初恋の姫君は、竜の神殿にいる 36
「フェリス様がレティシア姫と飛翔されて……」
「何と美しい御二人だ。天上の光景のようだな」
フェリスに抱かれたレティシアの金の髪が揺れる様を、レーヴェ神殿の神官達が見上げている。
「レティシア姫は、また、竜王陛下の天井画を喜ばれているようだな。本当に可愛らしい姫君だ」
フェリスと一緒のときも、一人でレーヴェ神殿を散策しているときも、レティシアはことのほかレーヴェの絵姿を喜んでいるので、神官達としても大変好ましい。
レティシア流に言うならば、『同じ竜王陛下をお慕いする同担ですね、私達!』である。
「御二人が婚姻前の沐浴においでになるなり、ずっと静かだった竜王剣が歌ったというのだから、竜王陛下にご結婚を祝福された御二人だ」
「……マテオ、どうしたんだ? 難しい顔して」
飛翔するフェリスとレティシアを見上げながら、悩む顔をした神官にヨハンは問いかける。
「いや……先日の……竜王剣の悪い噂を思い出して」
「ああ、リリア僧の流した噂か? 陛下が竜王剣を抜けぬ、まことの竜王陛下の代理人ではない、などという根も葉もない噂のことか……?」
「本当に、根も葉もない噂なんだろうか?」
黒髪のマテオは、フェリスの輝く金髪と美しい横顔を見上げている。
竜王陛下に瓜二つといわれるフェリス王弟殿下の美貌を。
「当たり前だろう。悪しきリリア僧どもは、フェリス王弟殿下の御働きで捕らえられ、ガレリアからは、一部の狂信的な者達の暴挙とディアナに詫びがあったはず」
「……だが、その為に、フェリス殿下は王太后様に謹慎させられたと……」
「……ああ。それはいつものマグダレーナ様の発作だ。王太后様は悪い方ではないが、ときどきフェリス殿下に関しては……」
ヨハンは、仕方ない、と言いたげに首を振る。
「マグダレーナ王太后様は、常に、フェリス殿下を怖れておいでになる。……マリウス陛下ではなく、フェリス殿下こそが、まことのディアナの王ではないか? とディアナの民が問うのを怖れて……」
「おいおいおいっ」
ヨハンは慌ててマテオの口を塞いだ。
「それは言っちゃならん。……結婚式間近の、幸せそうな御二人の為にも黙れ」
マテオの口を塞ぎながら、ヨハンは、竜王陛下の天井画を見上げながら何か話して笑っているフェリスとレティシアを見上げる。
そんなことを言ってはダメなのだ。あの美しい人が、どんなにレーヴェ竜王陛下に生き写しでも。
誰かの、そんな言葉は、きっと、あの人を、困らせてしまう。
穏やかな優しい手で、そっと、この国を護っているあの人を。
一昨日からこのシーン書こうとして、寝落ちを続けておりました(笑)春眠暁を覚えず(笑)
だいぶ散ってしまいましたが、桜がまだ少し咲いてます♪
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