表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
15万部突破【書籍⑤巻&COMIC③巻3/1発売】五歳で、竜の王弟殿下の花嫁になりました  作者: あや


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
896/905

ディアナの竜の恋の歌 2


「どうして泣いてるんだ、リリア? おいで、背中に乗せてやろう。あまり何でも思いつめてはいけないぞ?」


幼いころは、リリアが泣いていると、すぐにレーヴェが来てくれた。


いまから思えば、気紛れな竜神は、まだ幼い神だったリリアのことを、何くれとなく気にかけてくれていたのだ。


可愛いお花や、甘い果実をくれたし、背中に乗せて飛んでくれたし、頭を撫でて慰めてくれた。


「レーヴェ。どうしてレーヴェはいろんなところに行くの? どうしてずっとひとつのところにいないの?」


「んん? おもしろいからだよ、リリア。人の大陸を旅して、各地を見て回るのが楽しいからだ」


「レーヴェは人間が好きね。人間が苦手な神もいるけど……」


「ああ、オレは人の子は好きだぞ。見てて、おもしろいからな。でも、なんつーか、たまに人の祈りで成り立ってるのに、人間が嫌いだって神もいてあれは不思議だな。それ、自分の存在ごと否定してないか? て傍から見てると不思議だ」


「レーヴェは、人間の祈りはなくても平気なのに、人間が好きなのね」


神々にもいろいろな神がいて、リリアは人々の祈りから生まれ、人間の想いに支えられて、形を成している。


レーヴェは、太古に自然から生まれた神であり、人の祈りから生まれたわけではないから、とくに存在を維持するのに人の祈りを必要とはしない。


「そうだな。オレは愛すべき小さな隣人として人の子が好きだぞ。……リリアも、人の祈りから生まれた子だから、人間が好きか?」


「……わかんない」


小さなリリアは、レーヴェの腕に抱き上げられながら、ふるふる首を振った。


「そっか? まだそんなのわからんか?」


「人間のことはまだよくわからない。……リリアはレーヴェが好き!」


「あはは。ありがとうな。オレもちいさなリリアが大好きだぞ!」


その昔日の光景を、フェリスが見ていたら何とも言えぬ顔をしたろうし、小さなレティシアも、竜王陛下それはちょっと……あの……その……と言葉に困ったろう。


だが、豊穣と慈愛の神レーヴェとは、もともといろんなものを捨て置けぬ性質であり、長い長い生のなかで、たくさんの神も人も、拾ったり育てたり面倒をみたりしていた。


「リリアはレーヴェが好きだから、レーヴェみたいな神様になりたい」


「んー。んー? オレには似ないほうがいいかもな? リリア、女の子だしな。もうちょっと堅実な奴に似たほうがいいかもしれん……、今度、だれかよさげな女神のとこに、茶にでも連れてってやるからな。オレに似ないで、可愛く育てよー」


「……? 可愛く、育つ。でも、レーヴェに似たい……」


無理な望みだった。


あんな自由さも、あんな磊落さも、もとよりリリアにはない。


それについては、天上も地上も、どれほど探したところで、いつの時代のいかなる神も人も魔も、レーヴェに似てなどいない。


いや、似た者が、ディアナに生まれた。


『どなたかと、お間違えのようですよ。僕は、地上で生まれて地上に還る、一介のディアナの王子です。偉大な力なぞ持ったこともなく、昔、違う誰かを愛したこともありません。……この世でもべつの世でも、僕が愛しいレティシア以外を想うことはない』


レーヴェに貌が似ているというだけでなく、フェリスは竜の神の気を纏っている。


そして、全く違うように見えて、本質もひどくレーヴェに似ている。


もうすぐ、レーヴェに似たフェリスが、あの異界から来た娘レティシアに、永遠の愛を誓うのだ。


あの娘は、レーヴェの神殿で身を清め、名実ともに、フェリスの后、そして、レーヴェの娘となるのだ。


レーヴェの娘。


この世に、そんな羨ましいことがあるだろうか、いったい?


「……レーヴェ……」


リリアが沈んでいても、もうレーヴェは飛んできてくれない。


それはレーヴェの心が何処かに移ったからではなく、幼かった神リリアがあるていどの大人になったからなのだが、もはや頭を撫でて、背中に乗せてあやしてくれる竜の神が飛んできてくれないことは、リリアを途方もなく孤独な堅物の女神へと成長させてしまった。


「レーヴェはあちこちでいろんな方を甘やかしすぎなのです、もちろん僕もその一人なのですが」(from氷の王弟殿下)


五歳五巻&コミカライズ三巻発売中です~♪

6/1五歳@COMIC17話、全社配信スタートしました!

5/1五歳@COMIC17話、シーモアにて先行配信スタートしました!





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
リリア、ホストに恋した勘違い女にしか見えなくて気持ち悪い… いい加減他の神々からお叱りを受けて反省して欲しい( ノД`)… お宅の信者も迷惑だよちゃんと管理しなよオルガンならす前にカルロに神罰でもくだ…
神も人も、『自分が好きなレーヴェ』でいて欲しいと望むばかりで、レーヴェが何を愛しどこにいたいか、どう望んでいるかを尊重してはくれないのだな、と感じました。 だからこその、自分が先立った後に他の誰かを愛…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