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第285話 後悔先に立たずってやつですね

評価やブックマーク等、応援して下さった全ての方、ありがとうございます。


 皆で朝食を取りながら、今日の予定を決める事にした。


 昨日の夜、スマホの電話やメールが殺到した中に、僕達の拠点である梅田支部の瀧見社長からも電話があった。


 なんでも梅田支部のPRの為にも、是非一度暇な時に顔を出して欲しいと言う事だった。


 SSランクを輩出した大阪ダンジョンギルド梅田支部としては、今が最高の宣伝になるそうだ。


 何時もお世話になってる瀧見社長の頼みならと早速、今日顔を出しに行くことにした。


 今日の主役だった、らあ君も照れながら仕事に行ったので、僕達も歩いて行くことになった。


 <気配遮断>と<隠蔽>を適当なところで解除すると、早速周りの通行人から注目を集め出した。



「えっ! あれってSSランク君じゃない?」


「うわっ! ホントだーーー! 嘘、可愛い~」


「おお~ 凄いな。本当に綺麗な女性達だぞ」


「あの中の誰かが魔女なのかよ、全員綺麗過ぎて誰か分からないぜ」


「足長ーい、腰細ーい」


「うわー! うわー!」


「おおおおおーーー!」



 注目されるのは何時もの事だけど、今までとはレベルが違う事に戸惑ってしまう。



「あはは、ちょっと凄いわね?」


「僕達って、有名人だね~」


「フフ、これにも慣れて行かないとですね」


「フフ~ 何か自然と手を振りたくなるね」


「立ち止まったら動けなくなりそうね・・・」


「結界を張って近寄れなくしちゃうとか?」


「それは、やり過ぎよ?」


「んふふ、皆触られちゃ駄目だよー、ヨウ君が<威圧>しちゃうからさ」


「駄目よヨウ君? 阿鼻叫喚になっちゃうから」


「アヤメさん達に、無断で触ろうとした奴だけにします」


「そっか。<範囲指定>スキルがあるから、そう言う事も出来ちゃうんだ」


「でも、ヨウ君がやったら一般人なら死んじゃうよ?」


「じゃ、気絶させるだけにします」


「だーめ! ちゃんと、私達が躱すからね?」


「ん~ 分かりました」



 そんな話しをしていると、早速変な奴等が僕達の話をしているのが聞こえてくる。



「あんな綺麗な姉ちゃん達が居るんだな~」


「なー、どさくさに紛れてよ、触りに行かねえか?」


「馬鹿だろお前? 綺麗って言ったって冒険者だぞ」


「だからだよ。これだけ人が居たら、幾ら強くたって暴力は振るえないだろ?」


「それによ、人混みに紛れながら手を伸ばしたら、誰にも分からねえって♪」


「そうかもな・・・それならよ、胸とかにタッチしてもいけっかな?」


「うはっ! それ最高じゃね?」


「悪い奴等だな~ 俺も行くけど♪」


「あはは、よし! じゃあ、触ったら直ぐに逃げるからな」


「分かった、分かった♪」



 ピクピクッ! 彼奴等め丸聞こえだ! 冒険者の聴力を何も分かってない。



「ヨウ君。駄目よ? ちゃんと私達にも聞こえてるからね?」


「・・・本当に触れそうになったら動きますよ?」


「んふふ、髪の毛1本触れさせないから、私達を信じてよ」


「しかし、馬鹿だよね~」


「フフ、これから、そう言う輩も増えるかもですね」


「ヨウ様に殺される前に、ブッ飛ばしちゃおっか」


「殺さない様に、ちゃんと手加減しなきゃ駄目よ?」


「分かってるって」



 20歳ぐらいだろうか、男達はニヤニヤとしながら人混みの中、アヤメさん達に近づいて来る。


 殴り倒してやりたいが、アヤメさんの言う通りジッと我慢することにした。


 少し細い通りに出ると、本当にアヤメさん達に手を伸ばして来やがった。


 血管が切れそうなほど怒りが湧いたが、5人の男達は見事にアヤメさん達に殴り飛ばされていた。


 内心ホッとしたが、少し手緩いんじゃないかと思う、せめて歯が無くなるぐらい殴っても良いのに。



「なっ? 何しやがるんだよ。冒険者が一般人を殴っても良いのかよ?


