第320話 予想以上に凄い事になっちゃいました
【それって、一体どれぐらいの値段か聞いてもええかな?】
【ん~ これは、オークションにも出してないんですよね。でも、あるお店では1本1億円で飲めたりします】
【ええええええええっ!!!!!】×見物人
【1億円やて? そんな高い酒買う人おるんかいな?】
【僕達は1億円でも売る気はありませんけど、そのお店では実際に何人か飲まれたみたいですよ?】
【そんなの偽物出されても、分からへんのんちゃうん?】
【それは大丈夫ですね、飲めば直ぐに分かりますから。
名前の通り夢幻の如くなりって様なワインですから。
これを、抽選で視聴者3名様に1本プレゼントしちゃいます】
【うわあああああああ!!!!!】×見物人
【最後に凄い事してくれたもんや、俺も直ぐに応募せな】
【あはは♪】×ヨウ達
【しかし、なんで売らへんの? 凄く儲かりそうやのに】
【んふふ、ヨウ君は、基本食材は売らないんだよね】
【だって、美味しい物は自分で食べないと勿体ないじゃないですか? 自分達で取ってきて食べるのって、最高に美味しいですし】
【世界一の冒険者は食いしん坊やったんや?】
【あはは、正解です】
【今日は、ありがとうございました『クレセント』の皆様!】
【こちらこそ】
緊張でガチガチになるかと思っていたテレビ収録も、何とか終わり少しホッとした。
「三日月さん、ありがとうございました。とっても良かったです」
「ありがとさん、絶対視聴率高くなるわ」
「いえいえ、緊張を解き解してくれて助かりました。
お礼と言ってはなんですが『霧のワイン』1本渡しときますね」
「マ、マジで? えんかいな? そんな高いもんもろても」
「遠慮なく、どぞ」
「いや~ 嬉しいわ♪ 話し聞いてるだけで、死ぬまでに飲んでみたいと思ってたんや。今日のギャラの何倍になんねんな?」
「あはは、古賀さんも1本どうぞ」
「ええっ! 私なんて、そんな高い物貰えませんよー」
「遠慮なんてしちゃ駄目よ?」
「わ、分かりました。あわわ! どうしよ持ち歩くのも怖いよー」
「ヨウ君、メイクさん達にも上げて良いかな?」
「あっ! そうですね。僕も渡しに行って来ます」
「フフ、きっと喜ぶと思いますよ」
僕達はメイクしてくれた人達に『霧のワイン』を配って行くと、とても驚きながら喜んでくれた。
これだけ喜んでくれると、僕達も嬉しくなる。
お世話になったプロデューサーさんにも渡して、お礼を言い終わると僕達は帰る事にした。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
<古賀視点>
「最後に凄い爆弾置いていってくれたもんだ」×園田プロデューサー
「ですよねー、スケールが大き過ぎて驚き疲れましたよ」
「視聴者に渡す分、ちゃんと保管しとけよ、盗まれたりしたら大変だ」
「そ、そうですね、金庫に入れさせて貰っても良いですか?」
「ああ、俺も付いて行くわ、お前だけじゃ心配だからな」
「もう、でも私もその方が安心だったりします」
「3本で3億円・・・いやオークションに掛けたら、どれほどの値段になるかわかんねーぞ?」
「あわわ! 私が貰ったの、銀行の貸金庫に入れといた方が良いですか?」
「手っ取り早く友達と飲んじまえよ?」
「そ、そんな根性ありませんよー」
「それもそうだな。俺も銀行に預けとくか♪」
「私、メイクさん達にも声掛けてきますねー」
「ああ、そうしろ。ふぅ~ しかし、世界一の冒険者ってのは凄いもんだ。今回は古賀アナに感謝だな」
私は『霧のワイン』を貰ったメイクさん達に声を掛け、銀行の貸金庫に預けに行くことにした。
預ける使用料が心配だったけど、半年間で2万円ほどだったので、迷わず預ける事にした。
メイクさん達も全員預ける事にしたようだ。やっぱり盗まれたら大変だもんね。
ワインを貰えなかった速水ディレクターが、凄く機嫌が悪そうだったけど自業自得だよね。
視聴者プレゼント用の3本も局の金庫に入れ終わると、少しホッとした。
それから、三日月さん達の録画編集も打ち合わせのとおり進めてくれたので、殆ど手を咥える事無く終了した。
視聴者プレゼントだけは、打ち合わせに無かったので凄く驚いたけど・・・
園田プロデューサーの意向で、3日後にオンエアすることになったので、三日月さんにも連絡すると快く了承してくれた。
トーク番組としては異例の宣伝をすることになり、大々的に『SSランク冒険者パーティ出演!』を各番組の最後にテレビで流した。
