初恋の姫君は、竜の神殿にいる 30
「レーヴェは勝手に話しかけてるだけでしょう……」
「だって勝手に話しかけても、普通は聞きとれん。レティシアは、オレの話にあたりまえに返事してるからな。それでね、精霊さん、フェリス様がね、フェリス様がねって……、オレもずいぶん長く生きてるけど、まさか可愛いフェリスの嫁の惚気話の聞き役する日が来ようとは……まったく長生きはするもんだ」
「……のろけ話、なんて……」
きっと、そんなつもりはないだろう、レティシアには。
緊張しながらサリアからやってきて、逢ってみたら、ディアナの随分年上の婚約者が、思ったより、話の通じる相手で、嬉しくて、誰かに聞いてほしくて仕方ないというか……。
「僕は本当に至らない男で、レティシアに迷惑かけてばかりいるのに、どうして、レティシアはあんなに僕をオシてくれるのでしょう、レーヴェ……」
形式上、家族という名の身近な女性に、何をしようと嫌われるのは、義母上で慣れているのだが、逆に何をしても何を言っても好かれるなんて、経験がなさすぎて、嬉しさと困惑で、どうしていいかわからない。
普通、怒るだろう、嫁に来るなり、姑はあの状態だし、フェリスのせいで他国にまでさらわれるし……。
「ん? フェリスが至らない男だから、かえって心配で、面倒みてあげなくちゃ! と思われてるんじゃないか? あれで、レティシア、身は小さいけど、姉さん女房なんだし。毎日、フェリス様にごはんをたくさん食べさせなくては! と謎に燃えてるし。聞いてるとおもしろくて仕方ない。飯くらい、自分で食えよ、って話だよなー」
「……そうでしょうか? あまりにも僕が至らないから、逆に……そうかも知れません」
それは、なんだか、ありそうな気もする。
しょっちゅう、ごはんはちゃんと食べなくてはいけません、フェリス様! と心配されてるし……。
「何といっても、レティシアは、フェリスが優しすぎて、悪い人にひどいめにあわされないか心配だから、お守りしなくては、と思ってるんだぞ。……オレの可愛い娘、猫かぶりまくりの悪い男に騙されてるわー……」
「……騙してはいません、僕はレティシアが望む男になりたいと思っているので、常に優しい人を目指しています」
たまに怒りのあまり、少々、ガレリアの神殿など破壊していることが、レティシアに露見していないのは幸いだとは思っているが……。
「なあ、フェリス、猫かぶり過ぎて、背中から尻尾がでそうな気にならんのか?」
「なりません。本心ですので。それにそもそも僕に尻尾はありません。……レーヴェみたいに翼があると、レティシアを背中に乗せてあげられて喜ばれそうですが……」
あまりにも竜王陛下に似ていると言われるので、まさかそのうち眠ってる間に竜になったり? と思春期に(いまも思春期だが)戸惑いを覚えたこともあるのだが、レーヴェ神殿で、大きなレーヴェの竜の姿絵にきゃっきゃっ喜んでいるレティシアと歩いていると、もしや竜でも大丈夫なんだろうか? と思えてきたのが凄いと思う……。
けだし、うちの小さな花嫁さんは、偉大である。
そんな可愛いフェリスかあ? てくらい、いい人だぞ、レティシアの語るフェリス(from竜王陛下)
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