奪還
馬小屋の前に着くと俺は腰掛けて少しでも体を休めながら、弾丸を込め直した。
村長が馬の手綱を引いて来た。
「こいつが一番速い。ほんとに行く気か?」
「……立派な馬だ」
俺は馬をひと撫でしたあと、飛び乗った。
「やつはどこだ?」
「北の領地だろう。ここからは一本道だ」
俺は馬を走らせた。
しばらく走らせていると、馬車が見えた。
俺は馬の速度を落とすと付かず離れず着いて行った。
領地は広大だった。
中に入られたら助けられない。
門が見えると、俺は馬から降りて近づいた。
門番が二人立っている。
開ける前に一人を狙撃。
馬車馬が怯え、暴れ始めた。
すぐさま次弾を装填してもう一人撃ち抜く。
馬車からカールがルミの腕を掴んだまま、姿を現した。
カールの頭に狙いを定める。
息を止め撃とうとした最悪の瞬間に目眩がし、外れた。
しかし、外れた弾は運良く、カール領主の腕を掠り、ルミの手を放した。
その隙にルミは逃げ出した。
「ルミー!!こっちだ!!」
ルミはこちらに気づき、急いでこちらに走った。
「おじちゃん!!」
泣き腫らした顔で駆け寄ってくる。
「乗れ!」
「うん!」
俺は馬に乗り、ルミに手を貸した。
「はぁっ!!」
馬は勢いよく駆け出した。
追っ手が来ている気配がする。
馬を全力で走らせ続けた為、馬にも疲労が見え始めた。
このままじゃ捕まるのも時間の問題だ。
(仕方ない……)
「ルミ、降りるぞ……」
「え?どうやって逃げるの?」
「横の森に逃げ込むんだ」
「う、うん!」
俺たちは馬を乗り捨て、草木が生い茂る森の中へ走った。
しかし、流れの早い川が行く手を阻む。
「くそ!川沿いに走るぞ!」
遠くで
「馬だ!森を探せ!」
という叫ぶ声が聞こえ、猟犬が解き放たれた。
(猟犬まで……!)
「こうなったら……」
「どうするの?」
「飛び込むぞ!」
「え?え?」
俺はルミを抱え、川へ飛び込んだ。




