介で会えたりするんですか?」


「えええっ!」


「ひょっとして、ヨウ君ファンなの?」


「大ファンです♪」


「うはーーー!!!!!」×シュアン達


「・・・ひょっとして、そのシー・ウェイさんって、如何にも冒険者って言うような大柄の男性だったり?」×アヤメ


「しかも、メチャクチャ筋肉質の豪快な人?」×ナギサ


「ハハ、まあ、そんな感じです」×シュアン


「ヨウ君の理想な冒険者だー」×アヤメ達


「あはは、メチャクチャ格好良い冒険者なんですよ」


「会えるんなら是非、是非、サインが欲しいんです!」


「そ、そりゃ有名人だからクラン本部も知ってるし、聞いてみるぐらいはできるけど?」


「やったーーー! わーい、わーい♪」


「フフ、ヨウ様、ダンジョンは宜しいのですか?」


「あっ! ごめんなさい。そう言えばダンジョンに行く予定だったんでした」


「良いわよ、ヨウ君が会いに行きたいならさ」×シュアン


「んふふ、そんなにヨウ君が会いたい人なら、私達も見てみたいしね」


「そ、それじゃあ?」


「うふふ、一度聞いてみるわ」


「ありがとうございます」



 僕は嬉し過ぎて皆にお礼を言いながら、シュアンさんに案内して貰い、スキップしながら向かう事になった。



◇    ◇    ◇    ◇    ◇


 <クラン『力拳』シー・ウェイ視点>


「あ、兄貴、大変だ! 兄貴ー」


「馬鹿野郎! リーダーって、呼べって言ってるだろ?」


「それどころじゃないんです」


「何をそんなに慌ててやがんだよ?」


「『ドーシー』が、あの『ドーシー』が」


「また、あのクソ野郎共か? 今度は何をしやがった? もう我慢ならねえ叩き潰してやる」


「ち、違うんです、あの『ドーシー』が解散。いや壊滅しました」


「は、はあ?」


「あの悪名高い『ドーシー』がか? 俺でも手を焼くような奴等だぞ」


「そうです、間違いないです。俺のツレが教えてくれたんです。そうだ、写メも送ってくれたんで、これを見て下さい」


「なんだこりゃ、これって『ドーシー』のクラン本部だよな?」


「そうです。昨日までは確かにあったのは間違いないです」


「・・・それにしても、見事に倒壊してるじゃねえか、壊滅って言ったのが分かるぐらいによ。んで、原因は分かってんのか?」


「それがどうやら、あのSSランクに潰されたそうです」


「はぁ? SSランクって日本に居るっていう、あの少年かよ?


何かの間違いじゃねえのか? なんでそんな有名人が中国に居るんだよ?」


「それが、シュアン達と一緒に居たとか」


「あの別嬪さん達か・・・そういや、日本に行って帰ってきたとこじゃねえか。


おいおい、あり得るじゃねえか? あの別嬪さん達ならSSランクだろうと靡くだろ?」


「でも、SSランクのパーティ面子は、シュアン達より遥かに綺麗な女性達ですよ?


シュアン達も、凄く美人になって帰ってきたらしいし」


「・・・まあ、シュアン達が連れて来たのは間違いなさそうだな」


「それにしても、まさか勢力拡大の為に連れて来たんですかね?」


「いや、それはねーって、彼奴等はクランにも入らねえし、作らなかったからな。


たった1パーティでやってた奴等が、勢力なんて欲しくねえだろうよ」


「それじゃあ、何か違う理由があるとか?」


「分からねえな・・・」


「た、大変だ。兄貴ーーー!」


「今度は何だよ?」


「き、来たんだ」


「だから、何がだよ?」


「シュアン達がSSランク、三日月陽を連れて来やがった」


「はぁああああああああああ?


『ドーシー』の次はウチって訳じゃねえだろうな?」


「ど、どうします、兄貴?」


「馬鹿野郎! どうするもこうするも、出向くしかねえだろうが。


何しに来やがったか分からねえが、俺がケツを見せれるかよ。


行くぞ。お前等」


「は、はい」


◇    ◇    ◇    ◇    ◇


 <北京ギルド本部 イー・ヤン視点>


「部長! ヤン部長ーーー、大変です」


「待て、ちょっと待て・・・ふぅ~ 何だこの嫌な予感は・・・お前は、ほんの2時間程前に、三日月陽の尾行を命じたのは間違いないな?」


「はい、その通りです」


「落ち着け! 落ち着け、私・・・良いだろう。何があった?」


「『ドーシー』が、あの『ドーシー』が」


「まさか、『ドーシー』に三日月陽が攫われたんじゃないだろうな?」


「い、いえ、『ドーシー』が三日月陽に壊滅されました」


「はぁあああああああああああ?」


「待て待て待て待て! どうやったら、そんな斜め上の回答になる?」


「ほ、本当なんです、もう『ドーシー』のクラン本部は瓦礫の山になってます。ほら、この写メを見て下さい」


「・・・たった、2時間程前だぞ?


にこやかな笑顔でダンジョンに向かった、あの可愛らしい少年が何をして、どうやったらこうなる?


悪名が高いとはいえ、中国でも最も勢力があるクランの1つだぞ?


SSランクの冒険者とは、ここまで私の理解を超えるのか・・・」


「そ、それだけじゃないんです」


「嘘だろ? 嘘だと言ってくれ」


「『ドーシー』のクラン本部を壊滅させた後、次は『力拳』のクラン本部に入っていきました」



 ガタッ!



