初恋の姫君は、竜の神殿にいる 40
「フェリス様」
「フェリス様」
「フェリス様」
地上に降りたら、フェリス様を待ってる神官さん達がたくさんいらした。
フェリス様は自称人見知りの引き籠りなんだけど、相変わらず、たくさんの人に取り巻かれるのも、それをさばくのも慣れてらっしゃる。
「レイ、僕の姫を頼む。……レティシア、レティシアの為に祈るよ」
「はい、フェリス様。い、いえ、祈りは皆様のために」
レティシアの額にキスを落として、背の高い神官さん達に囲まれて、フェリス様が行ってしまうと寂しい。
後ろ姿すらお美しいけど、我が推しフェリス様は!
レティシアは、フェリス様によってずいぶん甘えたな姫君になってしまった。
ほんの少しでも一人になるのが寂しいなんて。
(レティシアを一人にするなんて、ダメなフェリスだな)
「せいれいさ……!」
いけない、不意に耳に聞こえた精霊さんの声にお名前を呼びそうになってしまった。
不審な姫君になってしまう。
あわわわ、とレティシアは両手で口をおさえる。
「レティシア姫?」
レイに心配されて、レティシアはにこっと笑う。
「何でもないの、レイ。フェリス様が、本当に神官様みたいって」
神官達を引き連れて歩く、背の高いフェリス様は、高位のレーヴェ神官のようで、隣を離れると、とても遠い人のように見えてしまう。何処にも隙が無い、この世ならぬ美貌。
「さようですね。我が主は黙っていらっしゃれば、大変に神々しく……」
「レイったら」
おどけたレイの口調に、レティシアは笑った。
(喋ると残念なんだよな。さすが我が一族)
精霊さんも、レティシアの耳元で笑ってる気配だ。
「レティシア姫、こちらへ。フェリス様の姿はお見えになりますか?」
「うん。大丈夫。よく見える。ありがとう」
レティシアの席を設えてくれて、ちゃんとフェリスの姿が見えるか、心配してくれる。
小さなレティシアはちょこんと席に座る。
礼拝堂の椅子はもちろんいつも腰かけてるソファなどより硬い。
フェリスが壇上に移動する姿に、フェリス様! と、礼拝堂の参列の人々が湧く。
(レティシア、あのひとと結婚するのかなあ、ほんとうに?)
礼拝堂を埋める人々の憧憬の眼差しや感嘆の吐息に慣れた様子で応えて、静かに祈りの書を開き、朗読を始めるフェリスは、美しくて優しくて、そして何処かやはりこの世ならぬ存在だ。
(今日、うちの坊やは、レティシアの為に祈るらしいぞ)
精霊さんてば、と赤くなりつつ、聞きなれたフェリスの声が礼拝堂に響きだすと、その優しい声にやはりレティシアは安心した。
「礼拝って眠くならないか? 子守歌みたいで」(fromレーヴェ神殿の御本尊)
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