24、水の大陸クエスト そして女子会へ
新章開始です!
これまでのあらすじ!
俺、乙女塚 涼はある日オンラインゲーム「Fine Online」のイベントで起こった爆発に巻き込まれ、気付いたら異世界にいた。しかもその世界で俺は、俺が作ったキャラクター、ユミルになっていた。
異世界の暗黒神が俺達の世界の人をさらって魔王と四天王にしてしまった為、俺達は魔王と四天王を倒すべく、異世界に召還されたのだった。
俺達は旅に出て、炎の国で、四天王のひとりを倒した。
戦いが終わった後、宴会をしていた俺達に、水の国が四天王に支配されているという情報が入った。
俺達は再び旅に出る、今度の舞台は、水の大陸! 水の国、ミズリクアだ!
「わあ、綺麗ですねー」
綺麗な湖、綺麗な川。そんな光景に、ロミリアちゃんが感動していた。
俺達は炎の国ファイアルトを出て、水の大陸に来ていた。
炎の大陸を出るまでは馬車で送ってもらったのだが、水の大陸は今、四天王に支配されている為、何が起きるかわからない。
俺達は馬車で送ってくれた炎の国の騎士団長さんと別れて、徒歩で水の大陸を冒険していた。
水の大陸はその名の通り、そこら中に湖や川、滝があり、大地の色も青色だった。
炎の大陸とは違い、気候もおだやかで過ごしやすい。
俺、この大陸好きかも。
道中何度か魔物に襲われた。この大陸も魔王の影響で魔物が増えている様だ。
「あれって、魚のモンスター、よね?」
魚の様なモンスターが宙に浮いていた。
「ドーレ、ワタシガ新シク習得シタ、鑑定魔法デ解析シテミセマショー」
「鑑定魔法? オリブー、いつの間に?」
「コノ間、四天王ヲ倒シタ事デ、新タナル魔法ニ 目覚メマシター」
なるほど。ってちょっと待て! オリブー、お前四天王戦参加してないじゃないか!
そんな突っ込みをしようとした俺を無視して、オリブーは鑑定魔法を発動させる。
「カンテーーーーイ……アレハー、「タイブリ」、デスネー」
「タイブリ?」
「アノ魔物ノ 名前デース」
なるほど、タイとブリが合成された魔物なのか。
「デモ見タ目は アジ、デスネー」
アジかよ! なんなんだよあの魔物!
もういいやと俺がエターナルを取り出して倒そうとした時、二人の戦士が立ち上がった。
「おっと! ここは俺達に任せてもらおうか!」
「四天王戦では遅れを取ったからな、ここらで挽回といこうじゃないか!」
ヤラレールとカマッセだった。
俺は二人に任せる事にした。
二人はどんどん魔物を倒していく。雑魚には強いんだな、こいつら。
俺はそんな風に考えながら、川のせせらぎを聞きつつ、旅を続けていた。
「明日にはナガレール村に着くでしょう」
地図を広げてキミッチが説明してくれる。
俺達は水の国、ミズリクアを目指している。そしてその途中にある村、ナガレール村で補給をする予定だった。そのナガレール村に着くのが明日になるという事で、今日はここで野宿する事になった。
野宿、と言っても俺達の旅は恵まれたものだった。
キミッチがロイヤル魔法で土からコテージを作ってくれる。
炎の大陸の時は大地の色が赤かったから赤いコテージだったが、この大陸では青いコテージが出来た。
俺用、ロミリアちゃん達用、女性用、男性用の4つのコテージが出来た。
これには理由がある。俺は0時になると、中の人、男に変化してしまうのだ。
その事を話してしまったからにはキミッチ達女性陣の部屋にはいられない。
ロミリアちゃん、ランラン、クリーナは俺の近くにいると中の人、男に変化してしまう為、俺ともキミッチ達とも別の部屋だ。
デュノスとオリブーは男で、中の人も男らしいから、男部屋でまとめる事になった。
もちろん、風呂も別だ。3回にわける事になった。
キミッチ達女性陣の後、俺達4人が入り、最後に男性陣が入る。
風呂場はキミッチのロイヤル魔法で土から作られ、トリメンテの水魔法をポルンの炎の魔法で調節し、お湯が作られた。
「ふう、気持ちいいですわー」
キミッチ・ウニブルン達が風呂に入っていた。キミッチの大きなウニブルンバストがお湯に浮いている。
「……」
「トリッチー、いい加減機嫌直しなよー」
終止無言なトリメンテにリーノが話しかける。
トリメンテが無言なのは、お湯に浮かぶキミッチのウニブルンを見たから……ではない。
トリメンテはあの日、ユミル達の正体を知ってから無言でいる事が増えていた。
「だって、今まで男と一緒にお風呂に入ったり、一緒の部屋で寝たりしていたなんて」
