第39話:魔王城突入! 玉座の裏に『ポテチの袋』を隠す魔王、勇者に説教されてガチ泣き
「……勇者よ、よくぞここまで来た。……我が名は魔王、この世を闇と混沌に塗り替える者――」
禍々しい黒い霧が立ち込める玉座の間。巨大な角を持つ魔王が威圧的に語りかけるが、俺は玉座の数メートル手前で足を止め、激しく顔をしかめた。
「……おい、エレン。……今、こいつ『混沌』って言ったか?」
「……ええ。総帥、どうやら彼は『混沌』と『散らかり放題』を履き違えているようですね。……見てください、あの玉座の脚の影。……食べ散らかしたスナック菓子の袋と、いつのか分からない飲みかけのカップが放置されています」
「……あ、あれは、我が闇の力を蓄えるための供物であり……っ!?」
魔王が狼狽するのを無視し、俺はWCO特製の『ルミノール魔力反応液』を部屋全体に噴射した。
するとどうだ。
一見して「暗黒のオーラ」だと思っていた霧の正体は、単に掃除をしていない部屋に溜まった『カビの胞子』と『不純な埃』であることが判明し、青白く発光し始めた。
「……汚ねぇ。……シブキ! 今すぐ窓を全開にして『超広域・強制換気魔法』を実行しろ。……ムサシさんは、あの玉座をどかして裏を掃き出してくれ!」
「御意ッ!! 佐藤殿、この魔王城、もはや『ゴミ屋敷』の次元を超えておりますな!!」
ムサシが『斬鉄丸』の峰で、数百キロある黒曜石の玉座を軽々とスライドさせる。
そこから出てきたのは、大量の漫画本、脱ぎ散らかされた靴下、そして――「いつか使うから」と取っておいたのであろう、空き箱の山だった。
「や、やめろ! 人のプライバシーを暴くのは勇者のすることか! ……あ、あぁっ、その箱は……限定版の……!」
「……いいか、魔王。……世界を支配する前に、まず自分の足元を支配しろ。……この『ポテチの袋』の裏、製造年月日が三年前だぞ。……お前の胃腸はどうなってるんだ」
俺は特大のごみ袋を広げ、魔王が大切にしていた(?)ゴミを次々と「断捨離」していった。
仕上げに、シブキが生成した『高濃度・除菌アロマ消臭液』が部屋を包み込む。
「……ふぅ。……これでようやく、まともな空気が吸える。……さあ、世界をどうするんだっけ? ……その前に、この溜まりに溜まった『領収書の仕分け』、手伝ってやろうか?」
つぶやいたー(魔界・裏垢版)の反応:
『【悲報】魔王様、勇者に「部屋が汚い」と正論パンチを喰らって、玉座の隅で体育座りwww』
『「闇の軍勢」の正体が「ただの掃除嫌いの集まり」だった件。……魔界の威厳、完全消滅』
『勇者が持ってる「白い袋(ごみ袋)」が、聖剣より恐ろしく見えるの俺だけ?』
『現在の魔王城:空気が澄みすぎて、魔王様が「健康になりそう……」と弱音を吐いている模様』
「……総帥。……魔王が『これからは週に一度は部屋を片付けます』と誓約書にサインしました。……これで、この世界の『闇の根源』は断たれたと言っても過言ではありませんね」
「……そうだな。……さて、エレン。……城は綺麗になったが、あの『空の彼方』……。……この世界の『太陽』が二つあるの、あれ反射のしすぎじゃないか?」
「…………。……総帥、それは『魔王の呪いによる偽りの月』です。……磨きに行きますか?」
――カズマの「異世界清掃」は、ついに天体にまで干渉し、世界のライティングを調整する段階へと突入する。
第39話をお読みいただき、ありがとうございます!
魔王を「片付けられない男」として更生させてしまったカズマさん。
闇の力も、清潔な空間とアロマの香りには勝てなかったようです。
次回、第40話(第5部・完結!)。
「偽りの月を『特大ポリッシャー』で粉砕清掃! 異世界に真の青空を取り戻し、カズマは次の『汚れた次元』へ――」
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佐藤さんの「全宇宙・定期清掃」、フィナーレ間近です!