ぜってえ許さねえからな? Sランクだか何だか知らねえけど訴えてやる。


ひゃはは! 今までチヤホヤされてたのに残念だったな?


一般人に手を出した、お前達が悪いんだからな?


たっぷり、慰謝料も取ってやるからな。


大体、お前見たいなガキが、こんな綺麗な女性達を連れてるのも気に食わねえ。


まあ、殴ってきた女性達に誠意を見せて貰ったら、許してやるかもしれないけどな?


分かってんのかクソガキ! 何とか言えよ?」


「こ、この・・・」


「まあ、まあノノさん僕が言いますから。えっと、そこの頭の悪そうな人?」


「な、なんだと?」


「あはは、ごめんなさい。名前を知らないもので。えっとですね、何か勘違いをされてませんか?」


「はあ?」


「僕達はアイドルでも格闘家でもプロボクサーでもありません。冒険者なんですよ?


別に人気を集めているわけじゃないんですよ。


チヤホヤされなくても残念でもなんでもありません。


それに、痴漢されそうになったから抵抗して、何が悪いんです?


訴えると言ってましたけど、此方も貴方の言動にかなり傷つきましたから、訴える事にします。リラさん?」


「はい、既にこの男達の住所・氏名・電話番号・家族構成から経歴に至るまで全て調べ終わりましたから、何なりとお聞きください」


「はあ? ま、まさか・・・」


「あはは、もう逃げれませんね?


クソガキに見えるかもしれませんが、これでも僕はお金はあるんですよ?


