第42話:未来の俺が隠した『黒歴史のハードディスク』、物理洗浄しようとしたら宇宙の深淵に繋がっていた
「……やめろ! やめてくれ過去の俺! ……それだけは、それだけは『断捨離』しないでくれぇぇ!」
洗濯ネットの中で芋虫のようにのたうち回る「未来の俺」が、必死に手を伸ばしている。
その先にあるのは、豪華な宮殿の寝室、その一番奥にある『耐火・耐魔・耐衝撃金庫』。だが、その金庫自体、十年は触られていないのか、表面にベタベタした脂汚れが層を成している。
「……エレン。……この金庫、中身が腐敗してるんじゃないか? ……すごい『負のオーラ』が漏れ出してるぞ」
「……ええ、総帥。……魔力探査の結果、中には大容量の『記録結晶』が一個。……ですが、書き込まれたデータがあまりに恥ずかしすぎて、情報密度が特異点を形成しつつあります」
「……よし、シブキ。……『情報漏洩・絶対防止結界』を張れ。……俺がこのディスクを【物理洗浄】する。……ムサシさんは、このおっさんが暴れないように、さらにガムテープで補強を」
「御意ッ!! 佐藤殿、……未来の自分の『羞恥心』を斬る仕事、これぞ真の精神修行ですな!!」
俺は金庫を無理やりこじ開け、中から真っ黒な結晶を取り出した。
未来の俺が「ああああああ! 中二病時代に書いたポエムがあぁぁ! ボツにした恥ずかしいキャラ設定があぁぁ!」と絶叫するが、俺の耳は「汚れ」にしか反応しない。
「……うるさい。……こんな重たいデータを持ってるから、未来の俺は歩くのが遅くなったんだ。……奥義、『全消去・フォーマット・バブル』!!」
俺は、WCO科学局が開発した『情報還元・超音波洗浄液』をバケツ一杯ぶっかけた。
ジジジジジッ!! という電子的な悲鳴と共に、黒い結晶からドロドロとした『恥ずかしい過去』が洗い流されていく。
だがその時だ。
データが消えたはずの結晶が、突然眩い光を放ち、周囲の空間を歪め始めた。
『……マ、マスター! ……中身が空っぽになったことで、宇宙の深淵(虚無)とリンクしました! ……これ、掃除機のノズルを突っ込めば、宇宙の果てのゴミまで吸い込めますよ!』
「……なんだって? ……黒歴史を消したら、究極の『ゴミ捨て穴』になったってことか?」
つぶやいたー(未来・ネット速報):
『【奇跡】掃除神カズマ、自分の黒歴史を浄化して「宇宙最大のゴミ箱」を生成ww』
『未来の俺「俺の10年間の妄想が……宇宙の肥料に……(白目)」』
『「過去を洗えば、未来が開ける」――物理的な意味で。掃除神、深すぎるw』
『現在の状況:未来の宮殿が、全宇宙の不燃ゴミを飲み込む「クリーンセンター」に改装中』
「……ふぅ。……エレン。……これで未来の俺も、少しは身軽になっただろ」
「……そうですね、総帥。……物理的にも、精神的にも、空っぽ(スッキリ)になりましたね」
涙も枯れ果て、全裸(ネット越し)で虚空を見つめる未来の俺。
だが、俺の掃除はまだ終わらない。
宮殿のバルコニーから見下ろせば、未来の街並みは、栄華の果てに「黄金のメッキが剥がれた」無惨な姿を晒しているのだから。
「……よし。……次はあの『スカスカになった未来都市』のワックスがけだ。……シブキ、ヘリコプターモードに変形しろ!」
――カズマの「第2部」は、己の恥部を世界のエネルギーに変えるという、最悪で最高のスタートを切る。
第42話、お読みいただきありがとうございました!
未来の自分の「黒歴史」を物理的に洗浄してしまったカズマさん。
恥ずかしいポエムを消去した後に残ったのは、宇宙の真理(という名の便利なゴミ穴)でした。
次回、第43話。
「未来のハイテク都市、AIが『反抗期』なのは、単にマザーボードに猫の毛が詰まってたから!? 巨大エアダスターで未来を吹き飛ばす回」
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佐藤カズマの「自分殺し(掃除的な意味で)」、加速します!




