初恋の姫君は、竜の神殿にいる 21
「……あれ? ……サキ? ……リタ?」
フェリス様の気配、と神官服に頭を通したと思ったら、両側で着替えを手伝ってくれていたリタとサキの姿が消えた。
「……あれ? ここ、どこ?」
そして、レティシアの瞳に映る部屋の景色も、さっきまでいたフェリスの居室ではない。
「う? うにゃ?」
ううっと心細い気持ちで、くんくん、身に纏ったフェリスの神官服のフェリスの気配を匂う。
(……ここに居たくない。ここには僕の居場所がない)
「え?」
(いや、もとより、僕の居場所などなかった。この美しい宮殿の何処にも)
誰かの哀しみの声が聞こえる。
哀しみというか……怒りというか……。
(翼があればいいのに。竜王陛下のように。翼があれば、何処かへ。……ここではない何処かへ行くのに。……王宮のやっかいものなどと言わせぬのに!)
抑えきれない哀しみと苛立ちが立ち昇る。
「だ、だれ? 何処で泣いてるの? 怒ってるの?」
両の耳を抑えて、レティシアは辺りを伺う。
翼があれば、ここではない何処かへ、飛んでいくのに。
同じことを思っていた。あのサリアの孤独な宮殿で。
生まれ育った場所なのに、まるで見知らぬ場所のように、遠くなってしまった宮殿で。
「……どうしたの? 迷子?」
「ひゃ、ひゃあ! フェリスさま……!」
穏やかな声に振り返って、レティシアは倒れそうになった。
金色の髪の美しい少年が、神官服姿で、レティシアの前に立っていた。
「……僕を知ってるの? 聖歌隊の子? それともずいぶんちいさな神官見習い?」
にこっと、それこそ五歳くらいの少年のフェリスが微笑んだ。
ええっ。どうして。さっきまで、大きなフェリス様とリタとサキといたのに……。ここ何処?
時の狭間にでも迷い込んだの?
「巡礼者にしては、神官服が僕と一緒だよね? 王家の子なの?」
「い、いえ、あの……」
金の竜の紋章のある神官服。
おなじです、だって、あなたの服ですから、これ! とも言えない。
どうしよう、どうしよう、とレティシアは困りつつ、輝くような金の髪に碧い瞳の天使のようなフェリスに見惚れる。
子供の頃から、なんて美しいの、我が推し……!
これはもう国宝、……国宝級の美しさだわ!
「ここ、ちょっと奥の院だから、誰か、案内のできる者の居るところまで、僕が君を送ろう」
奥の院。竜王陛下の神殿の中であることは変わらないようだ。
「あ……あの」
竜の形の竜王陛下の彫像を背景に、フェリス少年がレティシアに手を差し出した。
フェリス様! 子供のころから、いい人! ちっとも冷徹じゃないし!
でも、レティシアは何処に送ってもらったらいいの! ?
ちっちゃいフェリス様も国宝級の可愛さだけど、私の婚約者のおっきいフェリス様のとこに帰りたいよー!
本日は一日、雨。最近珍しいけど、雨が足りない地方に届きますように。
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