たっぷりと、弁護士にお金を掛けて上げますからね。


あっ! そうそう。僕も仲間に手を出した奴なんか絶対に許しません。


一生地獄を見せてやりますから、楽しみにしといて下さい」



 僕は言いたい事を言い終わると、アヤメさん達を連れてギルドへ足を向けた。



「・・・彼奴等は馬鹿だぜ?」


「SSランク怖え~ 絶対に敵に回したくないわ」


「あの人達って、誰に痴漢しようとしたか分かって無いのかしら?」


「あれだけ報道されてたんだから、知っててやったんだよ。頭が悪いとしか思えないわ」


「もう、終わりだな彼奴等・・・」


「なんか、色々言ってたけど哀れだね~」


「そういや、慰謝料とか言ってたよな滑稽過ぎるだろ?」


「あはは、大方、大金が手に入るとでも夢みたんじゃね?」


「うはっ! 幼稚園からやりなおせっての」


「いやいや、馬鹿は死んでも治らねえって」


「い、痛え・・・どうすんだよ、お前のせいだぞ?」


「身元までバレたって言ってたぞ? 責任取れよお前」


「な、なに言ってやがる。お前達も賛同しただろうが?」


「うるせえ! 全部、お前が言った事だろうが?」


「お前、今から土下座して謝って来いよ」


「そ、そんな・・・」


◇    ◇    ◇    ◇    ◇


 余計なチャチャが入ったお陰で、こんなに近いギルドに結構な時間が掛かってしまった。


 ギルドに入ってからも注目を浴びているが、外に居るよりはかなりマシになった。


 一応ギルドに来た目的は、僕達が梅田支部を拠点にしているアピールだから、適当に喫茶店に行ってコーヒーでも飲むことにした。


 僕達が喫茶店に入ったせいか、段々と喫茶店も混んできたが、不躾に声を掛けてくる人は居なかった。


 流石は瀧見社長の支部だけはあり、冒険者にも支持を出していてくれているのかもしれない。


 お陰様でアヤメさん達と楽しく会話していると、久しぶりにトールさんを見つけた。



「あっ! トールさんだ! ちょっと皆さん良いですか?」


「んふふ、良かったら。お茶に誘ってみたら良いじゃない?」


「そうですね。僕、行ってきます♪」


「フフ~ 本当にヨウ様は、あんな感じの冒険者が好きですよね」


「僕、分かる様な気がするな、冒険者らしいからね」


「きっと、ヨウ君の理想像なんだろうね」


「フフ、ヨウ様がお世話になっている方ですから、丁重におもてなししないとですね」


「あはは、そうね」



「トールさん、トールさん、トールさ~ん♪」


「おう、なんだ坊主か? 元気そうだな」×トール


「はい、元気に頑張ってます!」


「この馬鹿トール? 元気そうだなじゃないでしょ、SSランク様だよ?」


「そうだったな。凄い奴だったんだな坊主?」


「そんな事無いですよ。僕は、たまたま運が良かっただけですから」


「うふふ、運だけでSSランクには成れないと思うんですけど?」


「一生懸命頑張りましたから」


「トールさん。良かったらお茶しませんか?」


「わはは、お前も変わった奴だな。どうせなら可愛い女でもナンパしろよ?」


「クソ馬鹿トール? SSランク様のお誘いなんだぞ、行くに決まってるだろ?」


「あ~ うるせえガキだ。サキも良いか?」


「ええ、良いわよ」


「しゃーねえ。可愛い後輩の頼みだ聞いてやるか」


「わーい♪ ありがとうございます」


「ゴミのくせに偉そうにするな~」


「うるせえ! 行くって言ってんだろ」



 僕はトールさん達を連れて喫茶店に入り、アヤメさん達の下へと戻った。



「お~ 別嬪さん達も一緒か。相変わらず綺麗だな」


「んふふ、貴方、全然態度が変わらないのね、ヨウ君が気に入るのも分かるわ」


「此奴には考える頭が無いだけだよ?」


「だまれ。お子ちゃま!」


「誰が、お子ちゃまだーーー」


「ごめんなさいね、煩くて。何時もこうなのよ」


「あはは、仲が良さそうで良いじゃない」


「どこが、仲良さそうに見えるんだよ?」


「知能が足りない奴の相手は疲れるんですー」


「だから、もう止めなさいって」


「そう言えば、まだ自己紹介もしてなかったわね、私は今城いまじょう 紗季さきよ。


こっちの元気な子が今森いまもり ゆい


でかいのが仲台なかだい とおるね。


へえ~ だから、トールさんって呼ばれてるんですね」


「ああ。昔から皆そう呼びやがるんだ」


「以前も3人だったけど、3人パーティなの?」


「いえ、残りの3人は家が離れてるので、此処に来るときはこの3人が多いわね」


「ひょっとして、ハーレムパーティだったり?」


「うふふ、違うわ。残りは男2人と女1人よ」


「やっぱり、他の男性もトールさんみたいに格好良い冒険者なんですか?」


「貴方、SSランクのくせに目が悪いわ。重症よ? 直ぐに病院に行きなさい! 後3分で死ぬかもしれないわよ?」


「そんな、ウル〇ラマンみてえな冒険者がいるか!」


「あはは、本当に退屈しなそうなパーティね」


「大丈夫よ、他の3人は普通の冒険者だから」


「でも、本当にSSランクには見えないわね。ニュースを見た時、とても驚いたわ」


「女性の人達は、何故か納得したんだけどね?」


「私達も強そうには見えないでしょ?」


