沐浴を楽しむ花嫁 3
「意地悪に書かれてたら?」
「はいっ。うんと優しい王子様に書いて下さらないと! あ、解釈違いにうるさい民になってしまいました……」
「解釈違い?」
「はい。私の推しのフェリス様は人気者なので、推す方によってはお人柄の解釈のズレがあるかと……」
「うちの花嫁さんは常におもしろいことを言う」
くすくす笑って、フェリスはレティシアを抱き上げる。
「きゃ、フェリス様。フェリス様が、濡れちゃいます」
水の中を裸足で歩いてたレティシアは、抱き上げられて素足がフェリスの衣を濡らすのを心配する。
「平気だよ」
昨日も想ったけれど、水を司る竜の一族の人だけあって、水に触れてるフェリス様は、生き生きしている気がする……。
「あ、お船……」
遠く、ディアナ王都の湾内に入港する、いくつもの大きな船が見下ろせる。王都の港に帰って来る船、旅立つ船。
「レティシア、船に乗ったことは?」
「あんな風に、海を行く大きな船に乗ったことはありません。湖に浮かべた小さな船ならば……」
「そうか。じゃあ今度、船にも二人で一緒に乗ろうね。レティシアは海の国のお姫様になるんだから」
「……お船に? ホントですか、フェリス様?」
「うん。……船の旅も楽しいよ。王都から海沿いにシュヴァリエにも帰れるよ。だから船で帰ってもいい」
「すごいですっ! あでも、結婚式の後のことであれば、陸路のほうが、街道でフェリス様を見たい方が待ってるかも……」
船の旅は楽し気だけど、フェリス様推しの同担の方々が、海路ではフェリス様が見れないわっ。
「ああ、僕の花嫁レティシアを見たい方々をしょんぼりさせてはいけないね。……レティシアはいつも優しい」
「やさしい? というか、私がもし街娘で、フェリス様の御成婚みたいなあ、て思ってて、全然見れなかったらしょんぼりするなあって……」
レティシアは、フェリス様推し活はこちらの世界で初めて勤しんでるんだけど、きっと前世でアイドルとか応援してたら、人気のチケットとれなくてしょんぼり組な気がするし……。
ディアナの神殿はとってもとっても広いけど、ディアナの王都の人全員は入れないだろうし……。
「そうだね。僕が街の少年でも、レティシアが見れないとがっかりするだろう。……桃の炭酸水飲む? レティシア?」
「はい」
小さな桃のかけらかがいくつか浮かんでるフルートグラスをとってもらって、フェリス様と乾杯する。
「桃尽くしにしてもらったけど、いちごのほうがよかった?」
「桃も好きです。白桃のタルト美味しそうです!」
「じゃあこの桃のタルトを食べよう」
昨日と同じ、温浴の泉の、ディアナ王都がよく見える位置に座って、フェリス様と桃のタルトを摘まみながら、二人で足湯をした。晴れた太陽の下で二人でお喋りしながら、温かいお湯に足を浸していると気持ちよくて、ただ幸福で、ずっとこうしていたいと思った。
ああ昨日中にあげたいと思ってたら、24時から3分過ぎてしまいましたっ。
本日、我が家でも長野の桃食べてました! めっちゃ甘かったです~!
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