初恋の姫君は、竜の神殿にいる 41
(精霊さん、精霊さん、フェリス様、かっこいいです! 素敵です!)
天にまします我らが竜の神よ、いとけなきディアナの子らを守りたまえ、迷い悩み、日々を生き、日々を戦う子らを守り給え、と朗読するフェリスの声が、静まりかえった神殿内に響きわたる。
(そっかあ? 普通じゃね?)
(普通が、いつもとてもかっこいいのです、フェリス様!)
いつもより伏し目がちなフェリスは大人っぽい様子だ。
レティシアと話すときは、フェリスはいつも碧い眸をキラキラさせて、レティシアの顔を覗き込んでいる。
レティシアと話しているのが楽しくて仕方ない、という様子で、それが何よりもレティシアを安心させてくれる。
(僕たちは似た者同士だ)
ほかの人と自分が違う、生まれたところに居場所がない、という孤独を知る者同士だ、と初めて会ったときに言ってくれた。
そして、フェリス様は言わないけど、レティシアは知ってる。
生まれたところに居場所がないにも関わらず、二人とも、生まれた場所をとても愛してる。
お父様とお母様が愛して守ってきたサリア、新しい家族も失って、レティシアに何の希望ももはやないが、せめてそのサリアの役に立ちたい、と望んだこの結婚だった。
そうして出会ったディアナの守護神に似たフェリス様は、浮世離れした美貌の方で、風変わりで、何でもできる方なのに、自己評価だけは桁違いに低くて、誰かが自分に見惚れて倒れても、そんなに僕は怖い貌だっただろうか? 申し訳なかった……と思ってるような御方だ。
大好きすぎる。
美しいところも、強いところも、弱いところも、可愛いところも。
「……邪神だ……!」
フェリスの祈りの書の朗読に聞き惚れる聴衆の中で、男が一人立ち上がった。
「……邪神?」
「おい、静かにしろよ、せっかくフェリス様が……寝ぼけてるのか?」
ざわざわとざわめきが広がる。
「見よ! あの男は邪神だ! あの禍々しい声、あの人を誑かす美しい姿! あれが邪神でないはずが……!」
「おい、おまえ、どうしたんだよ、酔っぱらってるのか?」
立ち上がって騒ぐ青年を、隣の男が不思議がっている。
「……レイ。あの人……」
フェリスにうっとりしていたレティシアも、気になって、フェリスから眼を離して、そちらを見る。
「ちょっとおかしいですね」
「レイ、誰かにあの人の様子を見てもらって……フェリス様に危険が……」
「……邪神よ、滅びよ!」
騒いでいた男が、何かをフェリスのほうに投げる仕草をした。
「フェリスさま……!」
「レティシア姫、いけません!」
レティシアは考える暇もなく、フェリスを庇いに行こうと席を立ちあがり、慌てたレイに止められる。
「レイ、退いて! フェリス様が危ないわ!」
「邪神、邪神いうなっつーの! オレは吉祥!」(from竜王陛下)
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