第36話:異世界召喚! だが魔法陣が『煤(すす)だらけ』なので、勇者の挨拶より先に真鍮磨き
「……おお、勇者よ! ついに、ついに現れたか! 我が国を魔王の呪いから救って――」
眩い光が収まった瞬間、俺の耳に届いたのは、豪華な王冠を被ったおっさんの震える声だった。
普通ならここで「ここはどこだ?」とか「俺が勇者?」とか言う場面なんだろうが。
「……おい、エレン。……これ、ひどくないか?」
「……ええ。総帥、お察しします。……召喚の要であるこの魔法陣、金色のラインが『酸化』して真っ黒ですよ。……おまけに、四隅に溜まったこの埃……。……魔導効率、30%は落ちてますね」
俺とエレンは、感動の対面を果たそうとしている王族を完全にスルーし、足元の魔法陣を凝視した。
「……シブキ。……この魔法陣の素材、真鍮か?」
『マスター。……真鍮に金メッキを施したものですが、手入れがなされておらず、表面に「歴史という名の汚れ」がこびりついています。……不潔、かつ不導体です』
「……よし。……ムサシさん、おっさんたちが踏まないように、魔法陣の外へ優しく『掃き出して』くれ」
「御意ッ!! 佐藤殿、異世界の床掃除、拙者も気合が入りますな!!」
ムサシが『斬鉄丸』の鞘で、驚愕する国王や魔導師たちを「邪魔なゴミ」のようにテキパキと部屋の隅へ移動させる。
「な、何をする! 我は王だぞ! ……あ、あぁっ!? 我が国の宝である召喚陣に、何を塗っているのだ!?」
「うるさいな。……サビてんだよ、これ」
俺はリュックから、WCO特製の『金属磨きクリーム・ピカール(神話級)』を取り出した。
そして、魔法陣に塗りたくり、特製のマイクロファイバー布で円を描くように磨き上げる。
「……ほら、ここ。……磨けばこんなに光る。……魔法陣は『鏡面』であるべきだろ。……乱反射してちゃ、勇者も変な形で召喚されるぞ」
俺が数分間、一心不乱に床を磨き上げると、魔法陣は太陽のような輝きを取り戻した。
するとどうだ。
さっきまで弱々しかった召喚の残り香が、突然「ブォォォン!」と猛烈なエネルギーを放ち始め、王宮全体の照明がバチバチと明るくなった。
「……よし。……これでようやく、会話ができる環境になったな。……えーっと、王様だっけ? ……とりあえず、この城の『換気扇』どこ? ……さっきから、魔王の呪いっていうか、カビの匂いが凄いんだけど」
つぶやいたー(異世界・念写版)の反応:
『【速報】召喚された勇者、第一声が「魔法陣が汚い」。……王宮魔導師、ショックで寝込むww』
『「伝説の勇者」じゃなくて「伝説の清掃業者」が来た件。……でも魔法陣の出力、さっきの10倍になってて草』
『国王様、隅っこに掃き出されて「マナーがなってない」って説教されてるんだがw』
『現在の異世界:魔王を倒す前に、まずは「全土のワックスがけ」が始まりそうな予感』
「……総帥。……見てください。……城の外、魔王の軍勢が攻めてきてますが……。……あいつら、返り血でベトベトですよ」
「…………。……不潔だな。……まとめて『洗濯機』にぶち込んでやる」
――カズマの「異世界清掃」は、魔王軍を「ただの動く粗大ゴミ」として処理する、空前絶後の殲滅へと発展していく。
第36話をお読みいただき、ありがとうございます!
異世界に来ても、カズマさんの優先順位は変わりません。
「世界を救う前に、まずは足元を磨く」。
その徹底したプロ意識が、異世界の魔法技術を根底から覆してしまいました。
次回、第37話。
「攻めてきた魔王軍、泥だらけなので『高圧洗浄』! 鎧の中の蒸れまで解消してあげて、戦意を喪失させる回」
「魔法陣をピカールで磨くw」「王様をゴミ扱いww」と思った方は、
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佐藤さんの「異世界デトックス」、まずは王城の衛生管理から!




