フェリス様と白いごはん
「ロンに握ってもらうのでは、レティシアの故郷の味はだせないの?」
「いえ、おにぎりはどなたが握っても美味しくできます! そこが自慢の故郷の味です! でも、わたしは、わたしがにぎったものを、フェリス様に食べて頂きたいのです!」
だって、レティシア、超絶過保護なフェリス様と厨房の皆様により、包丁も火に近づくのも厳禁なんだもの……。
いや、もちろん、危ないから、は、理解している。
中身がどうこうといっても、ボディは小さいんだから、料理はまだ早いという意見も理解できる(というか、レティシアの身分だと、一生、料理しなくても全く不思議ではないのだし……)。
でも、おにぎりくらいなら、作らせてほしい!
アフタヌーンティの夢を叶えてくれたフェリス様に、レティシアのおにぎりを!
「……フェリス様?」
フェリス様が真っ赤になってしまわれた。
何故かしら?
私、何かおかしなこと言ったかしら?
「……僕に食べさせたいから?」
「はい!」
自信満々にレティシアは答えた。
我が推しに、日本のおにぎりを食べさせたい!
そして、やっぱり他の人じゃなくて、レティシアが作ったおにぎりを食べさせたい!
「何とお可愛らしいレティシア様。坊ちゃま、どうか姫のお気持ちを汲んでくださいませ」
「……、……」
サキが援護射撃してくれて嬉しい。
けれど、フェリス様のお顔がやけに赤いのが気にかかる。
「フェリス様? 御顔が赤いです。さきほどの騒ぎで、お疲れなのでは? 悪者が悪い術をかけたかも知れません。ちゃんと魔法省の方に診て頂いて……」
「……いや、なんでもないよ。大丈夫。……ただ、レティシアが僕の為にお料理作ってくれるって言うのが……嬉しかったんだ」
「ホントですか? じゃあ、おにぎり、私が握ってもいいですか?」
「……じゃあ、保護の魔法をかけるから、手を貸して、レティシア?」
「はい」
おにぎり握るのに、そんなたいそうな……と思うけど、レティシアはフェリス様に手を差し出す。
フェリス様に、白ごはんを、レティシアの手を火傷させる危険物と認識されてはいけないわ!
これは、危ない物体ではなく、美味しいものなのよ!
「うん。これで大丈夫。ここで作る? 厨房のほうがいい?」
何やらレティシアの小さな手に、フェリス様の魔法をかけて頂いたようだ。
「ここでも大丈夫ですが、衛生的には、厨房のほうがいいかな……?」
うーん。フェリス様のお育ち的に、料理は厨房から運ばれてくるものだろうから、ごはん持ってちゃんと厨房に移動して作ったほうがいいかな? と考えてた。
「じゃあ、ここの厨房を借りよう」
フェリス様の言葉とともに、レティシア、ごはんの乗ったワゴン、ロンが、ふわりと何処かに運ばれた。
「……お、王弟殿下? レ、レティシア姫? ど、どうなさいました?」
「ああ、すまない。うちのレティシアが少し作業をしたいので、ここの厨房を借りていいかな?」
どうやら、清潔に片付けられたこの場所は、レーヴェ神殿の厨房らしい。
何か料理を作ってるのか、いい匂いがする。
神官服に前掛けをつけた青年が、突然現れたフェリスとレティシアとロンとごはんのワゴンにぎょっとしている。
編集さんから六巻原稿のお戻しこないな……お忙しいのかなー? と思ってたら、来てたメールを見落としてました! うう、毎日お返事まだかな~てチェックしてた筈なのに。というわけで、もそもそ六巻作業してます!
ROAD TO レティシアのおにぎり3(笑)
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