第6話・始業式とプラネタリウムへ
夏休みも終わり今日からいよいよ2学期のスタートだ。僕はいつもより早く起きてある場所に向かった。
『少し早かったかな?』
僕は駅前にあるオブジェの前で美羽を待っていた。
しばらくすると駅前に一台のバスが停まりそこから美羽が降りてきた。
「あ、翼君おはよう」
「おはよう」
美羽と出会って1ヶ月経つが制服姿を見るのは今日で2回目だ。なんだか不思議な感じがする。
「今日は始業式だけですよね?」
「そうだね。始業式やってそのあと課題を提出だからね」
「早く授業やってみたいです」
美羽は1学期の終業式に転校してきたからまだ授業を一緒にやってはいないのだ。
「明日からは通常授業だからな」
僕と美羽は学校に付き教室へ向かった。教室にはすでに数名のクラスメイトが居た。その中には涼と青葉さんも居た。何やら涼はまだ課題をやっているみたいだ。
僕は涼の席の後ろにある自分の席に向かった。美羽も机にカバンを置くと涼のもとへ来た。
「みんな、おはよう。涼はまだやっているのか?」
「おはよう。涼ったら昨日残りの宿題やらずに寝たらしいのよ」
青葉さんは大きなため息を吐いた。そのため息は僕たちにも良く伝わってくる。でも去年や中学の頃に比べると涼はかなり進歩した方だ。中学の頃なんて最終日までやってないどころか手つかずのまま夏休みを終えたくらいだ。その時は先生から3日だけ猶予を貰い僕たちを巻き込んで何とか終わらせた記憶がある。
「翼君は宿題終わっているんですか?」
美羽が心配そうに聞いて来た。僕は涼とは違い毎日コツコツとやっていたのだ。
「先週に終わったよ」
話していおると黙々と課題をやっている涼がペンを机に置いた。
「よし終わった!」
涼はすぐに机の上にあった課題のテキストなどを机に仕舞った。机の上には何もなくなった。その机に倒れこんだ。どれだけ課題に力を入れたんだ。
「お疲れ。ところでしのぶちゃんは?」
僕は教室を見渡したがしのぶちゃんの姿がなかった。机にはカバンがないからまだ来て居ないのだろうか?
「そういえば居ないわね。また恒例のあれじゃない?」
「あー、あれか」
僕と水島さんはたぶん同じことを思っただろう。
「なんですか?」
美羽は不思議そうに僕たちに聞いて来た。
「そのうち分かるよ」
すると教室のドアが開きしのぶちゃんがやっていた。その両手には大きな紙袋があった。
「みんなおはよー」
「この気配は!」
すると突然涼が起き上がりしのぶのもとへ駆け寄り紙袋を持ってこっちに戻ってきた。まるで水を得た魚のように元気になっていた。しのぶちゃんも机にリュックを置くとこっちに来た。
「これお土産ね」
しのぶちゃんはいくつか紙袋の中からお土産を取り出していった。
「もしかしてこの紙袋全部お土産なんですか?」
美羽は物珍しそうに紙袋から出した箱を見ていた。確かに友達に買ってくるお土産にしてはかなりの量だ。でもこういうことを小学校の頃から毎年やっているのだ。しのぶちゃんの家にとってはこれくらい当たり前らしい。こんなに買ってくるならもう2泊出来るだろう。
「今回は京都に行ってきたの?」
「そうだよー」
青葉さんは箱を包装してある紙で旅行先を当てた。包装紙には清水寺などいろいろ有名な観光名所が書かれていた。
「今年もあれあるか!?」
涼は何かを期待しているらしい。
「あるよー。えーっと……」
しのぶちゃんは紙袋の中から次々お土産を取り出していった。
「あったあった。はい、これね」
しのぶちゃんは涼にお土産を渡した。涼はそれを手に取ると嬉しそうに舞い上がっていた。
「涼は何か頼んでいたのか?」
「おう、このテレビで見て食べたくなったんだよ」
涼は包装紙を剥がして中身を見せた。そこには〝抹茶クリーム大福〟と書かれていた。
「みんなにも買ってきたから食べてね」
しのぶちゃんは同じものをみんなに配った。
「ありがとうございます」
「まだまだあるからね」
そう言うとしのぶちゃんは持ってきていた紙袋から次々とお菓子の入った箱やストラップを出してきた。
「今回はいつもより多い気がする」
毎回買ってきてくれるお土産の2倍近くあったのだ。
「なんかあっちこっちで限定品とか売っていてね、つい買ってきちゃうの。これに入れて持って帰ってね」
そう言いながらしのぶちゃんは人数分の袋を取り出した。
「ありがとう。それじゃ今度は僕からみんなにお土産」
僕はカバンの中からお土産の入った袋を取り出し一人ずつ渡した。中身は全員別々だ。
「えっと、青葉さんはこの青いパワーストーンのキーホルダーでしのぶちゃんはマスコットご当地版のストラップ」