こうして当日には、万全の体制でオンエアすることになったのだが・・・
軽く過去最高の視聴率を叩きだし、ネットなら全国で見れるのでドンドン反響が大きくなっている様だ。
そして、予想を遥かに超える大変な事態になった。
テレビ局に問い合わせの電話が殺到し『霧のワイン』の応募ハガキを局に直接持ってくる人で溢れかえった。
道路は大渋滞になり、テレビ局の前には長蛇の列が並んだので、仕方なく応募ハガキの投入箱を設置することになった。
毎日郵便で大量の応募ハガキが届き、中には英語やフランス語、ドイツ語で書かれたものまである。
どうやら、世界中から応募ハガキが届いているようだ。
応募期間は1週間だけだったのに、既に応募ハガキは1部屋が埋まりそうになっていた。
園田プロデューサーは、良い事を思いついたと言い、3名様の抽選番組を企画しテレビ放映することになった。
応募期間が終わったのに、まだ応募ハガキが送られてきたが、キッチリと応募期間を過ぎたものは除外した。
いよいよ、抽選番組を放送するとき、スタジオに集められた応募ハガキの量に皆が驚いていた。
コンテナ1つ分ぐらいは、あるのではないだろうか。
その大量の応募ハガキからトーク番組を担当してくれた、大物芸能人さんに3枚選んで貰い当選発表をした。
値段が高額なのもあり、日本では都道府県、海外では国名だけの発表になった。
北海道の方が1名、香川県の方が1名、そして最後にイタリアの方が1名当選した。
この発表を聞いたスタジオに集まった観客も、大きなため息をついた。
ちゃんと間違いの無い様に住所と名前を伏せたハガキをテレビに映し、不正が無いようアピールした。
こんな高額なワインをどうやって発送するんだろうと思ったけど、ちゃんとそういう高額品のセーフティ発送サービスがあるそうだ。
それにしても、三日月さん達に会ってから驚きの連続だったけど、これでようやく一段落だと安心した。
「なんてこった、金庫にある筈の『霧のワイン』が何処にも無い」×園田プロデューサー
「えええええええええっ!!!!! う、嘘ですよね?」×古賀アナ
「こんな冗談言うか、お前も来てくれ」
「は、はい」
そ、そんな~ やっと一段落して安心したとこなのに~
園田プロデューサーと局にある金庫に行き、確かに保管した『霧のワイン』がその場から消えていた。
2人で徹底的に探したが、何処にもない・・・
「やられた・・・どうやら盗まれたな」
「そんな、一体どうやって?」
「分からんが、此処で働いてる者としか考えられん」
「ど、どうしたら良いんですか?」
「俺が何とかすると言いたいが、最悪俺とお前が持ってる『霧のワイン』を献上するしかないだろうな・・・」
「それでも1本足りませんよ?」
「分かってる。とりあえず俺は警察に連絡するから、お前は『霧のワイン』を貰ったメイクさん達に、1本譲ってくれないか頼んでみてくれ」
「分かりました。譲ってくれるとは思えませんが、とりあえず頼んでみます」
「弁償するにしても高額過ぎるし、そもそも売ってないからな・・・とりあえず、聞くだけ聞いてみてくれ。言っとくが三日月に泣きついたりするなよ?」
「はい、もちろんです」
それからは局中に、このことがしれ渡り、警察の見分が始まった。
私は『霧のワイン』を貰った5人のメイクさん達に事情を説明したところ、5人で相談してくれることになった。
私は何度も何度も頭を下げて頼み込んだ、例え断られても価値を考えると仕方ないよね・・・
警察にも協力して貰い、丸1日探し回ったけど盗まれたワインは、どこにもなかった。
そろそろ当選者に発送しないと、とんでもないことになるため、私と園田さんは頭を抱えた。
もうどうしようもないかなと諦めかけていたら、メイクさん5人が『霧のワイン』を1本持ってきてくれた。
どうやら、メイクさん5人で相談した結果、残り4本を5人で分けてくれるそうだ。
だから、弁償しなくても良いと言ってくれた。
私と園田プロデューサーは、メイクさん達5人に何度もお礼を言い、急いで当選者に発送することにした。
無事当選者に発送し終わり、何とか最悪の事態は免れたと息を付いていると、速水ディレクターがニヤニヤとした嫌な笑顔で私を見ていた。
あのやろ~ 幾ら自分だけワインが貰えなかったからって言っても、人事の様に笑いやがってーーー
「おいおい、大事な物を盗まれた奴が俺に八つ当たりするなよ?」
「何も言ってませんけど?」
「あはは、俺を睨みつけてたじゃないか?
