地図にない村
俺たちは森を抜け山を越えると山間に小さな村があった。
「こんなところに、村か?」
俺は地図を広げるが、地図には載っていない。
「地図にもないの?」
「ああ。とりあえず休ませてもらおう」
村に着くと、少人数だが村人がいた。
村人は俺たちを見ると驚き、ヒソヒソと小声で話し始めた。
「歓迎はされてないみたいだな」
「わたし、白いもんね!」
最初は怯えてたルミも随分と強くなったものだ。
「いや、俺の方かもしれんぞ?」
「わたしだよー!」
近づくと、村人は家に入って行く。
会話もできんな。
「この村では休めんな」
「そうだね……」
「旅のお方」
急に声をかけられ振り向くと小柄な老婆が立っていた。
「この村に何用かね?」
「あ、ああ、少し休ませてもらおうと思ったのだが、すぐに出ていくよ」
「わしの家でよければ、来るかね?」
「いいのか?」
「着いて来なされ」
俺たちは老婆の後を着いて行った。
辿り着いた家の前で思わず足を止めた。
村の規模に対して不自然なほどの大きな屋敷だ。
「大きいね!」
「……ああ、大きいな」
ルミは目を輝かせている。
「さ、中に入れ」
「お邪魔します」
俺たちはご好意に甘える事にした。
「お前さんたち、腹は減ってないかい?」
返事を聞く前に俺とルミの腹の虫が鳴る。
「豆のスープとパンでよければご馳走するよ」
「重ね重ね、かたじけない。ご馳走になります」
「ありがとうございます!」
親切過ぎる。そう思ったが、この空腹には抗えず断る事が出来なかった。




