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噛みつき
「その子を放せ」
「この子は今夜の生贄だよ」
俺は男が持っていたナイフを拾い後ろ手で切ろうとしていた。
「そのナイフを捨てな」
バレてたか……。
――カラン。
「その子に刃物を向けるな」
「あんた次第だね」
「わかった。どうすればいい?」
「後ろを向きな」
俺は後ろを向く。
婆さんは俺に近づき包丁を振りかぶった。
包丁が俺に向いた瞬間
――ガリッ!
寝たふりをしていたルミが包丁を持った手に噛み付く。
「くっ!小娘……」
――ドカァッ!
その瞬間に俺は婆さんを全力で蹴り飛ばした。
ベシャ!
「痛!」
ルミはそのまま顔から転んだ。
「ルミ!大丈夫か?!」
「鼻打った……」
俺は再びナイフを拾い自分の縄を切ると、ルミの縄も切った。
「おじちゃん、この人どうするの?」
「縛るか」
人が来る……数はわからんが今度は多い。
「ルミ、二人を縛っとけ」
「う、うん、頑張る」
俺は扉を開け部屋の外の様子を見た。
誰かが階段を上ってくる。
(ここは2階か……)
隣の部屋を覗いたが歩兵銃はない。
潜みながら階段の方へ向かうと、全身白い法衣を着た男女が五、六人。槍のような物を手に階段を上ってきている。




