レーヴェ神殿の回廊にて 3
「あ。お寿司もフェリス様に食べさせたい」
「オ、スシ?」
「はい。ラムゼイ料理長が白いごはんを美味しく炊いてくれたので、ほかにもフェリス様に食べさせたいお米のお料理がいっぱいあります!」
わくわくするー。ディアナの料理はとっても美味しくて、サリアでちょっと食生活が低下してた日々から一転、レティシアは毎日フェリス様とのお食事の時間が楽しみで何の不満もないけど、白ごはんにこんなにときめいてしまうあたり、日本の娘の魂、生きてるってかんじ……。
「あ、でも、フェリス様、生の御魚をごはんにのせちゃうのどうかな……ダメかな?」
「僕の姫は僕の束縛にうんざりしないの?」
狭量さを気にするフェリスをよそに、レティシアはお寿司も美味しく食べて頂けるかな? と考えている。
「……そくばく? えっと、おにぎりは誰が作っても美味しくて……、あ……でも、フェリス様が私のおにぎりに……食べ物に執着して下さるのは、とっても、とっても嬉しいです!」
フェリス様って食べ物ぜんぜん興味ない人だから、他の人にあげたくないとか大進歩よね!
日本のおにぎりはやっぱり偉大よね!?
「フェリス様が他の人にあげたくないなんて、おにぎりってすごい……」
だってフェリス様は、目の前にいちごがあったら、みんなレティシアにくれちゃいそうな方だもの……。
そんな欲のないフェリス様が、何かを独り占めしたがるなんて。
「……僭越ながら、おにぎりがすごいのではなくて、レティシア姫が凄いのだと思います」
レイが笑ってる。
わたし? わたしのおにぎり、そんな凄いかな?
あんまり綺麗な三角にならなかったけど……、初めてのレティシアの作ったおにぎり、ちゃんとフェリス様に美味しいって食べてもらえて嬉しかったなー。
不思議だね。レティシアの身体には、日本の血は一滴も入ってないけど、やっぱり大好きな推しから日本のお料理を美味しいって言って貰えると、凄く嬉しい。
「そうだね。僕はおにぎりというより、レティシアが……いや、……ごめんね、レティシア。レティシアの手には癒しの力があるから、レティシアの手で作られたものは、きっと人を癒すよ。あの者達も、オリヴィエも癒されると想うよ。……いつも、僕が沈んでるときにレティシアが元気にしてくれるように」
いえ、フェリス様、それはいつものフェリス様のレティシア贔屓すぎというか……。
「……? それはフェリス様限定の魔法だと思います。私たちは……」
レティシアはことりと小首を傾げた。金の髪がさらさらと流れ落ちる。
「僕達は?」
「……んと……、わたしたちは仲良しですので! なので私は、よく知らない他の人は癒せませんが、フェリス様を……ちょっとだけ、元気にできるかも」
フェリスにこの神殿の主そっくりの美しい貌を寄せられて、ううう? と悩んだ末、レティシアは真っ赤になりながらそう答えた。
何と言ったらいいものか考えつかなかったのだが、フェリス様が落ち込んでるときにレティシアがそばにいて元気になるのは、二人の仲良し魔法では? と思ったのだ。
きっと、もっと適した表現があるだろうが、いまひとつその方面の言語能力が貧困なのだが……。
フェリス様は、レティシアのおにぎりを、過大評価し過ぎなのである。
「レティシア、父も寿司とやらを食べたいぞ。あと、癒しの力はあると思うぞ」(from竜王陛下)
昨夜、これを途中まで書いてて寝落ちしてしまいしたので、朝の二人をご査収ください(笑)
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