第284話 情報の拡散を舐めてましたね
僕達は転送クリスタルを使いダンジョンの外へ出ると、何故か溢れんばかりの冒険者に面食らう事になった。
「きゃあああああ! 本当に居たーーー!」
「うはー、本当に綺麗な女性達だな」
「誰が魔女さんなんだろ?」
「ねーねー、聞いてみようよ?」
「あの少年がSSランクなのよね? 本当に可愛いんだけど」
なんで、こんなに冒険者が居るのかと思ったら、僕達の出待ちだったようだ。
まだ、テレビ放送は、されてないと思うんだけど・・・
「もう、テレビ放映しちゃったのかな?」
「いえ、おそらくは口コミで拡散したのかと。SMSの情報拡散は凄まじいですから」
「これなら、外はもっと人が集まってそうね?」
「威圧して、モーゼしちゃう?」
「だ、駄目だよー! そんなことしたらパニックになっちゃうから」
「ギルド職員にお願いして、裏口から出して貰いましょうか?」
「なるほど。そうして貰いましょうか」
僕達は溢れる冒険者の中を掻き分けて、なんとか受付カウンターまで行った。
写真を撮られるのはもちろん。握手やサインまでねだられてアイドル気分だった。
既に受付嬢さん達がロープを張ってくれており、揉みくちゃにされることが無かったのが救いだ。
「ふぅ~ 助かりました。受付嬢さん」
「いえ、こちらこそ申し訳御座いません」
「ずっと、人払いをしていたのですが、言う事を聞いてくれなくて・・・このダンジョンは普段空いているのですが、流石に大人気ですね」
「あはは、アイドルさん気分ですね」
「うふふ、どうぞ、此方へ本部の古戸社長が、お待ちになっております」
「えっ! そうなんですか?」
「はい、3時間前からお待ちになっております」
「フフ、どうやら気を使わせたようですね」
僕達は豪華なVIPルームへ通されると、そこには古戸社長や偉そうな人達が待っていてくれた。
とりあえず、お詫びをしておくことにする。
「えっと、何かすみませんです」
「あはは、凄い事になっているね」
「まさか、インタビューでSSランクを公開するとは、思いませんでしたわ」
「藤堂院さんも来てくれたんですね」
「うふふ、この練馬区上級ダンジョンから連絡を貰い、慌てて来ましたわ」
「すみません。もう、そろそろ公開しても良いかなと思ったんですよ」
「色々隠すのも疲れるしね~」
「まっ! こんな事も、しばらくしたら落ち着くでしょ」
「イザとなったら威圧しちゃえば良いしね?」
「あの、それは一般人も大丈夫なのでしょうか?」
「ん~ 何人か心臓が止まるかもだね?」
「や、止めて下さい! 大騒ぎになってしまいますから」
「冗談だよ?」
「僕、プチ威圧は得意ですよ?」
「ヨウ君は兎も角、ツドイが威圧したら全員死んじゃいそう」
「む~ 僕の評価が鰻下がりだよ! 威圧の練習もしとこっかな」
「あはは、僕が教えますよ?」
「がーん、がーん! やり過ぎヨウ君にドヤ顔されたー」
「やり過ぎヨウ君って何なんですかー」
「あはは♪」×全員
「いやはや、何か会話を聞いているだけで恐ろしいね?」
「んふふ、冗談じゃ無いんですよ? ヨウ君が普通に<威圧>スキルを使ったら、私達でも死にそうになりますから」
「ここで使ったら、死屍累々になるわね~」
「そこまで言うなら、僕の<威圧>を見せないとー」
「だ、駄目ーーー!」×アヤメ達
「あはは、冗談ですよ?」
「もう止めてよ。私達以外、全員死んじゃうでしょ?」
「・・・今、私は九死に一生を体験したのかね?」
「フフ、命拾いしましたね♪」
「冗談ですよ。冗談ですからね?」
「冗談に聞こえないのが怖いですわ・・・」
「もう皆、言い過ぎですよ?」
「あはは、ごめんごめん! でも、ヨウ君を怒らすような事はしない様に、釘を刺しといて貰ったら助かりますね」
「もちろんだよ! 君達には借りもあるからね。帰りの段取りも大丈夫だ。裏口に車を用意しているからね」
「色々とすみません。気を使わせちゃいましたね」
「いやいや、以前のお詫びだと思ってくれれば良いからね」
「でも、屋上から帰りますからいいですよ?」
「わはは、空でも飛べるのかね?」
「空は飛べませんけど、ビルに飛び移って帰りますから」
「正気で言ってるのかね?」
「あはは、それ面白そうね?」