これだから、お前みたいな新人に大事な事は任せられないんだよ。
最初から俺に任せといたら、こんな事にはならなかったのにな。
言っとくけどな、お前と園田さんの責任なんだからな。
1本譲ってくれたメイク達に、ちゃんと1億円返せよな?
30年ローンぐらいで返せるんじゃねえか?
俺を除け者にするからだ、ざまあみろ。あははははは♪」
こ、こいつは~ 殴り倒してやろうかと拳に力が入るけど、私の責任には違いないから何も言い返せなかった。
私は唇を震わせ涙を堪えるのが精いっぱいだった。
「お困りみたいですね?」
「み、三日月さん・・・どうして?」
「えっとですね~ 親切な人が教えてくれたんですよ」
「随分と水臭いじゃない、古賀ちゃん?」
「えっ・・・」
「私達に相談ぐらいしてくれても良いんじゃない?」
「すみませんでした。これ以上お世話になっちゃいけないと思って」
「そんなの気にしなくても良いですよー」
「あのワインは、喜んで貰おうと思って渡したんですから、飲んで貰わないと僕も困りますからね」
「こ、これ以上、貰えませんよ?」
「にしし、大丈夫だよー」
「それにしても、テレビ局にも悪い奴が居るんだね、僕ちょっと怒ったかも」
「フフ、そうですね。よりによって、ヨウ様の贈り物に手を出す馬鹿が居るとは」
「フフ~ ヨウ様を軽く見るなんて、万死に値しますね」
「とりあえず、プロデューサーさんに会わせて貰っても良いですか?」
「はい」
<ヨウ視点>
僕達はプロデューサーさんに会いに行くと、僕達を見た瞬間に深々と頭を下げて謝ってくれた。
「本当に、すみませんでした。私の考えが甘かったようです」
「いえ、別に責めに来た訳じゃ無いので御心配なく。ちょっとお願いがあるんですけど、良いですか?」
「もちろんです」
「今回盗まれた金庫の鍵を触ることが出来る職員を、全員集めて貰っても良いですか?」
「そんな事なら直ぐに集められますよ。ですが、既に警察にも調べて貰いましたが何も分からなかったんです」
「良いから、良いから」
僕はニコニコとしてると、プロデューサーさんは直ぐに職員を集めてくれた。
意外と人数は少なく30人程だろうか、まあ金庫の鍵なんだから誰もが触れる訳ないよね。
「集め終わりました」
「どもども、ではでは、少し質問しますねー
この中に金庫に入っていた『霧のワイン』を盗んだ人居ますかー」
ザワザワ・・・・・
「ふむふむ、じゃあ、盗んだワインをどこに隠したんですかー」
「ふざけるな! そんな事を聞いて何になる?
素直に答える訳がないだろう。そんな子供にも分かる様な事をして、お前は馬鹿なのか?」×速水ディレクター
「フフ、馬鹿なのは貴方でしょう」
「な、なんだと?」
「あはは、そんなに汗を掻いてどうしたんです?
僕は子供みたいな事を聞いただけですよ。
さて、プロデューサーさん。盗まれたワインを取りに行きましょうか」
「なっ! 本当に分かったと言うのですか?」
「はい、この騒いでる人が借りてる貸金庫の中ですね」
「な、何を馬鹿な事を、証拠も無いのに馬鹿な事を言いやがって。う、訴えてやるからな」
「速水、お前だったのか・・・」×園田
「お、俺じゃない、此奴が訳の分からない事を言ってるだけだ」
「そんなに慌てちゃって、嘘がバレたときの子供みたいじゃないですか? 速水ディレクター?」×古賀
「う、煩い! お前、誰にものを言ってるんだ新人のくせに」
「今から貸金庫に行けば、全て分かる事だ。お前が犯人じゃないって言うなら、着いて来て証明したらどうだ?」
「お、俺は貸金庫なんて借りてない、それに例え警察でも貸金庫なんて調べられないだろ?」
「フフ、どうしてそう思われるのですか? 既に警察から捜査令状が出ているのですが?