「だーかーらー、それはもう気にしないって事にしたじゃん」
そう、トリメンテはまだ気にしていたのだ。これまでユミル達と同じお風呂に入ったり同じ部屋で寝泊りした事を。
「わかってるけど! それでも気になるものは気になるのよ! むしろなんであんたは気にしないのよ!」
「別にいいでしょ? ロミッチ達はユミッチにしか興味ないんだし、ユミッチはちゃんと気を使って、こっちを見ない様にしたり、部屋をわける様に言ったりしてたんだから。それを今更攻めるのはかわいそうでしょー?」
「だからって……」
「それに、色々事情があったのも、一緒に聞いたでしょ?」
「うっ……」
そう、わかってはいるのだ。ユミル達には事情があった。だからしょうがない。とはしたくなかった。どうしても感情がついていかないのだ。トリメンテは、自分の感情の整理が出来ないでいた。
「私はもう割り切りましたわ」
キミッチが告げる。
「割り切ったって、どうやって……」
「ロミリアさん達に見られたのは仕方ない。でも、ユミルさんには責任を取ってもらおうと思っていますの」
「せ、責任?」
「うそマジ? キミッチ、それって……」
責任、一体どういう事なのか、トリメンテにはよくわからなかったが、リーノには思い当たる事があった様だ。
「今はまだ、秘密ですわよ? それ以前に、私達にはやらなければならない事がありますから」
「やらなければならない事……」
「トリメンテさん、私達はユミルさん達と同じく、神様に選ばれた存在となってしまいました。魔王と四天王を倒し、この世界を救うという使命を与えられたのです」
魔王と四天王を倒し、世界を救う。それは先日、この世界の創造神様から言われた事だ。ユミル達と、この世界に生きる私達6人。どうして自分がこんな事に巻き込まれてしまったのか、どこでどう間違ったのか。
思えばあの時、光の国で各国をまわる様に王様から命じられた時、自分には無理だと辞退していればよかったのだ。
しかし、自分はあの時浮かれていた。元々騎士や冒険者を目指していたのだ。そんな自分にとって、あの展開はまさに夢見ていたものだった。
けど、こうして現実になると話は別だ。自分はこの戦いに着いていけるのか、最後までみんなと一緒にいられるのだろうか。旅に出たのは間違いではないのかと思ってしまう。
そんな事を考えるトリメンテであったが、口には出せなかった。冒険を続けたい自分と不安になる自分、その間で揺れていた。だからこそ、ユミル達にちょっとした事で突っかかってしまうのだった。
「全ては、この旅が終わってからですわね。その時ユミルさんがまだ独り身であれば……」
キミッチが空を見上げ、呟く。
ユミルの中の人は男だ。そう考えると、ユミルが男性と一緒になる事は、多分無いだろう。
では今の仲間達はどうだろう? デュノスは外も中も男だし、ロミリア達は外は美少女でも、中は男だという。
そうすると、ユミルと、ユミルの中の人と一緒になるのは誰だろうか。可能性があるのは、外も中も女である、キミッチやリーノそして……自分ではないのか? その可能性を考えた途端、トリメンテは顔が熱くなってきた。
「あれー? トリッチー、顔が赤いけど、何考えてるのかなー?」
リーノがトリメンテの考えを見透かした様にニヤけてくる。
「う、うるさい! なんでもないわよ!」
どうかしている。今考えるべき事は私達の使命の事である。魔王と四天王を倒す。それだけ考えていればいいのだ。
そう思う……が、トリメンテの顔の熱さは、なかなか引かなかった。
お湯にのぼせたのだと、トリメンテは思い込む事にした。
正直カンベンして欲しい。俺は今、非常に困っていた。
いくら中身が男とはいえ、ロミリアちゃん達は見た目は美少女なのである。
そんなロミリアちゃん達と一緒にお風呂に入るとか、その、目のやり場に困ると言うか。
しかも今日はみんな遠慮無しにこっちを見てくる。これまでも何度か同じ様にお風呂に入っていたが、今日はまた別だ。キミッチ達がいないせいで、みんなに遠慮が無い。
「ユミル殿ー、拙者背中をお流しするでござるー」
「駄目です! ユミルさんの背中は私が!」
「二人ともうるさいよ、ほらユミル、こっちで私と一緒に洗いっこしよう?」
今までキミッチ達の目があった為、こちらに積極的に絡んでくる事は無かったが、今日は違う。ロミリアちゃんもランランもクリーナも、完全に獲物を狙う目になっている。
やめて! その姿で迫ってこないで!