「そういうのも偶には良いかもね~」
僕達は、怪訝な顔をしている古戸社長達と屋上へ足を運んだ。
「今度は冗談では無いのかね?」
「あはは、では古戸社長、またですよー」
僕達は何でもない事の様に隣のビルに飛び移り、手をブンブンと振って別れの挨拶をした。
「あ、あはは。流石Sランク以上になると、とんでもないですね?」
「いやはや、実際に目の当たりにすると、常識が崩壊しそうだね?」
「足を運んでおいて良かったですね、社長?」
「全くだ! 彼らの事については最優先事項だと決めているからね」
「私も痛い目をみましたから同感です」
「うむ、彼等とは、お友達で行こうか?」
「うふふ、それが宜しいかと♪」
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
僕達は人気の無い所で地上へ下りて、<転移魔法>でクラン本部へ帰る事にした。
道中も、ひっきりなしに全員のスマホが鳴っている。
確認すると、やはり妹のヒカリや友達からのメールだ。
電話も何回か掛かってきたようだけど、出ないのでメールにしたのだろう。
「あはは、すっごいメール入ってんだけど?」
「うはー、まだテレビ放映してないよね?」
「弟のコウタから、何でバレてるんだーって、メッチャ聞いてくるんだけど?」
「そりゃ、公開したからだもんね!」
「皆、有名人さんに成っちゃいましたね~」
「フフ~ 私達なら人を巻くぐらい簡単だから、良いんじゃないかな?」
「フフ、イザとなったら<変装>スキルもありますし」
「にしし、ねーねー? ちょっと<変装>スキルで悪戯してみない?」
「もう、悪い事ばっか考えるんだから~」
「んんっ! ヨウ君が嬉しそうな顔してるね?」
「あはは、知らない人より、知ってる人に<変装>した方が面白そうですよね?」
「ヨウ君まで何言ってるんのよ?」
「これも練習ですよー」
「あはは、じゃあさ、コトエ達に<変装>してみよっか?」
「ヨウ君は、マユちゃんが良いかな?」
「え~ 女性にですか?」
「試しにだよ、た・め・し!」
「もう、ちょっとだけですよー」
僕達はクラン本部に帰ると、メイドさん達に見つからない様に、僕の部屋に集まった。
そして僕は、<変装>スキルを駆使してマユさんを思い描いてみた。
すると、成功したのか下を見ると、大きな胸がある・・・
どうやら顔だけではなく体型も変えれるらしい、これは思ったより凄いスキルなのかもしれない。
「うわ~~~」×アヤメ達
「凄い! マユちゃん、そっくりだよ?」
「ちょっと、身長も体格も変わってるわよ?」
「マユちゃんが、ヨウ君の服を着てるのがシュールだね」
「え~ 本当ですか~♪」×ヨウ
「あはは、声まで似てる~♪」×アヤメ達
「フフ、流石に服装までは変わらないようですね」
「でもこれ、すっごい使えるスキルだよ?」
「にしし、じゃ、皆もやってみよっか」
「フフ~ じゃ、私がミミちゃんで、リラ姉がルルちゃんだね」
「僕はユウカにしよっと」
「私はコトエかな~」
「私は残ったナホちゃんだね」
皆コトエさん達に<変装>すると、ユウカさんになったツドイさんの服がブカブカになってて面白い。
「僕、身長が高いから服が合わないや?」
「ユウカ、なんやそれ? 縮んだみたいになっとるで~」×ナギサ(コトエ変装中)
「そんな事言ったって、しょうがないでしょー、ツドイさん背が高いんだから」×ツドイ(ユウカ変装中)
「あはは、エセ関西人みたいだよ、ナギサ」
「似とらんちゅうんかいな~ もっと頑張らなあかんな~」
「もう、ツドイも止めなさいよ、面白いじゃない♪」
「あはははは♪」×全員
「なにこれ? 面白いんだけど♪」×ノノ(ミミ変装中)
「少し関西弁にしないとだよ、ミミ?」×リラ(ルル変装中)
「あははは♪ 止めて~ リラ姉まで、お腹痛い~」
「んふふ、ツドイとヨウ君には、私の服を貸して上げるから着替えよっか」
僕達は普段のコトエさん達の服装に似せて服を着替えると、早速リビングへ行くことにした。
リビングへ着くと、直ぐにカンナさん達メイドさんが出迎えてくれる。
「おかえりなさいませ、皆様」×カンナ
「ウチ等まで、そんなに大層に出迎えやんでええで?」×ナギサ(コトエ変装中)
