第278話 大変身からの大改革です
<若宮鈴 視点>
「うはっ! あ、あれって若宮だよな?」
「う、嘘?」
「マジかよ?」
「えっ! す、鈴だよね?」×ユキ
「うふふ、そうだよ。鈴だよ♪」×スズ
私は昨日アヤメさん達がくれたビューティーポーションを勧められるまま飲み干すと、まるで別人の様な美人に変貌を遂げた。
私自身、金魚の様に口をパクパクとさせて驚いたものだ。
信じられない程、眼はパッチリと大きく見え、透き通るような肌になり、髪まで艶々になっていた。
何より恐ろしいのが、美しく変貌を遂げた私を、眼鏡や前髪で何時もの私と同じようにしてくれた事だ。
お陰で私は、眼鏡を外し髪を後ろへ束ねるだけで、自分でも美しいと思える容姿に変わってしまう。
胸も大きくなり、腰も括れてセクシーになったんだけど、普段から猫背の私はあまり目立たなかった。
そこで、アヤメさん達が言う通り胸を張り、腰に両手を当てスタイルが良く分かる様にすると、制服でもとてもセクシーに見える様になった。
今の私は、何処からどう見ても地味顔だなんて誰も思わないだろう。
私に比べれば、目の前の馬鹿女の方が、余程地味顔に見えるのだから。
「馬鹿女さん? 貴女も化粧までして地味にしてるのだから分かるでしょ?
その貧相な幼児体型も良いわね。実に目立たないわ♪
ねえ、化粧を落として素顔を見せてくれない? 余程、派手な顔してるんだよね?」
目の前の馬鹿女さんは、怒りで顔を紅潮させながらも、何も言い返せないのか踵を返して自分の席に帰って行った。
次の瞬間! クラスメイト全員が私を取り囲み、笑顔で喋りかけてきた。
「若宮さんって、そんなに綺麗だったんだ?」
「か、可愛い~♪」
「メチャクチャ良いスタイルしてるよな? 高校生には見えねえよ」
「胸大きい~ 腰細~い♪」
「ねーねー、今日カラオケ行かない?」
「いや、俺達と行こうぜ?」
今まで私に寄り付きもしなかったクラスメイトが、少し容姿が変わっただけで私に構ってくる。
私は辟易としながら、言わずにはいられなかった。
「ごめんなさい。貴方達は、一体誰なのかしら?」
「えっ?」
「私にずっと虐めとも言える嫌味を言われ続けてる時、私を助けてくれたのは有紀だけだったと思うんだけど?
少なくとも、私のクラスメイトと言えるのは有紀だけよ?
ねえ、貴方達は、今まで一体どこに居たの?
今まで貴方達の視界に私が映らなかったように、これから私の視界に貴方達が映る事はないわ」
私がそう言うと、私を囲んでいたクラスメイトは、スゴスゴと席へ戻っていった。
何か文句でも言われるだろうと覚悟していたが、皆も後ろ暗い気持ちがあったのだろうか、誰にも何も言われなかった。
「フゥ~」
「お、驚いちゃったわ、鈴?」
「うふふ、ごめんなさい♪」
「でも、あれで良かったの? クラスで孤立しちゃうよ?」
「もちろん良いわ。私の親友は有紀だけで十分だから」
「あはは、親友冥利に尽きますな~」
「あはは、大好きよ有紀。今までも、これからもね」
「言い過ぎだって? 照れるでしょ? でも、鈴って、そんなに綺麗だったんだね?」
「うふふ、有紀にだけは、後で教えて上げるね?」
「やっぱり、何かあったんだー」
「そーいうこと♪」
私は有紀と雑談をしているとチャイムが鳴り、朝のホームルームが始まる事になった。
教室に先生が入ってきて、起立し礼の後ホームルームに入る。
「えー、先に先生から皆に伝えたい事がある。実は今使ってる校舎に不備が見つかり、急遽建て替える事になった」
「えええっ?」
「先生! それじゃあ授業は、どうなるんですか?」
「詳しい事は、また伝える事になるが、プレハブを建てて仮校舎で授業を行うそうだ」
「それって、何時からなんですか?」
「明日、明後日が土日だから、月曜日にはプレハブが建つらしいぞ」
「うはーーー!」×全員
「そんなに、直ぐに建てれるもんなんですか?」
「ああ、予算の関係で1クラス減るらしいから、どこかのクラスがバラバラに他のクラスに配置されることになる」
「ええーーー!」×全員
「それって、どこのクラスなんですか?」
「それは、まだ分からんが、このクラスになったとしても我慢して欲しい。連絡は以上だ」
何かとんでもない事を、先生からサラッと言われちゃった・・・
もし、このクラスが解散されて、有紀と離れ離れになっちゃったらどうしよう?
