おにぎりと姫君 2
(でも、おに、ぎりは、差し入れてやるのか?)
「やはり、嫁としては、歩み寄り大事だと思うので!」
なんといってもディアナ宮殿は広いので、行事ごとでもなければ、王太后様に会う機会はない。
同じ家に住んでると言っても、家が広すぎるので……。
(えらいな、フェリスのちっちゃいお嫁さんは)
「ちっちゃくありません! おっきいのです! 精霊さん、おにぎりの味は……、なくなった!」
(うん。オレが食べたからな)
「食べられるのですか、精霊さん」
レティシアは、捧げ持っていた皿からおにぎりがひとつ消えたので、琥珀の瞳を瞬いた。
(うん、やろうと想えば、食べられるぞ。……うまい!)
「美味しいですかっ」
うまいの一言に、レティシアはにこにこした。嬉しい!
(うん、うまいぞ。塩と米がよくあってる。……これはレティシアのいた異界の主食か?)
「あ、これは、私のいた世界の日本という国の主食なのです。普段も食べるし、お弁当、行事ごとなどにも活躍しますね」
(旅に持って行くのによさそうだな)
「そうですね! 旅にも活躍します。……精霊さんは家守りの精霊さんですが、旅もなさいますか?」
(うん。オレは旅好きだぞ。定住したのが珍しいくらいだ)
「そうなのですか! 私は、旅は、このディアナへの旅が初めてです!」
レティシアとしての人生では。
(そうか。サリアからディアナへの旅は楽しかったか、レティシア?)
「……いえ、緊張してて、あまり、初めての旅路を楽しむ余裕もなく……」
旅路に浮き立つ心もなく、変わっていく景色をぼんやり馬車の窓から眺めていた。
憐れな花嫁として。
(そうか、そりゃそうだな。ディアナの変人王弟が怖くて怯えてたな、きっと。……うむ、フェリスが悪いな!)
「え、ええ? フェリス様、ぜんぜん悪くないです、精霊さん。ただ、私が怖がってただけで……」
フェリス様がどんな人かわからなくて怖かったのもあるけど、大好きな両親が早逝してしまい、叔父一家は豹変、あっというまにやっかいもののサリアの呪われた王女に転落して、これからの人生に何の期待もできなくなってしまっていた。
(いやフェリスが悪い。あいつが自分の悪評をかまわなかったから、レティシアが怖い思いをした。大事な花嫁を怖がらせた。フェリス、有責だ)
「……でも、フェリス様が見たままの麗しの王弟殿下と、サリアに聞こえてきてたら、叔母様たちは、私をフェリス様の花嫁にはしなかったでしょうから……。こうして、精霊さんに私のおにぎり食べてもらうこともできませんでしたっ。……フェリス様がご自分の風評にちっともかまわなかったおかげで、私、ここに来れましたっ」
(……そうか。フェリスのおかげか。……まったく、レティシアはフェリスに甘いからな)
「……私、フェリス様に、甘くないです、ホントのことです」
人差し指を桜色の唇にかざして、レティシアは微笑った。
大好きなフェリス様には、もっとご自分の評判を気にして、自分のことをもっと大事にしてほしいけど……、レティシアはここにいられて嬉しい。
フェリス様や、精霊さんや、フェリス宮のみんなといられて嬉しい!
本日の更新はMUSICDAYS見ながら書きました! シャッフルメドレーあたりで書いてました。今夜は夜祭なのですが、雨で無理そう。祭を愛するうちの愛犬王子、可哀想……。先週なんて、帰ってきたのに、もう一回! もう一回! お祭り行こうよ! とはしゃいでました(とにかく人のたくさんいるところが大好き……笑)
昨日、水道、漏水して、床が水浸しになり、え……我が家どうなるの? と慌てたあやです。幸い、すぐ水道局の方来てくれて、とまりました。……怖かったです! ん? キッチンの水道の蛇口がなんだか変だな? と思ったら、修理はお急ぎください……壊れると怖いです!
7/1、椎名先生の5歳コミカライズ18話シーモア先行配信しました!
マリウス陛下に謹慎解除の御礼に行く二人の回です! マリウスもイケメン!





コミック三巻表紙❤
五歳で、竜コミック連載