レーヴェ神殿の厨房にて 2
「も、もったいないです、フェリス様のおにぎり」
「……僕が作るものなんて、食べられるものになるのかどうか、謎なところだよ? これを、どのくらい力いれて握るの?」
ごはんの真ん中に鮭をいれて、フェリス様がレティシアの手元を伺っている。
「んと、ぎゅーって堅くにぎっていただいてもいいし、壊れない程度にふんわり柔らかめでも大丈夫です。ぎゅうぎゅう握ると、たくさんのごはんを小さくできるので、たくさん食べる方向けかも……」
「ほお。では、うちのレティシア向けなら、ふんわり柔らかめだよね」
「……私もフェリス様向けなのでふんわり……でも私の手だとちっちゃいので、ちょっとぎゅぎゅって詰めようかな……?」
あったかいごはんを握りつつ、のどかな会話をしている。
「レティシアみたいに三角にするのはどうやるの?」
「これは、ちょっとこうやって、指を立てて頂いて……ここにごはんを移動させて……でも丸でも俵でも、どんな形でも美味しいですよ。最初は俵とかでいいかも……」
「たわら? とは?」
「あ、そうだ、ここになかった……んと、楕円形ていうか……、揺り籠型というか」
異世界に米はあっても、米俵って日本限定だよね、きっと。
「なるほど、揺り籠」
俵型のおにぎりは、雪の記憶的には、おばあちゃんのおにぎりってイメージなんだけど、記憶の中のコンビニのおにぎりってそういえば、ほぼ三角で、譲って丸だった。俵型って意外に型としてとりにくいのかな? 輸送時の便利度の都合かな?
「うん。これは便利な食事で、騎士団の者にも覚えさせて、夜営時などに自分で作らせてもよさそうだな……僕にもできるくらいだから」
うーん。おにぎりは誰でもできると思うけど、フェリス様って何をさせても器用にこなしそうな方だから、フェリス様に出来ることが誰にでも出来るかって言うと別問題よね……。
「なあ、おまえ、貴重な食材を手にとりすぎじゃないか?」
「あ、す、すみません、レティシア姫」
「いえ。大きいおにぎりも食べ甲斐あるので、いろいろ作ってみてくださいね」
神殿の厨房の方が恐縮してるので、レティシアはにこっと微笑んで励ました。
ごはんはラムゼイにまた炊いてもらえるから、けちけちしなくても、大丈夫!
これが転生して最初の最後のおにぎりなら、フェリス様以外はダメ! てけちけちしちゃうけど……。
「レティシア、ご、はんがついてるよ」
「にゃ?」
どうやってそんなところに米粒が飛んだのか、レティシアの頬についていたご飯粒を、フェリスがキスでとってくれる。
「……フェ、フェリスさま……!」
びっくりして、握っていたおにぎりを落っことしそうになったが、それだけは何とか耐えた。フローレンス大陸でレティシアが人生初めてにぎったおにぎり、これはぜひフェリス様に食べさせたい…
昨日の夕方にも更新してますので、あれ?1p抜けたかな? て方は前のページもご確認を♪
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