私は少し不安になりながらも授業を受け、放課後になるまでこの話題でもちきりだった。
そして今日、最後のホームルームで何故か先生は、1人の女性を連れて来た。
クラスの皆は一体誰なんだろうと不思議に思っていると、先生から説明があるようだ。
「先に説明をしとくが、月曜日に登校したときに、プレハブでのクラス分けが張り出されている筈だから確認するように! いいかー、忘れるんじゃないぞー」
「あのー、先生。隣にいる女性は誰なんですか?」
「せっかちな奴だな? 今から説明するとこだ。えっとな、この女性はホームルームの見学希望者だ」
「はい?」×全員
「だから見学希望者だ! ちゃんと、校長の許可も取っているからな。連絡事項は以上だ! さあ、何か言いたい事があればどうぞ?」
「どもども! 優しいですね先生。モテるでしょ?」
「あはは、残念ながら全くモテん! 何故だろうな?」
「あははは♪」×全員
「ではでは、皆さん! 行き成りですが問題です! 私は一体、誰でしょう?」
「えっ?」×全員
見学者だと言う女性は、何故か行き成り問題を出してきた。
誰かと言われても、帽子を被りマスクをしているので、顔が殆ど見えない。
どこかで聞いたことがあるような声なんだけど、誰なんだろう?
分かっている事は、かなり美人であり、スタイルもモデルさんかと思うほど素晴らしい。
皆も分からない様で首を傾げていると、女性はニコニコと皆を見ていた。
「流石に分かんないよね~ じゃ、ヒントとして皆の近くを歩くからね~」
謎の女性はそう告げると、皆の顔を覗き込みながら、前列の席から後ろにトコトコと歩き始めた。
そして、私の近くに来た時も、皆と同じ様に顔を覗き込まれる。
「えっ! ええええええっ?」×スズ
「にしし、分かったかな~?」
私はあまりの驚きに、思わず声が出てしまった。
それもその筈、その女性は、昨日会って口から心臓が飛び出るかと思うほど驚いた人だったからだ。
「う、唄姫・・・五十鈴さん?」×スズ
「ピンポンピンポン! 大正解♪」×イスズ
「ええええええええええええええっ!!!!!!」×全員
謎の女性だった五十鈴さんは、帽子とマスクを取り素顔を晒けだした。
真近で見ると五十鈴さんは、とても顔が小さいのに目が大きく、とんでもない美人だった。
私に凄く可愛い笑顔を向けると、また教壇まで歩いていき、皆と向かい合った。
皆もまだ目の前に、日本中を熱狂させている唄姫が居るのが信じられないのか、ポカンと口を開けたまま固まっていた。
「驚いたかな? 今日はねー、テレビの企画で学校にサプライズ出演することになったんだよね~ だから友達がいる、この学校を選んじゃいました」
「うわあああああああああああ!!!!!」×全員
皆、ようやく事態が呑み込めてきたのか、両隣のクラスに響くほど大声を張り上げて驚いている。
「うわ~ 生唄姫だ・・・」
「か、可愛い~♪」
「俺、顔を覗き込まれちゃった♪」
「あれれ、先生も驚いちゃったかな?」
「そ、そりゃそうだろ? まさか、そんな俺でも知ってる有名人だと誰が思う?」
「なんかね~ 驚かすのが目的みたいな企画なんだってさ?」
「あはは、俺みたいなおっさんでも驚くんだ。生徒なら熱狂するだろうな? まさか、このクラスに友達が居たりするのかな?」
「そだよー、だから、このクラスに来たんだもんね~ 鈴ちゃん、遊びに来たよー♪」
「えええええええええっ!!!!!!!!!」×全員
「す、鈴? 貴女、まさか唄姫と友達だったの?」×ユキ
「と、とんでもない、私なんて恐れ多い・・・」×スズ
「あれ~ 昨日、友達になろうねって言ったじゃない?」×イスズ
「い、言いました! 間違いなく、言いました・・・」
「鈴ちゃんはねー、私の友達であるSSランク冒険者の弟子の妹さんなんだよね~
あっ! そうそう。隣の有紀ちゃんだっけ?