「あ、あそこは駄目だ!


悪名高い『ドーシー』とは訳が違う、中国で一番大きなクランなんだぞ?


か、神よ・・・


駄目だ、駄目だ、駄目だ・・・行くぞ」


「はい?」


「手遅れかもしれないが、止めに行く。どう考えても『力拳』を失う訳にはいかない、急げ」


「はい」



 私は車を飛ばしながら神に祈った。どうか、手遅れにならないでくれ。


 『力拳』のクラン本部が見えてくると、まだ原型を保っていたので最悪の事態ではなさそうだ。


 逸る気持ちを抑え、車から飛び降りクラン本部へ入っていく。



「えっ! ヤン部長?」


「受付か。ここに三日月陽が来たはずだ、大至急会わせてくれ」


「はい、今リーダーと面会中なのですけど?」


「事は急ぐのだ! 早く、早く、案内してくれ」


「はい、では案内しますね」



 た、頼む間に合ってくれ、Sランクのシー・ウェイが、そんなに簡単に倒されるとは思えないが・・・


 何事もない事を祈る。


 私は大量の汗を掻きながらも、三日月陽が居る部屋へ飛び込んだ。



「ひぃ~! お、お腹痛いーー、もう勘弁してー♪」×ナギサ


「いやいや、話しは此処からだ!


そっから俺は飛び込んだのよ、そしたらよー、そこには巨大なオーガが20体ほどいやがってよ。


流石の俺もちょっと怯んだが、子分達の前で弱気になってられっかよと思ってな。


武器を持つ腕に力を込め直してよ、行くぞ。お前等って叫んだわけよ。


すると、返事がねえから後ろを振り返ったらよ、リーダーの俺を置いて皆、尻尾巻いて逃げ出してやがんだ。


リーダーを俺を残してだぜ? 俺は口をあんぐりと開けて固まっちまったよ」×ウェイ


「あはははは♪」×全員


「ちょ、もう止めて! こ、呼吸が苦しいーーー♪」×アヤメ


「そっから、俺も必死になって逃げたわけよ。彼奴等って鬼だぜ? 俺1人なのに大群で追い掛けてきやがるんだ」


「あはは、いやオーガって、元々鬼だからね?」×ノノ


「先に逃げてった子分達の方に走って行ったらよ、こっちに来るなって言いやがるしよ。信じられるか? 俺はリーダー様だぜ?」


「ひぃ~! あは、あはははは! もう僕、駄目♪」×ツドイ


「ぷぷっ! スーハースーハー、ぷぷぷっ♪」×リラ


「俺も足は速くねえからよ、後ろから何度も何度も、巨大な斧を振り回されて生きた心地がしなかったぜ。


まあ、なんとか逃げ切ったんだけどよ。流石に無傷とはいかなかったんだ。


そん時の傷がこれだーーーーーーーー!」


「ぶはっ! あはははははは♪」×全員


「お、お尻~~~♪」×シュアン達


「お、お尻なんて見せないでよーーー♪」×アヤメ


「ウェイさん最高ーーー♪」×ヨウ


「ひぃ! ひぃ~ お、お腹痛いーーー♪」×ナギサ


「死ぬ! 僕、笑い死んじゃうー♪」×ツドイ


「フフ、あはははは♪」×リラ


「も、もう駄目~♪」×ノノ



「・・・これ・・・どういう状況?」×ヤン


「おっ! なんだよ。ヤン部長じゃねーか、どうしたんだよ?」×ウェイ


「待って! 私の理解が追い付かないんだけど?」


「ああ、三日月陽のことか?


可愛い奴だぜ♪ 世界一の冒険者だってのによ、俺の大ファンらしい。


やっぱ、分かる奴には分かるんだな、俺の偉大さが!


SSランク様に、サインくれって頭下げられたらよ、俺も流石に機嫌良くなるしかねえだろ?


そんで、俺の武勇伝を聞かせてやってたって訳だ」


「んふふ、武勇伝だったんだ?」×アヤメ


「おうよ、聞いてて分かっただろ?」


「あはは、いや絶対に、武勇伝じゃないから」×ナギサ


「わはは、姉ちゃん達も喜んで聞いてたじゃねーか?」


「僕、笑い死にそうだったんだけど?」×ツドイ


「ウェイさんって格好良いだけじゃなくて、すっごく面白い人だったんですね。僕マスマス尊敬しちゃいます」


「わはは、止めろって。そんなに持ち上げられたら、流石の俺も調子に乗るだろうが?


よーし、こうなったら飯も食っていけ、酒でも振る舞おうじゃねーか」


「わ~ 良いんですか? 僕メチャクチャ嬉しいです」


「わはははは! おう! お前等、今日は宴会だ! SSランク様をもてなすぞ」


「うおーーー! やったー! 兄貴話せるーーー!」


「俺の奢りだ! 豪勢に行きやがれーーー!」


「うえーーーい♪」×『力拳』クランメンバー



「ふぅ・・・助かった・・・安心したら力が抜けたよ」


「わはは、まあ、ちっとはヤン部長の気持ちも分かるがな。


俺も最初は身構えたんだぜ? クランを潰しに来たんじゃねーかとな」


「・・・そうか、ウェイも知ってたのか」


「まあな」




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