「貴方達は、美し過ぎて只者には見えないって、ところかしら?」


「フフ、私達を誉めても何もでませんよ?」


「うふふ、Sランクの方と知己に成れるだけで、光栄だと思うのだけど?」


「んふふ、ヨウ君がトールさんのファンだからね、私達はそれだけでも敬意を持つわよ」


「やっぱ、分かる奴には分かるんだよな~」


「煩いぞトール! 三日月君は特殊な癖を持っているだけだぞ?」


「え~ トールさん。格好良いじゃないですか?」


「わはは、聞いたか? ちびっ子」


「ムキー! 調子に乗るなー、馬鹿トール!」


「あはははは♪」×全員


「トールさん達は、今からダンジョンですか?」


「ああ、冒険者のやることは、それしかねえだろ?」


「うわー、うわー、トールさんが言うと格好良いですね」


「わはは、あんまり褒めるな。ちびっ子がうるせえからよ」


「ちびっ子、ちびっ子、言うな~~~ 幼気なSSランクまで洗脳した極悪人め~」


「あ~ うるせえ、うるせえ。じゃ、俺達はぼちぼち行くからよ」


「またな、坊主。頑張れよ」


「はい、ありがとうございました」


「またね、三日月君」


「早めに病院言った方が良いよ~」


「あはは♪」



 トールさんは喫茶店の伝票を持って、席を立って行く。


 僕がもうSSランクでお金持ちだって知ってる筈なのに、当たり前の様にお金を払って店を出て行った。



「んふふ、格好良いじゃない」


「流石は、ヨウ君がファンになった冒険者ね」


「フフ、案外只者では無いかもしれませんね?」


「何かしたの、リラ姉?」


「ヨウ様の手前、彼の事は何も調べてはいませんが、せめて鑑定だけでもしようとしたら、視線で制されてしまいました。


ノノやコトエさんの様に、感が鋭い方のようですね」


「うはー、僕でも気付きませんでした」


「僕もちょっと興味が湧いたかも?」


「無粋な事はしちゃ駄目ですよ?」


「分かってるよ」


「なんで、ヨウ君がこんなに慕ってるのに、彼には何もしないのかな?」


「ん~ 以前、奢って貰った恩返しぐらいしたいところなんですが、断られるような気がしちゃって?」


「んふふ、彼から見たらヨウ君がどんなに凄い人でも、可愛い後輩としか思って無いのかもね」


「そうなんですよね。僕が何か奢るって言うのも烏滸がましいし。う~ん・・・何か恩返ししたいですね~ やっぱりコソコソ作戦かな?」


「なによ、コソコソ作戦って?」


「僕、分かっちゃった。ヨウ君の小石当てスーパードロップだよ」


「あ~ なるほど。コソッと恩返しね」


「フフ、彼に気付かれない様にするには、本気で気配を消さないといけませんね」


「私達も、お茶代の恩返しといきますか」


「彼が驚く顔も見てみたいしね」


「皆にも、付き合って貰って良いですか?」


「良いとも~♪」×アヤメ達



 僕は皆の了承も得たので、瀧見社長に挨拶に行ってから、トールさんを追跡することにした。


 ギルドを出ようとすると、外には先ほどの痴漢達の1人が立っていた。


 まだ、僕達に何かあるのだろうか。



「あ、あのよ、さっきの事は謝るから許してくれよ」


「呆れた・・・貴方1人で謝りにきたの?」


「俺が言い出した事だから、土下座して謝って来いって言いやがんだよ」


「もう掛ける言葉もないですね・・・」


「俺達も殴られたんだから許してくれよ、土下座でもなんでもするからよ」


「無理ですよ?」


「えっ?」


「僕に手を出したんなら兎も角、アヤメさん達に痴漢しようとして許せる訳がないです。


何千億円積まれても、絶対に許しません!


もう既に弁護士を雇いましたので、大人しく裁判を待つしかありませんね」


「もう、大人なんだから、謝って済むと思わない事ね」


「他のお友達にも言っときなさい。誰も逃がさないってね」



 男性はようやく事の重大さが分かったのか、悲壮な表情をしていたが僕達は同情する気にもなれず、その場を後にした。



「リラさん。弁護士さんって東京でお世話になった、九嶋さんですか?」


「はい、もう此方へ向かってくれております」


「うはー、相変わらずやることが早いわね~」


「フフ、電話1本で快く引き受けて下さいましたから」


「何かお礼をしないとですね~」


「なるほど~ そう言えば、九嶋さんもヨウ君のタイプだったわね?」


「イイッ! 誤解です! 盛大な誤解ですー」


「にしし、クレセント専属の弁護士さんってのも良いわね」


「九嶋さんみたいな、キリっとした弁護士に社長って呼ばれたいとか?」


「九嶋君って、呼びたいんでしょー?」


「どこまで妄想するんですかー、なんかありそうで怖いんですけど?」


「あはは♪」


「でも、本当に専属の弁護士さんは欲しいとこよね?」


「それは、そうですけど?」


「でっ! 今の第一候補は?」


「・・・九嶋さんですけど。なんで、皆ニヤニヤしてるんですかー」


「んふふ、気のせいだよヨウ君」


「とても、そんな風に見えないんですけど?」


「まー、なるようになるって」




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