10/50
送る者
翌朝、俺は支度をしていた。
遅れてルミが起きる。
「おじちゃん、もう行くの?」
「ああ、女将さんが地図をくれた。お前の故郷はなんてとこだ?」
「レイア村?ってとこだと思う」
俺は地図を見た。
少し探すと――
――あった。遥か西だ。
随分遠い。だが、海を渡らずに済みそうだ。
しかし問題は、日本がどこにもない。ロシアもドイツもイギリスもない。
ここはやはり別世界なのかもしれない。
装備を整えると女将に挨拶し、料金を払った。
「また来てねー!」
と、元気よく送り出した。
――その頃、とある領地の領主邸では、ルミ誘拐首謀者のカール公の姿があった。
「連れて来れなかったと?」
「へ、へい、恐ろしく強い男と一緒で……」
「お前らに頼んだのが、私の落ち度だな。もうよい」
「ま、待ってくだせぇ!俺たちも協力するので、どうか」
「……まあいいだろう。もう一度チャンスをやる」
「あ、ありがとうごぜぇます!」
「ビスケット。おるか?」
「はっ、カール様」
軽装のガタイの大きい男が部屋の奥から現れた。
「ルミを私の元へ連れてこい。邪魔者は消せ」
「承りました。さっそく向かいます」
「じゃあ、俺たちは……えー、と、逃げ道塞ぎます!」
「ビスケット一人で十分だと思うが?」
「汚名返上してぇんです」
「……ふん、まあよい。行け」
「へい!」