「ありがとう」
「ありー」
青葉さんとしのぶちゃんにお土産を渡した。
「いつの間に旅行行ったんだ?」
「今回は旅行じゃなくてお墓参りにちょっと埼玉まで。涼はこれな」
「おぉ、サンキュー」
「はい、美羽も」
「ありがとうございます」
僕がストラップを渡すと美羽は嬉しそうに受け取った。
「また増えましたね」
「そうだな」
そしてチャイムが鳴り今日も1日学校が始まる。と言っても授業はなく始業式と課題提出くらいだ。
朝の朝礼を終えると各クラスは体育館に向かった。
体育館にはすでにパイプ椅子が並べられており、僕たちは自分達のクラスの椅子に番号順に座った。
始業式は毎回長いから寝る生徒も少なくはない。校長先生が話しをしていると同じ列にいる涼はすでに寝ていた。
良く座ったまま寝られるな。
長い校長先生の話が終わりその後は生徒会からのお知らせなどがありようやく始業式が終わった。
「ふわぁ~、やっと終わったか」
涼は始業式のほとんどを寝て過ごしていた。
「あとは課題提出して終わりだな」
僕と涼は教室に向かった。
自分の席に着いて待って居ると先生が教室に入ってきた。
「それじゃ今から課題を提出する。忘れたものはあとで言いに来るように」
教卓に各教科の箱に各自やってきたテキストを入れていった。
「みんな出したか? それじゃ今から席替えをする」
先生がそういうと教室の中は騒がしくなった。
「はい、静かに。それじゃ今から番号を引いてもらうぞ」
そう言って先生は席替えBOXを教卓に置き、窓際の生徒からクジを引いていった。
全員が引き終わるとみんなは自分の荷物を持ち新しい席に移動した。
僕は窓際の一番前になった。今までの位置から前に移動しただけだ。すると隣に美羽が座った。
「あれ? 翼君の席ってそこなんですか?」
「そうだけど美羽はどこになったんだ?」
「私はここですよ」
なんと美羽の席は僕の隣だった。みんなは新しい自分の席に座った。仲のいい友達と近くで喜ぶ者や悔しがる者が居た。
特に涼としのぶちゃんは少し悔しそうだ。なぜなら2人の間には青葉さんが座っているからだ。今学期は2人とも監視されるだろう。
今日の予定がすべて終わり他のクラスより少し早いが僕たちは下校することになった。僕たち5人は一緒に学校を出た。
「やっと終わったーー!!」
涼は長時間同じ姿勢でいた体を解すかのように体を伸ばしたり軽いストレッチをした。
「この後みんなでどこか行く?」
「賛成―!」
「私も時間あるから良いわ」
「同じく暇なので」
どこかあるか考えていると美羽が提案した。
「あの、この近くでプラネタリウムってありますか?」
「あるけど車で行かないと厳しいね」
「お兄ちゃんに聞いてみるよ。確か大学はまだ休みだったはず。聞いてみるね」
そう言ってしのぶちゃんはポケットから携帯を取り出し兄であるタカさんに電話をした。
「美羽ってプラネタリウム好きなの? 私はあまり詳しくないんだけど」
青葉さんの〝詳しくない〟は僕たちにとっては〝詳しい〟に該当する。青葉さんは記憶力が良いため昔からゲームをやれば数時間でやり方を覚え、さらには涼を超えるほどの腕になる。そのため涼は未だに青葉さんとはゲームをあまりやらないのだ。
「昨日テレビで星座のことがやっていたので」
「それって各分野の先生が教えてくれる番組?」
「はい、その番組好きなんです」
その番組はまるで授業のように各分野の先生が学校では教えてくれない細かいことなどを教えてくれる面白い番組だ。その時間は他の局では面白い番組がないため学生たちは大体これを見ている。
「あの番組見てると疲れねぇ?」
「涼にとっては難しい番組かもね」
「なに!」
いつものように青葉さんが涼を小バカにしていると通話をしていたしのぶちゃんが電話を切った。話しがついたみたいだ。
「13時からなら車出してくれるって」
「今何時ですか?」
美羽の問いに対し涼が携帯を取り出し時間を確認した。
「まだ12時前だな」
「あと1時間以上あるからお昼食べ終わったらしのぶの家に集合でいいわよね?」
「いいよ~」
「それじゃ私はここからバスなので」
「またあとでねー」
美羽は駅の北口にあるロータリーからバスに乗り家に向かった。僕と涼と青葉さんとしのぶちゃんの家は駅の南口側なので駅を通り家に帰った。
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いよいよ学校が始まりました
次回はプラネタリウムへ行きます
@huzizakura




