薔薇の姫の贈り物
「ロン! ラムゼイ達は元気にしてますか?」
ワゴンとともに現れたフェリス宮の厨房の黒髪の青年に、レティシアは気軽に話しかける。
「フェリス様、レティシア様、お元気そうで何よりです。お邪魔をしてすみません。以前、レティシア姫から頼まれたお品の試作品が出来ましたので、レティシア姫に、これで正しいかどうか、ご感想を伺いたく……」
「わたしのリクエスト?」
何だったろう? レティシアは、フェリス様にあれも食べさせたい、これも食べさせたい、とよく厨房のお邪魔をしているのだけれど……。
ちなみにお手伝いさせてもらえるのは、花を載せるとか、飾りを飾るとか、何か超簡単なものを混ぜるとかのみである。過保護なフェリス様に倣って、厨房の人々も過保護なので、レティシアは刃物と火のそばから遠ざけられている。
「レティシアの食べたいもの? それともレティシアが僕に食べさせたいもの?」
「きっと両方だと……」
フェリス様は、『フェリス様にたくさん食べさせたいレティシアの厨房の同盟』をよく把握してるので、
楽し気に聞き返す。
「神殿にまですみません。ただ今回のは、何度も試したなかで、どうやら今度こそレティシア様の話された様子に近いのでは、と……」
「はっ。私が軽率に言ったことで、みんなにそんな苦労をかけていたとは……」
「いえいえ。美味しいものをお出ししようと、試作を繰り返すのは当然ですので、苦労ではなく喜びです。まして、何かを食べたい、こんなものが食べたい、と言って頂けることは、嬉しいです」
「……偏食家の主で苦労を掛けてすまない、ロン」
「い、いえ、フェリス様。フェリス様のお心を誘えるように、日々、皆で腕を磨いております。……最近はレティシア姫が励まして下さって、仕事の愉しみが増しております」
「……うちのお姫様は優秀だからね、僕より。……これ、保温魔法がかかってるね?」
銀のワゴンには、大きな木製の円形の箱が乗っている。
箱というか、何だか、故郷の丸い寿司桶を思い出させる……。
「はい。どうぞ、こちら、よろしければご試食を……」
「……ごはん!」
ロンが丸い箱の蓋を開けてくれると、ほかほかと湯気をたてる白い御飯があらわれて、レティシアは琥珀の瞳を輝かせた。
「ごはんだわ、白いごはん!」
レティシアは嬉しさにぴょんぴょん飛び跳ねたくなった。
いつかの夜に、レティシアが尋ねたので、フェリス様がいろいろな地方のお米を取り寄せてくれたのだけど、ディアナでは、米をさっと茹でてつけあわせのようにメインに添える形式が多いそうで、もちろん前世の日本風の白御飯という料理はなかった。
フェリス様のお夜食におにぎりを作りたくて、日本風に白米を炊けないか、こんなかんじで……と水加減や炊飯時間など、料理長のラムゼイにこっそり相談してたのだ。
ROAD TO レティシアのおにぎり(笑)
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