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朝起きて身支度を整えて朝食へ向かう。
本日の朝食は以前食べたスープおパンだった。
お腹を満たし部屋に戻り旅に出る準備を行う。
準備を終えるとぐるりと部屋を見渡し、忘れ物がないか確認する。
「お世話になりました。」
誰もいない部屋へ向けて一言つぶやく。
部屋を出て出入口のある方へ向かう。
「もう行くのかい。」
「はい。お世話になりました。」
イーリャへ部屋の鍵を渡す。
ふと奥に見慣れない男性がいることに気づく。
「あぁ、あれは旦那だよ。今までは畑の方に見回りに行ってたんだ。ターダ・ベイに出くわしてたら村の者は怪我どころの騒ぎじゃなかったろうね。無事なのはあんたのおかげだよ、ありがとうね。」
そこへこちらの様子に気が付いた男性が近づいてくる。
「あんたか、あのターダ・ベイを倒したっていうのは。助かったよ、ありがとう。」
「いえ、たまたまですから。」
「それでも助かったんだ。本当にありがとう。」
目の前の二人に視線を向けると、穏やかな微笑みをうかべている。
「そうだ、ちょっと待っててね。」
そういってイーリャは厨房の方へ消えていった。
あまりの勢いに男性と目を合わせてしまった。
「すまないな、イーリャは思いついたらすぐに行動したしまうんだ。」
「あっ、いえ、大丈夫です。」
目をさまよわせながら答える。
「すまないね、よかったらこれ持って行って道中で食べとくれよ。」
イーリャが戻ってきたが、手には葉に包まれた食べ物を手に持っていた。
「大したものじゃなくて申し訳ないけどね。」
はみ噛みながらもサトミの手に持たせる。
「ありがとうございます。」
嬉しそうに笑うサトミを見て、二人も笑みをうかべる。
「気を付けていくんだよ。」
「はい、お世話になりました。」
頭を深く下げ、宿ゆるりの扉をくぐる。
また旅が始まる。
行先は決まっていない。
ただ道がつながっている先に向かうだけである。
「忘れてた。」
食べ物の確保をしていない。
旅の間、料理が壊滅的にできないサトミには保存食が必要不可欠である。
お肉を焼けば焦がし、なぜか中身は冷たい生のまま。
味付けをするとよくわからない何とも言えない甘い味になるか、しょっぱいか無味。
無味の時は調味料をしっかり入れている。
味見だってしている。
だがなぜ失敗するのか首をかしげるばかりである。
そのため料理に関しては諦めたのである。
まだ村を出ていない間に気が付いてよかった。
肉屋へ向かい干し肉を買い、店主にはおまけとして干し肉の端の部分が詰まった袋を持たされた。
その店主から、野菜が売っているお店に行くとお湯で戻してスープにできるものが売っていると情報をもらった。
その足で野菜売り場に行く。
「すみません、スープがあると聞いたのですが。」
「あぁ、あるよ。…あんたターダ・ベイを狩った人じゃないか。おまけするよ。買ってくかい。」
「はい、一袋ください。」
「あいよ、中にスプーンが入っていてね、コップ一杯分にスプーン一杯でできるよ。50ランね。」
お金を渡し、袋をもらう。
「おまけだよ、干した野菜も持っていきな。一緒に入れるとよりおいしく飲めると思うよ。」
「こんなにたくさん、ありがとうございます。」
「旅に出るんだろう、気を付けてね。」
「はい、ありがとうございます。」
この村には良い人が多かった。
ターダ・ベイを倒してからは騒がしくなってしまったが、嬉しさの勢い余ってのこと。
今度こそ村を出て、旅に出る。




