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白い少女と歩兵銃  作者: Koalaman
第一章 ルーク王国編
4/50

懐中時計と金貨

舗装された道を辿っていると、遠くに城のような建物と街並みがあった。


(ロシア領か?)


俺は警戒したが、ルミに疲れの色が見える。休息が必要だ。


「あそこまで歩くが、大丈夫か?」

「う、うん」


「もう少しだ。頑張れよ」


俺はルミに歩調を合わせたので近くまで着く頃には昼をとっくに過ぎていた。


「おじちゃん、それ何?」


時間を確認してた俺にルミが聞いてきた。


「時計だ」


俺は懐中時計をルミに見せると目を輝かせ驚いていた。


「すごい……!小さいのに動いてる」


街に入るとそこは西洋の街並みが目の前に広がった。


「やはりロシア領か?」


俺は反射的に銃に手が伸びた。


「……ろしあ?」


反応を見る限り違うようだ。

三角の小洒落た屋根、石造りの壁や塀。

街の中央には大きな時計台があった。

行き交う人々は背が高く、目鼻立ちがはっきりした西洋の顔つきだった。


「みんな背が高いな」

「おじちゃんより大きいね……おじちゃん背はいくつ?」


「五尺三寸(約160cm)だ」

「ご、しゃく……?」


「女ですら俺よりでかいな」

「ほんとだ……」


「とりあえず、休めるところを探そう」


初めて来た異国だと言うのに、文字が読めた。


(初めて見る文字なのになぜ読めるんだ?)


行き交う人々は俺の格好やルミの容姿を見るとジロジロ見られはしたが、騒ぎになることはなかった。

しばらく散策すると俺はようやく銃を握る手を緩めた。


食事処の前を通ると、ルミの腹の虫がなる。


「腹が減ったな」

「……うん、パン食べたい」


「だが、金がない」

「うん……」


俺は何かないかとポケットを探したが、何もない。


「ルミ、何か売れるものはないか?」


ルミは首を横に振る。


「そうだよな……」


と、ふと懐中時計を見た。

出征前に家族から貰った大切な物だったが、俺はルミの顔を見た。


空腹と疲れでへとへとになっていた。


(飢えさせる訳にはいかんな)


俺は街を見渡し、換金所を見つけた。


「換金所に行こう」

「売るものないよ……」


「まあ、任せておけ」


換金所に入ると中年の小太りの店主が愛想よく迎えてくれた。


「いらっしゃい!珍しい格好してるね」

「ああ、ちと迷ってな。換金をお願いしたい」


「その筒かね?」


店主は歩兵銃を見て顔を曇らせた。


「いや、これなんだが」


俺は店主に懐中時計を見せた。


「なんだいこれは?」

「時計だ」


「え?」


店主はまじまじと懐中時計を見た。


「ほんとだ、小さいのにちゃんと動いてる……こんなの見た事ない」

「俺の国では高価なものなんだ」


店主は食いついてきた。


「いくらで売ってくれる?」

「いくらなら買う?」


「んー、初めて見るものだからなぁ。金貨1枚でどうかね?」

「それはどれぐらいだ?」


「贅沢しなければ家族で1ヶ月は困らんよ」


(1ヶ月か……)


俺は顎に手を当て、懐中時計を見て、思い出に耽る。

そのあと、ルミを見た。


「……わかった。それでいい」

「へへ、毎度」

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