有紀ちゃんの話しを聞いて皆が会いたがってたから、今度遊びに来てね~」
「は、はい、喜んで♪」
「ちょ、ちょっと鈴? あんな、とんでもない人達に、私の事なんて言ったのよー」
「あはっ! メチャクチャ良い友達だって宣伝しといたよ?」
「あ、あんぽんたんー」
「じゃあ皆、この後講堂で1曲歌って帰るから、是非聞きに来てね~」
五十鈴さんは、とっても愛らしい笑顔で、皆に手を振ってから教室を出て行った。
しばらくすると、教室に備え付けてあるテレビに五十鈴さんが現れ、元気に講堂へ集合するよう呼び掛けていた。
すると、まるで校舎全体が震える様な歓声と地響きがなり、全校生徒が講堂へ走って向かった。
もちろん、私と有紀も急いで講堂へ向かい、まるで天使の囁きのような素晴らしい唄に酔いしれた。
半ば放心状態のまま、ぼ~っとしていると全校生徒の前で『鈴ちゃん、またね~』っと、私に声を掛けてくれ帰って行った。
その後、私は怒涛のような質問攻めにあうのは、火を見るより明らかだった。
私はフラフラになりながら、有紀に家まで送って貰うと、既にお兄ちゃんが帰っていた。
「た、ただいま~」×スズ
「おー、おかえり鈴。おっ! 有紀ちゃん久しぶりだな?」×ムサシ
「こんにちは、お兄さん」
「つーかーれーたー」
「なんだよ、何かあったのか?」
「なにかあったどころの騒ぎじゃないよー、お兄ちゃん。今日、とんでもない事が起こったんだから~」
「んふふ、なにかサプライズでもあったのかしら?」×アヤメ
「ひえっ! ア、アヤメさん?」
「やほー、おじゃましてるよー」×ナギサ
「ナ、ナギサさん、三日月さんまで」
「お邪魔してます! おかえりなさい。鈴さん」
「た、ただいまです」
「お兄ちゃん! 三日月さん達が来てるなら言ってよー」
「ああ、来てるぞ?」
「遅い! 遅すぎるよ? お兄ちゃん?」
「あっ! 君が有紀ちゃんだね? 僕ツドイだよ宜しくね」×ツドイ
「は、はい、宜しくです?」×ユキ
「昨日のスーパーウーマンさん達ですよね?」
「あはは、唯の冒険者だよ?」×ノノ
「フフ、健康的で可愛らしい、お嬢さんですね?」×リラ
「す、鈴・・・私、お嬢さんだって?」
「あはは、喜びすぎだよ? お嬢さん♪」×スズ
「鈴ちゃんから聞いたんだけどさ、有紀ちゃんって最高だよね?
僕、気に入っちゃった!」×ツドイ
「私達もそう思うわ。自分を顧みず友達を庇うのって、中々出来る事じゃ無いもの」×アヤメ
「人ってさ、集団になると陰険なとこが出てくるんだよね」×ノノ
「フフ、貴女は素晴らしい人物ですね」×リラ
「はわわ! す、鈴~」×ユキ
「うふふ、本当の事よ?」×スズ
「ありがとな師匠達。鈴の相談に乗ってくれて。鈴も何か嫌な事があったら兄ちゃんにも言ってくれよ?」
「うん、ありがとね、お兄ちゃん。でも、心配掛けたくなかったからさ」
「馬鹿野郎! そんな事気にしなくても全部、兄ちゃんに任せてくれたら良いんだからな? でっ! 悩みは解決したのか?」
「うん、アヤメさん達のお陰で、今日は思いっ切り言い返しちゃった♪ そだ、お兄ちゃんにも見せて上げるね、私とっても綺麗にして貰ったんだよ?」
「あはは、だから、鈴は何時も可愛いって・・・はあ? 鈴だよな?」
「うふふ、可愛くなったでしょー」
「し、師匠・・・一体、鈴に何をしたんだよ?」
「んふふ、武蔵君。ビューティーポーションって知ってる?」×アヤメ
「ああ、なんか綺麗になるポーションだろ? まさか、それを鈴にくれたのか?」
「惜しいけど、違うんだな~」×ナギサ
「武蔵君が言ってるのは、市販品のビューティーポーションでしょ? 鈴ちゃんに上げたのは、効果100パーセントの本物だったりして」
「ええっ! そんな、凄い物だったんですか?」×スズ
「どこにも売ってないし、ヨウ君の関係者しか手に入らない逸品だよ?」
