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安らぎと悪夢
ルミは余程疲れていたのか、少しするとコクリコクリと船を漕ぎ始めた。
「寝てもいいぞ」
そう言うとルミは小さく頷き、横になると静かに寝息を立てた。
俺はルミが眠ったのを確認すると歩兵銃の弾を込めた。
弾丸はまだあるが、この国の文明では補充が出来ないだろう。
残りはなるべく節約しよう。
……気づけば俺も眠っていた。
夢を見た。
弾丸が飛び交う戦場で雪之丞が先に駆け出す。
順調に敵を打ち倒して行くが、一発の弾丸が雪之丞を貫く。
『雪之丞!』
俺は服を掴み安全な場所に引っ張り出す。
『雪之丞!おい!』
『鹿……』
雪之丞は目を閉じた。
そこでハッと目を覚ます。
まだ夕方前ぐらいだ。
(夢か……雪之丞……)
雪之丞は田中貞清と言う名だったが、整った中性的な顔を誰かが役者のようだと、雪之丞とあだ名をつけた。
(あいつに水を飲ませる最後の約束……守ってやれなかったな)
ルミも目を覚ましたようだ。
目を擦り、周りを見渡す。
「起きたか?」
「……うん」
「疲れはどうだ?」
「足が痛い」
と足をさすった。
外傷はなかった。
疲れからだろう。
「今日はゆっくり休め」
そう言って立ち上がった。
「どこ行くの?」
「街を見てくる」
俺は歩兵銃を担ぎながら言った。
「わたしも行く」
「疲れてるだろ?」
「大丈夫」
置いていくのも心配だな。
「わかった。離れるなよ」
「……うん!」




