さまざまな思いとともに 2
「こちらは……?」
「おにぎりと言うお米を使った簡単な料理なのです」
レティシアはにこにこと説明している。
「御二人で? 作られたのですか? レティシア姫もですが、フェリス様が食べ物を作る……?」
どういうことだ、その疑わし気な眼は、オリヴィエよ。
「……僕がメインではなく、レシピはレティシアで、神殿の厨房の者も手伝ってるから大丈夫だぞ」
僕は食べ物に対して信頼されてなさすぎじゃないか? と我ながらフェリスは疑問に思う。
「それは安心です。フェリス様は少々、食物に対して無頓着すぎるところがございますから……」
「そんなことはありません、オリヴィエ様。フェリス様は料理のちょっとした味の違いにもよく気付かれるのです。あえて御指摘なさらないですが」
レティシアが助け舟を出してくれる。それにしてもレティシアは、フェリスをよく見てる、と感心する。
「僕の食事面の至らなさとは関わりなく、レティシアのおにぎりは美味しいぞ。いらぬなら持ち帰り、僕が食すぞ」
「……とんでもございません、レティシア姫とフェリス様が御自ら調理された尊いお食事、有り難く頂きます」
「そんなすごいお食事ではないんですけど……、お仕事のあいまにも召し上がりやすいものなので」
「何やら可愛らしいお菓子のようです」
「お菓子ではないのですが、元気が出る食べ物です!」
興味津々のオリヴィエに、レティシアが説明している。
魔法学院の学生の頃のフェリスに、いつの日かオリヴィエがレーヴェ神殿の大神官になって、僕の妃になる人と二人で食事を作ってオリヴィエに差し入れするぞ、などと言っても、ぜったいに信じないと想う。ああ、オリヴィエの大神官はまああるかもな、と思うだろうけど。
「そう、おにぎりは、まさに元気の出る食事だ。……オリヴィエ、ずいぶん数が減ってるはずだが、ディアナ市中で邪神騒ぎを起こすリリア僧は、相変わらず健在なのか?」
「いえ、大半、ガレリアに帰って頂いて、沈静化してきておりますが……、本日のように、ディアナの市民に術をかけられると、どうしようも……」
「もう少し、結界の術式を考えてみるかな……、微弱な邪術も弾けるように……」
強力な魔術的な干渉を拒むようにディアナ王都に結界を設定しているのだが、どうしても焦点が強い魔法になってしまう。
「それは私どもや魔法省や警備隊の仕事です。殿下は、結婚式の主役なのですから、どうぞレティシア姫のことだけお考え下さい」
「もちろん常にレティシアのことを考えているが、レティシアも皆も安全でなければならぬ」
とはいえ、結婚式の警備なんて、実にやりにくいな、いかようにも人が多すぎる、と我がごとながらフェリスは考えていた。
「うちの嫁が健気すぎてお父さん感涙」(from竜王陛下)
ちょっと書籍化の原稿チェックしてて、更新数日あいちゃいごめんなさい!
沐浴の儀式あたりの原稿チェックしながら、去年の今頃こんなこと書いてたのかー、何だかとっても幸せそう、この人たちー! と読み返してました(笑)
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