「そんな、貴重な物まで持ってんのかよ?」
「そりゃそうだよ。だって、ヨウ君が見つけた素材から出来てるんだし?」×ツドイ
「「「ええっ!」」」
「まだヨウ君以外、誰も見つけてない未確認素材よ!」
「かはっ! って、事はエスケープクリスタルだけじゃなく、それも大本は師匠だったのか? どうりで金持ちな訳だ?」
「フフ、それらの収入などヨウ様にとっては、有ってない様なものですよ?」×リラ
「ん~ お金の事は、あんまりよく分かんないんですよね。
そだそだ。月曜日から鈴ちゃんと有紀ちゃんを、同じクラスにしときましたからね?」
「「ええっ!」」
「な、なんで、そんな事知ってるんですか?」
「ごめんね。余計な事とは思ったんだけど、適当な理由をつけて今のクラスを解散しときました。嫌な奴等は極力視界に入らない様にと思ったんですよ」
「ま、まさか、校舎の建て替えも三日月さんが?」
「はい、校長に頼んでおきました! 快く引き受けてくれましたよ?」
「フフ、もし断られても、校長が他の誰かに変わるだけでしたからね」×リラ
「・・・・・」
「まさか、鈴の為に校舎まで建ててくれたのか?」
「そうですね。適当な理由がそれしか思いつかなかったんですよ?
最初はクラスメイトを全員退学にするか、鈴さんと有紀さん2人だけの新クラスを作ろうかと思ったんですけどね。
鈴さんが気を使いそうだから、止めました」
「うはーーー!」×ユキ
「・・・ひょっとして、五十鈴さんもですか?」×スズ
「んふふ、これでもう誰も鈴ちゃんに、嫌味なんて言えなくなったでしょ?」×アヤメ
「絶対に敵に回したくない、SSランク冒険者の関係者ってのも、宣伝して貰ったからね」×ナギサ
「これで、もう万全だよ?」×ツドイ
「おっとろしいことするな・・・」
「フフ、武蔵さん。貴方は、もうヨウ様の関係者なのだと自覚して下さい。
ヨウ様は、身内には過保護と言える程、優しい方ですが敵対する者には容赦などしません。
それは私達も同じです。武蔵さんも自分の守るべきものの為に尽力して下さい」×リラ
「ああ、ありがとう師匠。そして、アヤメさん達もな。鈴のために動いてくれて感謝するよ」
「いえいえ、これで明日から思いっ切り、訓練出来ますねー」
「・・・今日も結構、頑張ったんだが?」
「あはは! そだ、有紀さん?」
「は、はい」
「有紀さんにも、これ上げちゃいますね」
「これって、まさか?」
「とっても、良い物ですよ?」
「あ、ありがとうございます。でも、私何も返すものが・・・」
「そんな気を遣わなくても良いですから、飲んじゃって下さい」
有紀は、三日月さんに勧められるまま、ビューティーポーションをコクコクと飲んで、幸せそうな表情をしていた。
「有紀さんも何か困ったことがあったら、僕に相談して下さいね?」
「ありがとうございます」
「じゃ、僕達は、そろそろ帰りますね」
「ありがとな、師匠」
「「ありがとうございました」」
三日月さんは、手をブンブンと振って別れの挨拶をしてくれ帰って行った。
「ねえ鈴? 三日月さんがSSランク冒険者なんだよね?」×ユキ
「ええ、そうよ。全然強そうに見えないでしょ?」×スズ
「うん、とっても可愛いわ♪ 優しいし素敵な男性だよね? でも、それと同時に恐ろしい人でもあるんだよね?」
「うん、ちょっと、凄すぎて想像も出来ないんだけどね」
「なー、言っとくけど、師匠達の事は他言無用だぞ?」
「うん、分かってる。お兄ちゃん」
「私も絶対誰にも言わないわ。とっても良い物、貰っちゃったしね」
「うふふ、今日からお揃いだね?」
「私は、鈴ほど可愛くなんないって?」
「フフ~ もう既に、メチャクチャ可愛くなってたりして♪」
「う、嘘だ~ もう揶揄わないでよ~」
「いや、マジだし?」×ムサシ
「えっ?」




