第40話:異世界の空を丸洗い! 伝説の掃除神は『定時』と共に次の次元へ
「……よし、魔王。……ゴミの分別は覚えたな? 『可燃』と『不燃』、あと『魔王のプライド』は粗大ゴミだぞ」
玉座の前で深々と頭を下げる、ピカピカに洗われた魔王を背に、俺は城のバルコニーへ出た。
魔王城の空気は澄み渡り、アロマの香りが漂っている。だが、空を見上げれば、そこにはまだ「魔王の呪い」という名の『偽りの月』が居座り、空をどす黒く濁らせていた。
「……総帥。……定時まで残り15分です。……あの『偽りの月』、このままにしておくと、また世界に湿気が溜まってカビの原因になりますよ」
「……わかってる。……最後にあれを『剥離』して、この出張を終わらせよう。……シブキ、俺を成層圏まで射出しろ。……ムサシさんは、あの月の『核』を抜き取る準備を!」
『承知いたしました、マスター。……「異世界・垂直跳びモード」起動。……雲の上の『煤』もついでに拭き取ってきてください』
ドォォォォォォォンッ!!
俺は一気に空へと舞い上がった。
目の前に広がるのは、禍々しい紫色の光を放つ偽りの月。だが、近くで見れば、それは単に「魔力の汚れ」が凝固した、巨大な『黒ずみ』に過ぎない。
「……落ちろ、空のシミ! ……奥義、『全次元・一括洗浄(Universal Rinse)』!!」
俺はリュックの中身をすべて空にする勢いで、WCO極秘開発の『銀河級・剥離剤』をぶちまけた。
ムサシがその瞬間、偽りの月を十文字に切り裂く。
パリン、……シュワァァァァッ!!
黒い光が霧散し、中から本来の清浄な青空が溢れ出していく。
俺は仕上げに、シブキが生成した『巨大マイクロファイバー雲』を抱え、空全体を「乾拭き」しながら地上へと滑空した。
数分後。
世界には、数千年ぶりとなる『本当の太陽』の光が降り注いでいた。
『……美しい。……マスター、これでもう「拭き残し」はありませんね』
「……ああ。……お疲れ様。……エレン、……定時だな」
「……ええ、総帥。……ちょうど18時です。……では、次元移動門を開きます。……異世界の皆さん、あとは自分たちで『綺麗』を維持してくださいね」
光の中に消えていく俺たちの背中に、国王、魔王、そして民衆たちの絶叫のような感謝が響き渡る。
「「「ありがとうございました、掃除神様ぁぁぁぁぁ!!」」」
つぶやいたー(全次元・同時トレンド)の反応:
『【伝説】勇者カズマ、魔王を倒さずに「部屋を片付けさせて」世界を救うwww』
『「空が青いのは、誰かが磨いたおかげ」――この世界の教科書に載る名言だわ』
『魔王様、掃除に目覚めて「魔王軍」を「魔王クリーンサービス」に社名変更ww』
『現在の全宇宙:かつてないほど「動作が軽く、美しい」。……すべては一人の掃除人の手によって』
――元の世界のWCO本部、屋上。
戻ってきた俺は、夕焼けを眺めながら、使い古したモップを傍らに置いた。
「……ふぅ。……やっと終わったか」
「……お疲れ様です、総帥。……と言いたいところですが。……先ほど『未来の自分』から、緊急の依頼が入りました」
「………………は?」
「『未来の宇宙が、自分の成功に浮かれて散らかしすぎてヤバい。……過去の自分に掃除を手伝わせろ』……だそうです」
「………………。……ったく、未来の俺、何やってんだよ」
俺は溜息をつき、再び黄金の軍手をはめた。
俺の掃除に、終わりはない。
なぜなら、生きている限り、世界はどこかで必ず汚れるのだから。
「……よし、シブキ。……夜なべ(残業)の手当は、高いぞ? ……行くか!」
第40話、最後までお読みいただきありがとうございました!
異世界の空を丸洗いし、ついに「定時」を迎えたカズマさん。
しかし、彼の「掃除」は、時間も次元も超えて続いていくことになりました。
これにて、佐藤カズマの「なろう系清掃無双」第一部は完結です!
「掃除」という一見地味なテーマに、最強の仲間と最新の技術を詰め込んだこの物語、楽しんでいただけたでしょうか?
**「最後は未来の掃除かw」「カズマさんの定時が遠のくww」と思った方は、
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佐藤さんの「第二部・未来清掃編」が始まるかもしれません!
全宇宙の汚れを、いつか俺が拭き取るその日まで。
皆様、お掃除、お忘れなく!




