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白い少女と歩兵銃  作者: Koalaman
序章 出会い編
2/50

白い少女

泣き声のする方へ辿り着くと、大柄な西洋人二人が縄で縛られた少女を無理矢理抱えて歩いていた。


(誘拐か?)


「待て!止まれ!」


俺は歩兵銃を構え、警告した。


(言葉が通じるとは思えんが……)


西洋人たちは振り返ると


「……なんだ?お前は?」


言葉が通じた。

だが、これも不思議な感覚だった。

通じると言うより、話す言語は違うのに意味が自然と通じる。


「その子を離せ!」

「見られたからには殺すしかないな?」


西洋人二人は乱雑に少女を地面に落とすと、剣を抜いて歩いてこちらに向かってきた。


「……わからんのか?撃つぞ!」

「そんな棒で何を撃つって?」


――ダァン!!


俺は西洋人の一人を撃ち抜いた。

弾丸は頭部に当たり、弾け飛んだ。


「ひっ!ま、魔法?!」


もう一人の西洋人は剣を落とし、背を向けて逃げ出した。


すぐに排莢し、装填。

狙いを定め、もう一度引き金を引く。


「――うっ!」


弾丸は西洋人の心臓を貫き、西洋人は倒れ込みピクピク痙攣した。


構えたまま、西洋人がやがて動かなくなったのを確認すると銃を下ろし、少女に近づく。


「や!やだ!たすけて!」


と、震え上がり大粒の涙を流し泣き喚いた。


「何もせん、動くな」


銃剣で少女の縄を切る。


一目見た少女の印象は異様に白い――

――真っ白な少女だった。

白い髪に赤い目、肌は西洋人よりも一際、白く。

まるで雪のような肌だった。


「大丈夫か?」


縄を切り終えると、走って木の陰に隠れた。


「取って食ったりせんよ」


まいったな……と思ったが、少女は恐る恐る木の陰から顔を出した。


「お前、名は?」


落ち着かせるために尋ねたが


「……」


さすがに言葉は通じんか……


「魔法使わない?」


この子も言葉が通じるのか、と驚いた。

魔法は鉄砲のことだろうか?

俺は少女を落ち着かせるために努めて優しく答えた。


「ああ、何もしないよ」


「……ルミ」

「え?」


「わたし、ルミ」

「ルミか、いい名だな」


「おじちゃんは?」

「俺は梶原鹿之助(かじわら しかのすけ)だ」

「かじ……?」


「かじわら、だ」

「ありがとう……おじちゃん」


「俺はまだ二十四だぞ」

「……」


これぐらいの子からみたらおじさんか……


「この辺に俺みたいな格好した奴はいなかったか?」

「……わかんない」


「そうか……」


あれからだいぶ経つ。

あの出血だ。

雪之丞は、もう生きてはいまい……。


「……そうか」


俺は力が抜け、崩れ落ちるように座り込み、涙を堪えた。


「おじちゃん……?」


その様子を見てルミは不思議そうに尋ねる。

俺は悲しみを振り切るように話を変えた。


「……お前、親は?」


「お母さんがいるよ」

「……近くにか?」


「……わかんない。たぶん遠い……」


そう言うと寂しそうな顔をした。


「俺が送ってってやる」

「ほんと……?」


「……ああ」

「……ありがとう」


ルミはぎこちなくだが、小さな声でお礼を言って、木の陰から躊躇いながら出て来てくれた。


「とりあえず近くの街を探そう」

「……うん」


俺は歩兵銃を肩にかけた。

歩兵銃を動かすとルミがビクッと離れる。


「鉄砲は初めてか?」

「……てっぽう?」


「これだよ」

「魔法じゃないの?」


「ああ」


初めて見るのなら魔法のように見えるのかもな。

ルミは物珍しそうに鉄砲を観察していた。


俺たちは林を出る為に歩き出した。

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