水の神殿にて 2
「おや、今日もオリヴィエがいてくれるんだ」
フェリスは友人の姿を認める。
「はい、フェリス様。大神官が、御二人の沐浴については御自身でと仰って」
「それは有り難いことだね」
御付きの神官の言葉に、フェリスは頷く。
正式な沐浴の儀は昨日すませているので、本日は神官から簡単な祝福を受けて、二人で沐浴に臨む程度のはずだ。ようするに、何もオリヴィエが来なくても、新米の神官でもいいような仕事だ。
「オリヴィエ様がいらっしゃるとほっとします」
「レティシアの為にいてくれるのかもね」
「まさかです……」
ほんわかレティシアは微笑んでるが、実際そうなのでは? とフェリスは想う。
フェリス自身は、ちょっと久しぶりとはいうものの、レーヴェ神殿は己の庭のような場所なので、緊張などはない。
婚前の儀式で使う沐浴場にはさすがに初めて入ったが、神殿での沐浴自体は若き日のオリヴィエと来たこともある。
なので、そのオリヴィエが大神官となり、フェリスの婚礼を司ってくれるのも、何ともこそばゆい気分だ。
フェリスの気持ち自体は、王立魔法学院にいた頃と、……何なら、レティシアが垣間見たという少年の頃とも、たいして変わっていないのに。
子供の頃のフェリスは、よく、一人で神殿にいた。
神殿にしかない書物もたくさんあったし、いまのレティシアではないが、どちらを向いてもレーヴェの絵画や彫刻の溢れる神殿は、何だか癒されたのだ。
神殿は、久方ぶりに魔力の高い第二王子を喜んで、フェリスを自由にさせてくれた。
のちに竜王陛下御本人と会話するようになって、こんなお気楽な人の絵画を飾りまくるのはどうなんだ?
とちと思ったが、少年の頃、憧れて見上げた神殿の天井画の彼の翼は、いまもフェリスやディアナの人々を守り続ける。
ディアナ王である父のことが、どうしてもあまり好きになれなかったときに、『フェリスの魔力がとても強いのは、きっと竜王陛下の血よ』と金髪を撫でてくれる母のたおやかな手は癒しだった。
神殿を埋め尽くすレーヴェの像を見上げながら、自分にも本当にこの竜の神の血が受け継がれているのだろうか? と誇らしく思っていた。
「フェリスさま……、水の神殿のあの竜王陛下の像も素敵ですね……輝いておられますっ!」
ぎゅっと繋いだ手に力を込めて、レティシアがフェリスに囁く。
二人に祝福を授けるレーヴェの像は、太陽の光を受けて、きらきらと輝いている。
我が御先祖が『邪神扱いは不当だぞ! オレは瑞獣だぞ! 』と威張るだけあって、このような場所で、レーヴェの像を仰ぎ見ると、確かにディアナを守護する瑞獣に見える。
幸いにも、フェリスのところには、竜を愛する乙女が嫁して来てくれた。
秋の気配がしますね♪ 我が家の犬王子にあげようと北海道かぼちゃレンチンしたら、何もつけなくても、とっても甘かったです! 犬王子もかぼちゃの甘さにくびったけでした(笑)
五歳小説五巻&漫画三巻発売中です~
五歳コミカライズ18話、7/1シーモア先行配信&8/1全社配信!





コミック三巻表紙❤
五歳で、竜コミック連載