初恋の姫君は、竜の神殿にいる 39
「サリアから来た娘の為に、あのフェリスがあんなに怒るとはな」
子供の頃はささやかに嫌がらせなどされていたものの、誰も叶わないほど、フェリスが剣や魔法の腕をあげて竜王陛下にそっくりに成長して以来、誰もフェリスに手出しはしなくなったので、機嫌の悪いフェリスというものを見かける機会すらなかった。
誰に話しかけられても、いつも穏やかに微笑んでいた。
身分の高い者にも低い者にも変わらずに等しく優しく、そして誰にも何の興味もなさそうだった。
「花嫁の為に怒るのは、竜王陛下の血を継がれた御一族としては当然かと。……ディアナの男としても」
「あんな子供が相手でもか?」
「子供はすぐに大きくなりますし、お茶会でそのお姿をご披露なさったように、レティシア姫は殊更に美しくお育ちになります」
確かに、大人の姿のレティシアは、一度見たら忘れられぬような夢のように美しい姫だった。
フェリスとレティシアの茶会の大人のレティシアの姿に叶わぬ恋をして、寝込んだディアナの青年貴族もいると、詩人たちが歌っている。
(マクシミリアン、レティシアを侮辱する言葉は謹んで頂きたい。……僕達の茶会で、僕のレティシアの名誉を傷つけるのであれば、いまここで貴兄に決闘を申し込むが)
あんなにまっすぐ怒気に溢れたフェリスの碧い眸に射られたことは、マクシミリアンは初めてだ。
氷の王弟殿下と謳われたフェリスが、まるで、婚約者を守るあたりまえの熱い血の通うディアナの男のようだった。
「おもしろいな。……あの娘は、眠れる竜王剣を歌わせ、氷の王弟殿下をただの普通の男に変えるのか?……いったい、あの小さなサリアの王女には、どんな魔力があるんだ?」
(マクシミリアン様、私の婚約者のフェリス様も、竜王陛下も邪神ではありません! いまの御言葉、取り消してくださいませ!)
かけられた時の魔法が解けるほど、怒っていた美しい少女。
迷いのない琥珀色の瞳で、フェリスだけを見つめ、大切に守ろうとしていた。
可憐な姿に似合わぬ、勇ましい娘。
ガレリアがあの娘をさらったことには、それだけの意味があるんだろうか?
竜王剣を騒がせるほど、あの娘自身に何かの力があるのか?
フェリスに氷の仮面を外させる娘。
「あまたの候補の中から、フェリス殿下の后にと、人からも星からも選ばれて、ディアナへ嫁された姫君。レティシア姫もまた稀有な星と御力をお持ちに違いありません」
我が家の家令が人が善すぎるのはさておき、確かに、竜王剣まで騒ぐとあっては、あの娘は普通の娘ではないのかも知れない、とマクシミリアンも想った。
いえ、私はただのレティシアですが、竜王剣様は陽気でおもしろい御方でした!(fromレティシア)
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