「私達はクレセントのメイドですので、そんな訳にはいきません」
「皆様、コーヒーでも如何ですか?」
「そやな~ 貰うわ、おおきにな~」
「畏まりました」
僕達はナギサさんのエセ関西弁に笑いを堪えながら、ソファーに座りコーヒーを頂く事にした。
僕も悪戯がしたくなり、カンナさんに喋りかけてみた。
「カンナさん?」
「はい」
「カンナさんは、私の事が好きですか?」
「はい、心の底から愛しております」
「えっ・・・そうだったんですか?」
「もちろんです」
「ひょっとして、皆好きって意味ですか?」
「はい、クレセントメンバーは全員好きですが、貴女の事は特に愛しております」
「そ、そうなんだ・・・あっ! 嬉しいです」
僕はカンナさんとマユさんが、そんな特別な関係だったのかと思い、悪い事聞いちゃったかと後悔しはじめた。
「フフ、もうバレていると思いますよ?」
「ええっ? ま、まさか・・・」
「うふふ、心の底から愛しておりますよ、ヨウ様♪」
「うはーーー! 何でバレたんですかー」
「私がヨウ様を間違える筈がありません。
1つ1つの仕草や目線の配り方、匂いもヨウ様なのですから。
ですが、完全に女性でしたのでヨウ様が質問されるまで確信が持てない程でしたよ?」
「ま、参りました!」
「僕も、心の底から愛してますカンナさん」
「えっ! そ、そんな・・・恥ずかしいです。ヨウ様」
「にしし、流石カンナやな~ よう見とるわ~」
「何時まで続けるのよ?」
「うふふ、良く似ておりましたよ、ナギサ様?」
「うはっ! バレバレやん? メッチャ恥ずかしいわ~」
「あはははは♪」×全員
「フフ、でも、カンナ以外は騙せていたと思いますよ?」
「やたっ! えっと、カンナさん以外のメイドさんは、僕が分かりませんでした?」
「あ、あの、本当にヨウ様なのでしょうか?」
「私には不思議な芝居をみてるようにしか・・・」
「はい、僕ですよ」
「んふふ、カンナにバレるのは仕方ないとして、メイドさん達を騙せるなら上々ね」×アヤメ(ナホ変装中)
「そ、その喋り方は、アヤメ様でしょうか?」
「私はナホだよ?」
「な、何か訳が、分からなくなってきたのですが?」
「あはは、ごめん、ごめん。ちょっと今、皆で<変装>スキルを試してたのよ。心配しなくてもアヤメだよ?」
「えええええええっ!」×メイド達
「で、でも、どう見たって、コトエ様達にしか・・・」
「凄いでしょこれ? 身長や体型まで変えれる<変装>スキルなんだよ!」
「それはまた、とんでもないスキルを手に入れられたのですね」
「ヨウ様はSSランクを公開なさったようですので、これから重宝しそうですね」×カンナ
「もう、そんなに知れ渡ってるのですか?」
「はい、テレビ放映はまだの様ですが、様々なアプリで速報が流れてますので」
「うはー、情報の拡散って凄いんですね~」
「んふふ、今日から有名人ね!」
「僕、明日からカンナに<変装>しとこっかな?」
「えっ! ちょっと待ってください。ツドイ様」
「くくっ! 冗談だよ」
「まあ、しばらく有名人気分を味わうのも良いかな?」
「有名人気分じゃなくて、有名人なんだよ?」
「そっか、当分様子を見て都合が悪そうなら<変装>しましょっか?」
「それが良いわね」
皆とそんな話しをしていると、夕方には僕達のインタビュー放映がテレビに流され各自のスマホが鳴りまくった。
僕も妹のヒカリはもちろん、友人達からも電話が入りまくった。
夕食時にはクレセントメンバーにも<変装>スキルを披露し、大いにウケた♪
「ウチ、そっくりやん?」×ナギサ(コトエ変装中)
「うはー、ウチがおる~♪」×コトエ
「コトエって可愛えな~」
「や、やめてーな、自画自賛しとるみたいやんか」
「コトエ~」
「ぎゃ~ ウチが迫って来る~」
「あはははは♪」
「ヨウ君、キスしよっか?」×ツドイ(ユウカ変装中)
「きゃあああ! 私の顔で、ヨウ君に迫らないで~」×ユウカ
「くくっ! 両手にユウカはどうかな?」
「あはは、最高ですね?」
「やめて~ 恥ずかしいんだから~」
リラさんとノノさんは、ミミさんとルルさんに変装しミルミルダンスを踊ってくれた。
普段クールなリラさんとノノさんが、思いっ切りモノマネしてくれるからメチャクチャ面白い。