中の人は男! 中の人は男! 中の人は男!
俺はそう念仏を唱えながら、出来るだけみんなを見ない様に、近づかない様にやり過ごした。
風呂から出た俺は、すぐに風呂で起こった事は忘れる事にした。
そして夜を迎えた。夜は静かに寝たいからロミリアちゃん達にこっちに来ない様に言っておいた。
それでも不安に感じていると、キミッチが俺のコテージに鍵をつけてくれた。ありがたい。最近キミッチが優しい気がする。
こうして俺は、静かに眠りにつくのであった。
ユミル達が眠りにつく中、デュノスは一人、流れる川を眺めていた。
そこに一人、近づく者がいた。
「コンバンハー、眠レナイノデスカー?」
オリブーだった。
謎の外国人キャラ、オリブー・ニコム。この世界に召還された6人のうちの1人である。
毛1本ない頭を輝かせる彼は、調理師という調理魔法で食事を作る事が出来る職業で、パーティの食事担当である。
「少し、思う事があってな」
デュノスが思う事、それはあの四天王との戦いのさなか、ユミルが闇にのまれた時の事。ユミルの姿に動揺してしまった結果、デュノスは中の人の言葉遣いで、ユミルに向かって叫んでしまったのだ。
その時の事は、誰も何も言ってこないが、やはり気になる。
どう思われたのか、自分の中の人が女だとバレやしなかったか?
そう、デュノスの中の人は、みんなにはつい勢いで男だと言ってしまったが、本当は、女性であった。
いや、この際もうバレてもいいのだが、今更自分から、実は女ですと言うのは恥ずかしい。
そんな風に、あの日からずっと考えていた。
「考エスギハ、良クナイ事デスヨー」
オリブーがそう言う。彼なりの励ましのつもりなのだろうか?
彼……そうだ、彼と言えば、オリブーに聞きたい事があったのだ。
「オリブー、ひとつ聞かせて欲しい事がある」
「ナンデスカー?」
デュノスはこれまで聞くべきか悩んでいた事を、二人きりになった今がチャンスとばかりに聞いてみる。
「オリブー、お前は、お前の中の人は……女性、なんじゃないのか?」
「……」
そう、以前から気になっていた。その性格からは想像しづらく、一度は何を馬鹿なと思ったが、ずっと気になっていた。オリブーは実は、女性なんじゃないかと。
「ドウシテ、ソウ思ウノデスカー?」
「仕草とか、雰囲気とか、だな。あと……」
デュノスは決意する。自分の事を、話す決意を。
「俺も……中の人は、女……女性、だから。だからなんとなく、わかるんだ」
「……」
オリブーが沈黙する。デュノスもそう告げた後、黙っていた。
中の人の事を詮索するのはマナー違反である。かつて自分はユミルに自分の中の人の事を詮索しないで欲しいとお願いした事がある。
にもかかわらず、自分はオリブーに中の人の事を聞いてしまっている。なぜか? 多分自分と同じ様に、中の人が女性である事をオリブーに期待したからだ。
オリブーも自分と同じ様に、中の人が女だとは言えずに悩んでいるのではないかと、そう思ったのだ。
「……デュノスさん」
沈黙を破り、オリブーが話し出す。
「ちょっと、二人っきりでお話ししましょうか」
そう言うオリブーは、いつものしゃべり方ではなくなっていた。
「やっぱり、あなたは……!」
パチン
オリブーは周りに人がいない事を確認すると、指を鳴らした。すると……
「え?」
「初めまして、かな? デュノスちゃん。いえ……なんて呼べばいいかしら?」
そこに立っていたのは、デュノスとオリブーではなく
「初めまして。私の名前は「握場 仁美」29歳、OLよ? よろしくね」
黒いセーラー服を着た黒髪の少女と、スーツ姿の女性。
二人の女性が、向かい合って立っていた。




