初恋の姫君は、竜の神殿にいる 26
「竜王陛下が、小さいフェリス様に逢わせてくださったのでしょうか?」
フェリスの腕に抱きしめられながら、レティシアは呟く。
ここは竜王陛下の神殿だし。
ちいさなフェリス様も、『我が神殿の娘に触れるな!』って言ってたし……。
「レーヴェが……? いや、どうだろう? あの人はそんなことしそうには……」
おおきいフェリス様が首を傾げると、金色の髪が揺れる。
ちいさいフェリス様は張り詰めた弦のように見えたけど、おおきいフェリス様はもうちょっと余裕がある感じ。
「レティシア?」
思わず、レティシアは、フェリス様の綺麗な御顔に指を伸ばしてしまう。
大人のフェリス様のほっぺも、ちょっと冷たい……。
「フェリスさま、ちっちゃいフェリス様、とっても可愛かったです」
「そ、そう?」
ぺたぺたと確かめるように、レティシアがフェリスの頬に指で触れる。
困惑しつつも、フェリスはレティシアにされるか゛ままだ。
「可愛すぎて、さらわれないか心配になりました。さらわれませんでしたか?」
「ああー……ときどき」
フェリスがやや微妙な顔をして笑っている。
誘拐の辛い記憶を思い出すというよりは、何故か、ああ、やりすぎた、みたいな顔である。
「ときどき!?」
「うん。でも、レティシアもさっき見てきたように、子供の頃から、物騒な子だったから、さらおうとしたほうが気の毒だったよ。いろいろ破壊してしまったし……」
「さらおうとした人は悪者なので、気の毒でも何でもないです! 」
そういえば、前に、レイがフェリス様を破壊神みたいに言ってた気が…。
「フェリス様は大人になられました。昔と違って、物騒なことは、内緒でなさいます。それはそれで、私どもとしては心配ですので、問題だと思いますが……」
ふと、フェリスに抱きしめられたまま、レティシアが目をあげると、苦笑気味のレイと目があった。
相変わらずの主従漫才だが、レイの顔にもレティシアを案じる色が見える。
「フェリス様、あぶないから、何でも一人でしちゃだめって、マリウスお義兄様もマーロウ先生も、仰ってました」
レティシアは、フェリスがガレリアからレティシアを連れ戻してくれたときの国王陛下の御顔や、王弟殿下は魔法が下手になったと仰るんだよ、と嘆くマーロウ先生の御顔も思い出した。
レティシアが、この神官服を纏い、広すぎるレーヴェ神殿に一人で立っていた幼いフェリス少年のそばにいてあげたい、と思ったように、フェリス様を心配してくれる人がいらっしゃる。
それが心強くて、嬉しい。
自分の為でなくて、フェリス様の為に、ただ嬉しい。
「あぶないこと、なんでも秘密で一人でしちゃダメです、フェリス様」
「はい。愛しい我が姫。……何でもレティシアに相談するから、レティシアも、僕をおいて一人で何処にも行かないでね?」
「あ、はい!」
いけない、いまは、レティシアが勝手に時空の狭間に消えちゃってたんだった、フェリス様にめっしてる場合ではなかった、とレティシアは反省した。
どうも、自分の安全より、推しのフェリス様の安全が最優先になってしまって……。
「なんでもレティシアに相談するとか言って、オレのせいにして裏で悪さするんだぞ、その若造は(笑)」from竜王陛下
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コミック三巻表紙❤
五歳で、竜コミック連載