対埃政策
悲劇のニネヴェから脱出したアッシュール=ウバリト2世は臨都カルケミシュを拠点に、同盟国のエジプトと共にニネヴェ奪還を目指していたが、ハッラーン陥落とともに連合軍によって討ち取られた。
ニネヴェの徹底破壊から3年経って、アッシリアの徹底破壊を目標とする新バビロニアにとっては最後の目標であったカルケミシュの攻略。これは新バビロニアとって重大な事業であった。というのも、カルケミシュはその昔、鉄器兵器を最初に用いたヒッタイトの残滓のような都市であった。ネオ=ヒッタイトを征服したアッシリアにとって、カルケミシュもまた象徴的な場所であった。また大河川であるユーフラテス川を渡る浅瀬があることから発展してきたカルケミシュは交易上の要衝でもあった。つまりアッシリアの最後の都であるカルケミシュを征服することは、破壊するか否かに関わらず重要事項であったのだ。
一方でエジプト軍はアッシリアの臨都が危ういと知るや否や、アッシリアを緩衝国として残すことにより新バビロニアの伸長を抑えるべく、本国からカルケミシュまでの出兵を計画した。そこで独立軍を任されていたネブガドネザル2世は私にこう命じた。
「エジプト軍をどうにかしてくれ」
実に抽象的な命令だ。どうしようもないのだろうか。確かに新興国である新バビロニアにとって、大国エジプトとの戦争は絶対に勝たねばならない戦である。王が空位状態のアッシリアではあるが、まだ潜在的危険性は残っている。それに背後を向けてエジプト軍と戦うのは無理がある。となるとシリアでのエジプト軍迎撃は難しい話となってしまう。そこで私に「どうにかしろ」と無茶苦茶な要求をしてきたのだ。
そこで私は沿岸地域を進軍するエジプト軍を食い止めるため、エジプト軍が通過するであろうユダ王国に対し、対等同盟と勝利後のエジプト領シリアの一部割譲を提案した。ユダ王ヨシヤは快諾した。するとユダ王ヨシヤは私にこう告げてきた。
「貴方が来ることは預言の書により分かっていました」
「我々は貴方を歓迎します」
最初から思っていたことだが、異教徒としては謎の歓迎を受けている。ヨシヤが云うには、遠き東の地にも同じ神を崇める者が居て、私がその子孫なのだという。預言の書を確認させてくれと言う気にはならなかったが、「東の地」から来たことを知っているのはせいぜい新バビロニアの上層部くらいのもの。どこから情報が漏れているのだろうか。するとヨシヤは「預言の書」は第12預言書庫にあると言い、案内された。そして実物を見せられた。ここにはこれまでの預言という預言が収められているらしかった。




