レーヴェ神殿の回廊にて 2
「フェリス様……」
フェリス様はもとから美貌な方なんだけど、最近、なんだかどんどん綺麗になられて……、これは決してレティシアの主観ではないと思うのっ。
さっきの男の方たちも『フェリス殿下は、ご婚姻を控えて、ますます煌めいておいでだ!』て言ってたもの。
本当に煌めいてるのよ、ううっ、私の推しが光り輝いて……っ。
「レティシアが故郷の料理をディアナの者にも食べさせたいと思う心は愛しいのに、……他の者にレティシアのおにぎりを分け与えるのが嫌な僕は、とても狭量な男だ」
「………?」
光り輝く我が推しが、後光をしょいながら、何かまた謎なことを仰っている。
「フェリス様、おにぎり、たりなければ、私、すぐお作りを……」
「いや、そうではなくて」
ふわりとレティシアはフェリスの腕に抱えあげられる。
「ほかのものが、僕のレティシアが手をかけたものを食べるのが、ちょっと……いやかなり……おもしろくないんだな。我ながら大人げない」
苦笑しているフェリスを、レティシアは抱き上げられたフェリスの腕の中から見下ろす。
「……では、他の方には、もうあげません。……私のおにぎり、フェリス様に食べさせたかっただけなので」
にこっとレティシアは、フェリスの腕の中で微笑んだ。
そもそも、レティシアのおにぎり計画は、フェリス様の夜食の為なので。
ディアナのいろんな人にも喜んでもらえると嬉しいが、他の人に差し上げる分は、レティシアがちっちゃなおててで頑張らなくても、厨房の人にお願いしても、全然いい。
フェリス様が、レティシアのおにぎりを他の人にあげるのが悲しいなら、あげない。
……でも、それって、どういう感じなのかしら?
ううん、おにぎりってあんまりレアなものじゃないから、ちょっとわからないけど……。
「あ、もしや、料理とかはしたなかったでしょうか?」
いや、そんなこと仰るフェリス様ではないと思うけど……。
「そんなことあるわけない。……レティシア、狭量な僕を怒らないの?」
「怒りません? フェリス様に喜んでほしかったおにぎりなので、基本的には、フェリス様に食べて頂ければ、レティシアはそれで……」
おにぎりにはしゃいでたくさん作ったものの、もとより、レティシアは(雪にしてもレティシアにしても)、私の料理をぜひ皆さんに! というタイプでもないので。
おにぎり、ディアナの人にも喜ばれて嬉しい……くらいである。
「そーんなにフェリスを甘やかしちゃダメだぞ、我が娘よ(笑)」(from竜王陛下)
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