本人達もメチャクチャ爆笑して元祖ミルミルダンスを踊り、カルテットダンスになり爆笑の渦に巻き込まれた♪
「あ~ 面白かった」×ミミ・ルル
「フフ、少し照れますね」×リラ
「あはは、たまには、こういうのも良いんじゃない?」×ノノ
「しゃーけど、よーそんな未確認スキルをポンポン出しはるわ~」
「まあ、そこはヨウ君だからね?」
「スーパードロップボーイだからね」
「ゴッドドロップボーイだよ?」
「根こそぎボーイかな?」
「ちょっと待ってください! 何で全部『ボーイ』を付けるんですかー」
「あはははは♪」×全員
「でも、五十鈴さんや栗生さんにも、便利なスキルになりますね?」×ユウカ
「はい、頑張って全員分、集めちゃいますね~」
「きゃー、ありがとー。ヨウ君」×イスズ
「相変わらず、凄い事を簡単に言いはるわ~」
「うわ~ 私もう凄いスキル貰い過ぎて、パニックになってるんだけど?」×ラア
「少しは慣れてきましたか?」
「ええ、<クリーン>の魔法がとっても便利だよ?」
「あはは、ステータスも上げていかないとですね~」
「うん。ナタリーさんと、イーノォちゃんと一緒にステータス上げも頑張ってるわ」
「にしし、そろそろ、夜も参加しちゃって良いんじゃない?」
「えっ! は、恥ずかしいけど、私だけ未参加なんだよね?」
「うふふ、そだね~ らあ君も今日からおいでよ?」×イスズ
「もう駄目よ? 最初は、ちゃんと2人でなきゃ?」
「僕は嬉しいんですけど、急がなくても良いですよ?」
「あ、あはは、えっと、えっと・・・おなしゃす!」
「うふふ、驚愕体験ツアーの締め括りになるよー」
「そんなになの?」
「そんなになの」
僕と、らあ君は皆から応援して貰い個室でお酒を飲むことになった。
僕もドキドキしてきたのは仕方ない。
「じゃ、頑張ってね、らあ君♪」
ガシッ! 「待って! 爆弾娘も一緒に・・・ねっねっ! 良いでしょ?」
「およー」
それからは、照れまくる、らあ君がメチャクチャ可愛くて、微酔に微睡みながら幸せな一夜を過ごした。
翌朝、目が覚めると僕の両隣には五十鈴さんと、らあ君が可愛い寝息を立てながら寝ていた。
トップアイドル2人に囲まれて朝を迎えるなんて、贅沢過ぎるなと思ってしまう。
ファンにバレたら僕、殺されるかもです。
僕はニコニコしながら、らあ君の寝顔を見ていると、らあ君の目がパッチリと開かれた。
何が起こったのか分からない様な表情をしていたが、徐々に顔が真っ赤になっていくのが可愛い。
「おはようさんです」
「お、おはよう、私の寝顔見ちゃったとか?」
「可愛かったですよ?」
「は、恥ずかしいんだけど?」
「あはは」
「私、変じゃ無かった? あんな五十鈴の顔、初めて見たんだけど?」
「こらこら~ 私も恥ずかしくなるでしょ?」
「あ、あはは、おはよ五十鈴?」
「幸せな気分でしょー?」
「う、うん! 今、最高に幸せな気分よ♪ あ~ 今までって何だったんだろ?
たった今から、世界が始まったみたい」
「分かる~♪」
「アイドル2人を墜とした感想は如何かな?」
「感無量です!」
「もう、私より皆の方が綺麗なのに?」
「がーん! そうだった。此処じゃ私なんてモブだったーーー!」
「あはは、そんな事ないですよ? 2人共メチャクチャ可愛いですから」
「うふふ、ありがとね。ヨウ君」
「ところで、らあ君? 日課を御存知かな?」
「日課って?」
「こー言う事です!」
五十鈴さんは、僕とらあ君にキスをしてくれた。
「な、な、この爆弾娘~」
「あはは、日課なんだから怒らないのー」
「えっ?」
「あはは、モーニングキスってやつです?」
「女性同士も?」
「何故か自然とそうなっちゃいました?」
「ええええええええええええええええっ!!!」
らあ君は僕に抱っこされながら皆が居るリビングに行き、照れまくってるところに全員とモーニングキスをし、顔が真っ赤っかになってしまった。
「んふふ、可愛い~」×全員
「おめでとう、らあ君」×全員
「ありがとうございます。恥ずかし過ぎるんですけど?」
「にしし、日課だから慣れないとだね~」
「クレセントに居たら、退屈なんて無縁の言葉になるんだよ?」
「あはは、確かに日常が、打っ飛んじゃいました!」
「あはははは♪」




