ディアナの美しい妃たち 5
「参拝客や神官達に怪我人などは? フェリスとレティシアは?」
「はい。幸い、怪我人などはなく、フェリス様とレティシア姫も大事なく……、狼藉が発生して、レティシア姫がフェリス様のもとにあらわれたので、民達は、小さくともさすがディアナの新しい王弟妃とご機嫌で帰っていったと……」
「……あの娘は魔法に堪能なのか?」
婚約者候補のレティシアの釣り書には、そんな記録はなかった。
「いえ、サリアでは王族でも魔法は使わぬとのことですから、……フェリス殿下が何か守護の魔法を施されてるのか……、あるいはフェリス様のもとにおいでになって魔力が目覚められたのか……」
「……なるほど」
レティシアの誘拐事件もあったことだし、フェリスが何かお互いで対になる魔法でもかけているのかも知れぬ。
「……サリアの呪われた王女とは? とあの姫の資料を作った者に尋ねたいの……」
両親を失い、叔父王に疎まれ、寄る辺ない幼い姫、孤独のあまり、おかしなことばかり言っているそうです、と伝えた者には、いったいぜんたいおまえの眼は節穴なのか? と少々尋ねたい。
「……呪われた王女と迫害されていたのは事実のようです。……現に、レティシア姫の花嫁行列はずいぶんひっそりしたものでしたし、到着なさったばかりの頃はあのように輝くように美しい姫ではなかったとお世話した女官たちも……」
「……なるほど。フェリスとよほど気がおうたのか? 不思議なものよの。……さぞや、ディアナ国内のフェリスの舅になりたかった貴族たちも歯噛みしておろう」
謎なレティシアだが、実家の後ろ盾がないことは変わらぬから、それだけでもよしとするしかない。
「レティシア姫たちとのお茶会では、随分とマクシミリアン様が不躾でございましたね。リリア僧の出入りを許しているというのも由々しきお話……」
「なんぞ、ガレリアからよい貢ぎ物でももろうておるのやも知れぬ。くだらぬ男だ」
「……まあ、マグタレーナ様、手厳しい……」
女官たちが、くすくす笑う。
「そうではあるまいか? どうせリリア僧あたりは、邪神似の氷の王弟殿下のフェリスを口説けず、くみしやすしとマクシミリアンあたりに擦り寄っているのでは?」
マリウスは、マグタレーナの短慮と責めたが、『マリウス陛下の継承の儀式に疑いあり』の噂で得をするのは、王位継承権に近い位置にある者だ。
だからフェリスを謹慎にした。マリウスには叱られたが、それほどおかしいことをしたとは思わない。
「……それならば、マクシミリアン様にはますます自重して頂きとうございますね。ディアナがレーヴェ竜王陛下を忘れて、リリア神にかぎらず、他の神様に縋ることなどありえないのですから」
「まったくな」
何故あのときマリウスをお拒みになったのです、と人知れず嘆き続けるマグダレーナすら、では他の神を信じるか、と言われても、やはり断る。よその神ではなく、敬愛する竜王陛下に、マリウスとマグタレーナのまことを信じて頂きたいのだ。
「レーヴェは義母上にすら愛されていて、ずるいです」(fromフェリス)
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コミック三巻表紙❤
五歳で、竜コミック連載