初恋の姫君は、竜の神殿にいる 51
「……レティシア、着替えたの? 可愛いね、碧いドレス」
「フェリス様のお洋服も名残り惜しかったのですが……」
フェリス様が様子を見に来てくれて、ドレスを褒めてくれたので、ドレス選びにつきあってくれたサキとリタが嬉しそう。最近ね、慣れてきたせいか、言葉で聞かなくても、二人が嬉しそうなときがわかるの。二人は、フェリス様に一礼して部屋から下がっていった。
「妖しい古着だよ。僕からレティシアを奪って、子供の僕のもとへ連れ去ろうとするんだから」
めっと言いたげなフェリス様。
ちっちゃくても大きくても、どちらもフェリス様だと思うんだけど……?
「いえ、妖しくは……、あ、もしかして、フェリス様の神官服のせいかも? 私の初めての転移魔法成功したの! 精霊さんが手伝ってくださったか、この神官服に残る子供時代のフェリス様の魔力が……」
レティシアの見習い中の魔法だけでは、突然、フェリス様のもとへ飛んで行けないよね。
「では子供の僕と精霊さんを、よく叱らねばね? レティシアを危険に晒してはいけないと」
「え、ダメ、ダメです、叱っちゃ……わたしはお礼を言いたいです!」
楽しそうなフェリスに、レティシアは懸命に反論する。
もう脱いじゃったけど、子供時代のフェリス様の遠い孤独の気配を感じる神官服。
そして、フェリス宮の精霊さん(神殿の精霊さんでもあるのかしら?)。
「ちいさいフェリス様も、私を護ろうとしてくださいました。何処の誰とも知れぬ娘なのに。……さすが、私の推しです……! お小さい頃から、きらきら輝いてました!」
「……小さい頃から、負けるのが嫌いな不遜な子供だったからね。僕にレティシアを奪い返されて、さぞや不機嫌だと思うよ」
フェリス様、ちっとも真面目に聞いてくれない……。でも確かに、レティシアが何処かに消えちゃって、心配してるかも、小さいフェリス様……ご、ごめんなさい……。
「御二人でご歓談中のところ、失礼いたします。……レティシア様、レティシア様にフェリス宮の者よりお届けものが……」
レーヴェ神殿の神官が顔を覗かせ、フェリス様がレティシアと笑っていたので、控えめだが凄く驚いた様子だ。
……? フェリス様が笑ったくらいで、何も驚くことないのでは?
「まあ、フェリス宮から? なあに?」
レティシアは、わくわくと尋ねる。
レティシアは、いつも朝咲きの薔薇をフェリス様の部屋に選んだりしてるから、庭師さんが、薔薇でも届けてくれたのかな?
フェリス宮の皆は、二人がレーヴェ神殿に滞在するというので、物凄くがっかりしていた。
先日、フェリス宮の厨房から、お夜食を拝借したので、みんな、二人が元気に食べてくれてる、と喜んでくれてるはず……。
さすがのレティシアも、レーヴェ神殿の厨房には、フェリス様のお夜食をねだるところまで親密ではない。
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