貴方はヨウ様を軽く見過ぎましたね、世界一の冒険者の力を思い知りなさい」
「そ、そんな馬鹿な・・・」
「あはは、小賢しい浅知恵だったわね?」
「貴方の様な大馬鹿は、見た事がないわ」
「牢屋の中で反省するんだね、言っとくけど3億円相当の強奪事件だから軽い罪じゃないよ」
「弁護士に期待なんてしちゃ駄目よ? たっぷりとお金を掛けて上げるからさ」
「あ、あああ・・・」
僕達は逃げようとした速水ディレクターを捕まえて、銀行に行き貸金庫を開けて貰うと『霧のワイン』がちゃんと3本入っていた。
それを見た速水ディレクターは、ようやく諦めたのか、臨場した警察官に逮捕され連行されていった。
今回の件は湯楽刑事の上司である部長さんが、僕が送った『霧のワイン』が盗まれた事を教えてくれたんだよね。
そのお陰で、僕達にも事情が分かったので、助けることが出来て良かった。
部長さんにも何かお礼をしなくちゃね。
そーそー、それと1本1億円もするワインをくれた5人のメイクさん達にも、何かお礼をしちゃわないとね。
「はい、1本返しておきますね園田プロデューサー」
「重ね重ねありがとう。本当に助かりました」
「いえいえ、古賀さんにも返しておきますねー」
「ありがとうございます。お世話になり過ぎちゃってますね?」
「ん~ 今回の件は、アフターサービスって事で良いんじゃないですか?」
「どこまで優しいんですか、三日月さん達は」
「まだ終わってなかったりして」
「えっ?」
「次はメイクさん達のとこへ連れてって貰えますか?」
「そっか、私からも、ちゃんとお礼を言っとかなきゃ」
僕達は5人のメイクさん達に会いに行き、ちゃんとワインを1本返しておいた。
「本当にありがとうございました。助かりました返せて良かったです」
「困った時は、お互い様ってね♪」
「そそ、私達はこんなに高額なワインが飲めるだけでも幸せだからね」
「私なんて貧乏性だから、死ぬまでワインを開けなかったかもだから」
「それ、言えてるー♪」
「あはははは♪」×メイクさん達
「良いですね~ そんな事を聞いたら、サービスしたくなっちゃうじゃないですか」
「ええっ!」×メイクさん達
「古賀さんを合わせて、ちょうど6人だから試飲用に1本追加で渡しときますね」
「えええええええええええっ!!!!!」
「更に更に、ビューティーポーションも各1本づつ上げちゃいますよ」
「んふふ、良かったわね。ささっ、飲んじゃって、飲んじゃって」
「古賀さんにも、どぞどぞ」
「ええっ! 私まで?」
「良いから、良いから、早く早くー」
「は、はい」
「皆さん、少しよろしいですか?」×リラ
「はい」
リラさんは古賀さんとメイクさん達に何かを言っていたが、それが何かは聞き取れなかった。
リラさんの話が終わると、皆はビューティーポーションをコクコクと飲んでくれた。
「皆、飲んだかな?」
「ありがとうございます。で、でもビューティーポーションは兎も角、ワインは本当に結構ですよ高額過ぎますし」
「にしし、皆ちょっと耳を貸してくれるかな?」
「はい?」
ナギサさんは小声で皆が今飲んでビューティーポーションは市販品と違い、効果100%の本物であり、その価値は数千億円する事を告げた。
「ええええええええっ!!!!!」
「んふふ、良かったわね。それって非売品だから絶対に手に入らないのよ?」
「フフ~ 1億円のワインがオマケに感じるでしょ?」
「でも、これは内緒でお願いしますね、こんなのがあるって世間にバレたら、大変な事になっちゃいますから」
古賀さんとメイクさん達は、人形の様にコクコクと首を動かしながら、未だ現状を把握しきれていないようだった。
遠慮されない内に、僕達は帰る事にした。
僕は皆に手をブンブンと振りながら、別れの挨拶をした。
「・・・・・・・」×メイクさん達
「さっきの、嘘だよね?」
「・・・三日月さん達が、あんな嘘付くとは思えないんですけど?」×コガ
「ど、どうしよう?」
「うふふ、とりあえず今日はワインで乾杯といきましょうか?」
「それしかないでしょ」
「精神統一して、すっごく味わって飲まなきゃー」
「確かに♪」×メイクさん達




