沐浴を楽しむ花嫁
「フェリス様、フェリス様、あっちに行ってみてもいいですか?」
オリヴィエ大神官から厳かに祝福を受けると、後は御二人でご自由に、となり、水の神殿で、レティシアはフェリスの手を引いてはしゃいでいた。
「うん。レティシア、焦らないで。転んだらいけないから」
「はい、フェリス様」
本当だわ、ただでさえ身長が違うレティシアにあわせてフェリス様動いてくれてるのに、引っ張って転ばせてはいけないわ!
婚前の沐浴で、沐浴場で二人でこけるなんて、縁起が悪すぎるっ!
「フェリス様、ご要望の御品、あちらにご用意してございますので」
「ああ、ありがとう」
神官の言葉に、フェリス様が頷いている。
まるでさっき祝福を授けてくれたレーヴェ竜王陛下が、フェリス様の身体をえて、水の宮殿に降り立ったみたいに、神々しい御姿……。
太陽の光に、きらきら光る、裸足の足に触れてる聖なる水たち……。
「レティシア、どうしたの?」
「あ。いえ」
フェリスに尋ねられて、レティシアは答える。
「フェリス様が美しすぎて、何処かへ行っちゃいそうで……」
「何処へ? 大切なレティシアをおいて、僕は何処にもいかないよ」
いつもそう言って下さるのに。
どうして時々、不安になるのだろう?
霊格が高すぎて、この美しい人が、何処か人の領域ではないところに、攫われてしまうのではないかと、
レティシアは訳もなく不安になることがある。
大丈夫。馬鹿ね。今日はフェリス様はお義母様に傷つけられたわけでもない。
澄み切ったディアナの碧空と同じ色の瞳をして、レティシアと手を繋いで、とても幸福そうだもの。
レティシアをおいて、何処にも行ったりしないわ……。
「それに美しいのはレティシアだ。僕の花嫁さんがこの世で一番可愛らしく、美しいよ」
「……、……」
フェリス宮に来てからのレティシアは、フェリス様や皆が大事にしてくださるので、確かに美しい。
サキやリタが毎日丁寧に梳かしてくれる髪も、シュヴァリエの薔薇の石鹸で洗れた肌も。
「……フェリス様、シュヴァリエはどちらの方角ですか?」
「ここから? そうだね。こちら側の西側になると…」
シュヴァリエは王都から少し距離があるので、ここからは見えないらしい。
「神殿疲れた? シュヴァリエの薔薇祭、恋しい?」
「いえ、神殿もとっても楽しいです! 薔薇祭ももっと見たかったですが……」
「じゃあ結婚式が終わったらシュヴァリエで過ごそうか? シュヴァリエの者達も喜ぶよ」
「ほんとですか? たのしみ……!」
シュヴァリエの人達も薔薇畑も好きだけど、何よりフェリス様が王宮より少しのんびりしてらっしゃる感じが好きかも……。
本日の我が家のデザートは桃です。桃もスイカももう終わりですね~夏が終わってく~(終わっていい!暑すぎたので!笑)
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