第37話:城門に迫る魔王軍! 超撥水コートのせいで、梯子をかけた魔族が全員スリップ!
「……勇者カズマよ! 大変だ、魔王軍四天王の一人『泥濘のバアル』が軍勢を率いて城門まで迫っている! このままでは城が蹂躙されて――」
王様がガタガタ震えながら報告してくるが、俺はそれどころじゃなかった。
城壁の石組みを見てくれ。長年の雨だれで黒ずんでいる上に、魔族たちが飛ばしてくる「腐敗の魔気」のせいで、ヌルヌルの藻が発生している。
「……エレン。……あいつら、土足どころか泥だらけの足で城壁を登る気か?」
「……ええ。総帥、あの四天王の二つ名が『泥濘』ですからね。……歩くたびにヘドロを撒き散らす、清掃員の天敵です。……非常に、不衛生です」
「……許せないな。……シブキ! 城壁全体に『超撥水・神性ガラスコーティング』を噴霧しろ! ……一滴の泥も、一匹の魔族も寄せ付けるな!」
『承知いたしました、マスター。……「城壁専用・ガラコ魔法」を展開。……摩擦係数をゼロに固定します』
シブキが蒼い翼を羽ばたかせ、城壁をまばゆいばかりの光沢でコーティングした。
そこへ、咆哮を上げながら魔王軍の梯子がかけられる。
「グハハハ! 人間どもめ、このバアル様の泥にまみれて絶望し――なっ!? 滑る!? 滑るぞぉぉぉぉッ!?」
ズザザザザザザザァァァッ!!
勇ましく梯子を登り始めたオークやスケルトンたちが、まるで氷の壁を素手で登ろうとしたかのように、面白いほど一列になって滑り落ちていく。
梯子そのものも、超撥水コートの力で城壁に固定できず、左右にツルツルと滑りまくっている。
「ムサシさん! 下に溜まった『泥の塊』を、乾燥する前に一気に切り裂いて不燃ゴミに!」
「御意ッ!! 佐藤殿、この『滑る敵』を斬る快感……癖になりそうですな!!」
ムサシが城壁から飛び降り、空中で『斬鉄丸』を一閃。
四天王バアルが自信満々に放出したヘドロの塊を、一瞬で乾燥・細分化し、特製のごみ袋へと「納品」した。
「ば、バカな……! 我が至高の泥が、ただの『乾いたチリ』に……!? お、おのれ勇者、正々堂々と――ギャァァッ!?」
最後は、俺が城壁からぶちまけた『高濃度・アルカリ洗浄液』を浴び、バアルは全身のヌメリを失って真っ白な「ただのおっさん」へと漂白されてしまった。
つぶやいたー(異世界・実況版)の反応:
『【衝撃】魔王軍、城壁を登れずに全滅ww 理由:滑るからwww』
『「泥濘のバアル」が、カズマの洗浄液で「清潔なバアル」に改名決定』
『王宮兵士たち「俺たちの仕事、城壁のツヤを眺めるだけになったんだが」』
『現在の戦況:掃除神が城門に「関係者以外(不潔な奴)立入禁止」のシールを貼って終了』
「……ふぅ。……エレン。……壁のツヤは守られたな」
「……そうですね、総帥。……ですが、逃げ帰った魔族たちが『あの城はピカピカすぎて目が痛い』と魔王に報告しているようです。……次は、魔王城の『カビ掃除』の依頼が来るかもしれませんね」
「…………。……魔王城か。……あいつら、換気とか絶対してなさそうだよな」
――カズマの「異世界清掃」は、魔王の根城という名の「最大のゴミ屋敷」を攻略すべく、着々と準備を整えていく。
第37話をお読みいただき、ありがとうございます!
四天王の泥攻撃を「撥水コート」で完封してしまったカズマさん。
どんなに恐ろしい魔術も、彼の「お手入れの知識」の前ではただの汚れに過ぎません。
次回、第38話。
「魔王軍の精鋭『死霊騎士』、鎧が錆びてるのを指摘されて泣き出す。カズマのサンポール攻撃で、白銀の聖騎士にジョブチェンジしちゃう回」
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佐藤さんの「世界クリーン化計画」、次は敵の装備品をメンテします!




