初恋の姫君は、竜の神殿にいる 29
「……フェリス様と一緒に美味しいごはんを食べるために、私、必ずここに来ますから、竜王陛下みたいに竜になって飛んで行ってしまわないで、ここで待っててください! て言ってたぞ、ちびちゃん」
優しい、歌うようなレーヴェの声に、フェリスの頬が赤く染まる。
レティシアはいつも、フェリスの為に一生懸命だ。
そうして、話したこともない、フェリスの孤独を知っている。
何故なら、それは、レティシアの寂しさでもあるからだ。
味方のいない、うまくおもねることもできない、聡い子供の孤独。
「それは……、神殿でひねくれていた小さな僕には……さぞや嬉しかったことでしょう……」
フェリスの身体のなかに、何か温かいものが満ちていく。
二人で庭で遊んでいて、レティシアが小さな手で、薔薇の花びらをフェリスにかけてくれたが、何というか、綺麗なものが、身の内に浸透していくようなかんじだ。
(フェリスさま!)
レティシアに名前を呼ばれるたびに、新しい、優しい自分が生まれてくる気がする。
「ま、あれは確実に一目ぼれだよなー。おまえ、何回、ちびちゃんに一目ぼれする気だ?」
「……レーヴェ、ちょっと黙ってくださ……」
子供の頃、レーヴェ神殿の奥で、よく遊んでいた。
いまほどフェリスはレーヴェに似ていなかったけれど、神官たちは魔力の高いフェリスに優しかったし、
王宮よりはずっとうっとおしさがましだったのだ。
神殿には、諸国から修行に来た者もいれば、とくに高位貴族出身でなくても、大神官まで登り詰める者もいて、血筋に拘りがあるわけではなかった。
とはいえ、『竜王陛下の血脈』にだけは、みな、別格の経緯敬意を払っていたけれど。
不思議だった。
もうこの世のどこにもいないであろう竜王陛下が、なぜそんなに皆の敬意を集めるのかと。
『レーヴェ竜王陛下の代理人』の父を傍らで見ていても、まったく敬意の心が湧かなかったフェリスにしてみると。
後年、レーヴェと話すようになって、千年後も、レーヴェの面影を慕う人々の気持ちに、何というか、納得した。
レーヴェは甘えたで我儘で気紛れだったけど、優しかった。それは確かに、他の人がくれるような優しさではなかった。
神様を話し相手に育ったフェリス少年のもとに、やってきた小さな花嫁……。
「……それは……制御できないんでしょうか、その……ものに残る、僕の残存魔力のようなものが、レティシアや他の人に迷惑をかけることは……」
小さなフェリスがレティシアに逢えたことは祝福だと思うが、意図せず発動する力と考えると、危険だ
「無理じゃないか? でもまあ竜王剣と同じで、受け取るほうにも相応の魔力がいるから、誰彼かまわず起こることじゃないから、そう心配しなくていいと思うぞ? ちびちゃんは、フェリスと相性がいいから、反応してるだけだ。……オレとも相性いいしなっ」
最初に逢った時に、心配で、フェリスがレティシアに魔力を分けたせいもあるだろうか、と己の行いを反省しつつ、レーヴェの言葉に、やはり何処かでは喜んでしまう。
あの子とフェリスは相性がいい。その言葉の響きが嬉しい。
「オレとも相性がいいって言ってるだろーちゃんと聞けよオレの話ー」(from竜王陛下)
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