レーヴェ神殿の回廊にて 4
「僕達が仲良しだから?」
「……は、はいっ!」
照れくさそうでとびきり嬉しそうなフェリスの笑顔に、レティシアは見惚れながら、お返事する。
仲良し!! ……のつもり。
いや、つもりでなく、仲良しだと思う!!
「……僕限定の魔力ではないと思うんだけど……、」
「私がぺたぺた触って元気になるのはフェリス様くらいだと……」
それでも、それは、とっても嬉しい。
レティシアが小さいからかも知れない。
前世でも、子供とか犬とか猫とかと過ごしてると、ストレスが緩和されるって記事をスマホで見た記憶……。
レティシアもサイファに触ってると癒されるから。
「……でも、さっき、レティシア、礼拝堂に溜まってた邪気を中和して、退けてたよ」
「……? そんな凄そうなこと、してません」
魔法の授業も初歩からすすめてませんし。
「……凄いんだけどな、レティシア、ホントに。うちの精霊さんと仲良しだし、竜王剣にも呼ばれちゃうし……」
「それは精霊さんや竜王剣様がお優しいだけでは? はっ、精霊さんにおにぎりをお供えしなければ……!」
精霊さんに一番にお供えしなきゃ。そこはやっぱり、オリヴィエ様より、街の方々より、精霊さんには普段とってもお世話になってるので……。
「……喜ぶよ、きっと、精霊さん」
レティシアの髪に顔を埋めるようにして、フェリスが笑っている。
「フェリス様?」
何かまたフェリス様の笑いのツボに入ってしまったらしい……。
お供え、変?
でもやっぱ、御先祖様にお供えはしちゃうよね。
それに、精霊さん、日本のおにぎり、とっても喜んでくれそう……!
「レティシアの癒しの力は、僕限定ではないと思うけど、……独り占めしたい悪い僕もいる」
「わたし、誰にでもぺたぺた触りませんし……、フェリス様限定のレティシアの癒し効果です」
怪我してる人とか、病気の人とか治せる魔法はぜひ覚えたいので、そちら方面の才能があるかも、というお話はとっても嬉しいけど、フェリス様以外にぺたぺたしないしね……!
というか、こんな綺麗なレーヴェ神殿の神像みたいなフェリス様にぺたぺた触ってるのも、我ながら、凄いと常に思ってるんだけど。
「うん……。僕も、うちの我儘な悪い竜に似てきたのかな……。いまは、僕がレティシアを独り占めしていたいな」
竜王陛下から、オレは我儘でも悪い竜でもないぞ、と苦情がきそう、と思いながら、レティシアはフェリスの金髪をそっと撫で撫でした。
そして、レティシアのおにぎりはフェリス様の為だけに握って、もしどなたかに差し上げたかったから、フェリス宮の厨房のみんなにお願いしよう、 それでぜんぜん大丈夫! レティシアのおにぎりを人にあげたくないだけで、フェリス様の心が狭いなんて、謎の曲解をフェリス様がしてはいけないわ、うちの推しはだいぶ博愛のお人好しの王弟殿下よ、と思いながら。
「うちの奥さんはレティシアより怖いから、そんなの聞いてくんないぞ。フェリスはレティシアに甘やかされてるぞ」(from竜王陛下)
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