ディアナの竜の恋の歌
どれほどの人々の崇拝をえようと、各地に神殿が建立されようと、どこの国の神となろうと、そんなことが何だというのだろう?
だれの崇拝も、だれの憧れも、だれの想いも、リリアを癒すことはない。
リリアを崇拝する人々は、リリアのことを、何も知らない。
『慈愛深きリリアの神』は、『正義』と『平等』と『愛』と『慈愛』と『叡智』と共にある。
そのどれひとつすら、レーヴェの心を惹くことはない。
レーヴェは生まれついての我儘な竜なので、別段、『正義』にも『平等』にもこだわりがない。
ディアナの守護神となる、とレーヴェが決めたとき、あまりいいことだとは思えない、と幾柱かの神々がレーヴェを止めようとした。
『豊穣の竜』が一つの国に留まり、ディアナにレーヴェの情けをかけることは、この世界にとって平等とは言えないのではないか? と。
「……じゃあ、あの地の水源が枯れて、大地が干からび、生きものが飢え、ディアナが滅んでいくことは、誰かにとって平等なのか? 無駄だよ。オレはもう、ディアナを愛した。オレが何処にいようと、あの地は、オレの加護のもとにある」
「人間の娘と、レーヴェが婚姻など……、人の血の脈のなかに、貴方のかけらが散逸して、やがて消えていくのですよ? 到底、人の子の娘がレーヴェに似た子を産めるはずも……」
「オレに似てなくてもいいんじゃないか、アリシアに似てれば? そもそも器が人で、オレに似た子が生まれたら、それなりに窮屈で大変そうだ」
神々は、いつもレーヴェの気紛れに困りつつ、レーヴェをとても愛していたから、豊穣の竜を人の娘に与えることを惜しんだ。
あのとき憂えた神々ですら、まさか百年も生きなかったアリシアが、その後、千年もディアナにレーヴェを繋ぎとめるとは想像もしていなかった。
みなが、ほんのいっときのレーヴェの気紛れ、と思っていたのに、いまだに、レーヴェはディアナと共にある。
ガレリア王ヴォイドの野心も、リリアの大司教カルロの野心も、決してリリアがそうさせたものではないが、あの人の子らがディアナを望むのは、もしや、リリアの何かに知らずに呼応してるのだろうか?
もっともリリアは、レーヴェをこの地上に縛り付けるディアナなど、まるで欲しくない。
千年もディアナに繋がれた、誰より優しい、誰より自由な育て親の美しい竜を、ただ、解き放ってほしい。
レーヴェがディアナの鎖から解き放たれたところで、リリアのものになるわけではないが、それでも、
何かが誰かが、ずっと、あの美しい竜に干渉しているのが嫌だ。
『見よ、あの豊かなディアナの地を。レーヴェ神はいまもアリシア妃を愛してやまない』
フローレンス大陸中で謡われるレーヴェのお伽話を耳にするのも疎ましく、せめても、レーヴェを自由にしてほしい。
千年も、如何なる見返りも求めずに、レーヴェはあの人の子の娘に尽くしたではないか?
誰のものでもなかったレーヴェを返してほしい。
天の竜を、天に返して欲しい……。
「いまも昔も、何もかも、オレの意志でやってるぞ?」(from竜王陛下)
今週、コミカライズの原稿頂いてお戻ししたのですが、可愛いシーンがいっぱいありました!
お楽しみに!
五歳五巻&コミカライズ三巻発売中です~♪
6/1五歳@COMIC17話、全社配信スタートしました!
5/1五歳@COMIC17話、シーモアにて先行配信スタートしました!





コミック三巻表紙❤
五歳で、竜コミック連載