花嫁の沐浴
「レティシア姫、沐浴のお支度を」
「うん、サキ、ありがとう」
本日も沐浴!
ちなみに、正式な沐浴の儀は終えてて、後は『神殿にて、二人は、連日、潔斎に臨んだ』という大義名分のもと、数日、ここで足湯でもしよう、とフェリス様が昨日言ってた。
ディアナの街を眺めながら、二人でお喋りしながら足湯は楽しかったので、沐浴、こんなに楽しくていいのでしょうか、と思わず聞いてしまった。
でも、今朝は邪神騒ぎもあったし、もしかしたらフェリス様忙しいかも? フェリス様忙しかったら、くまちゃんと御本でも持って行こうかしら、足湯……いや、ダメか、くまちゃん……。
「本日は、こちらに、坊ちゃまが姫をお迎えにいらっしゃるそうですよ」
「フェリス様も? ご一緒できるの?」
「はい、姫。婚姻前の沐浴ですから、御二人で行かれませんと」
「うん、でも、事件のこととかで、お忙しいかなって……」
「それはもちろん坊ちゃまもご協力はなさるでしょうが、神殿の警備は神殿の領分ですから。……御二人の大事な婚姻前の沐浴の障りにはなりません」
レティシアに説明してくれるサキは、フェリス宮の筆頭女官らしく凛としている。
「……どうして邪神邪神と竜王陛下を誹謗中傷する方々にはわからないんでしょう? 私たちがいかに竜王陛下をお慕いしているかが? 今日も、フェリス様の朗読が邪魔されて、礼拝の皆様、ご立腹でした」
リタは、鏡の前にレティシアを座らせて、レティシアの髪を梳かしながらご立腹である。
「そうね。フェリス様の御祈り、ゆっくり堪能できなかった……」
しょぼん、とレティシアは沈む。
今日は、レーヴェ神殿で祈りの言葉を朗読するフェリス様を堪能する予定だったのに……!
「レティシア様がお望みなら、朝夕、坊ちゃまは、レティシア様の為にお祈りになりますわ」
「そういうのとは違うの、サキ。礼拝堂で素敵にお祈りする眼福な推しをね、皆様と一緒に……いえ、贅沢を言ってるわね、わたし……」
ううん、とサキに首を振ってから、レティシアは反省する。
もちろんフェリスは、レティシアが望めば、眠る前にレティシア一人の為だけに、あの優しい声で、祈りの書を読んでくれるであろう。
そんな贅沢なフェリス様の花嫁という立場にありつつ、美しい推しの御公務なさる姿を皆様と一緒に鑑賞したい……! と強欲になってしまうのである。
「邪神騒ぎはびっくりしたけど、御二人並んだフェリス様とレティシア姫は美しかったなあ、レティシア姫も強い魔力を御持ちなんだなあ、安心だなあ、ディアナは御二人に守ってもらえて、て参拝の方々、お帰りでしたよ」
誇らしげなリタの言葉に、レティシアはフェリスの傍らに飛んでいったときのことを思い出す。
レティシアもフェリスと並ぶと安心した。
この小さな身を盾にしてでも、この位置ならば、大事なフェリス様を守れる、と。
七月最終日! 皆様いかがお過ごしでしょう? あとちょっと……あとちょっと書けば更新できるのに……と寝落ちしがちなあやで申し訳ない……やはり夏場は早朝四時起きがつらい……!
熊本地震の被災者の方々、お見舞い申し上げます。
暑い中、水など、とても大変だと思うのですが、御無事をお祈りしています!
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