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その後無事に骨を店まで運び終え、皮を含め高く買い取ってもらえた。
「終わった…。」
ようやくすべてのターダ・ベイの素材を売り終え一安心していた。
今回の報酬はよかった。
しばらく働かなくてももつほどには稼ぐことができた。
気が付けば昼となっていた。
普段であれば昼は食べないことや安くて簡単に食べれるもので済ませることが多いが、今日は頑張ったご褒美として屋台を見て回ろうかと思った。
「あっ、あなたね、ターダ・ベイを狩ったのは。ありがとうね、よかったらこれ持って行って。」
そういって一つの果物を差し出していた。
「あ、いえ、あのっ…ありがとうございます。」
「姉ちゃん、こっちのも持っていきな。」
次々声がかかり、ゆっくり見ている暇はなくなってしまった。
屋台を見ることを諦め、宿へ帰ることにした。
「疲れた。」
ようやく宿に着き、部屋で一安心していた。
村の人たちが良心で声をかけてくれていることが表情からもわかり、あまり無下にもできなかった。
今回もらった食べ物を食べようと机に置いたものを見る。
まずは葉に包まれた先ほどからいい匂いのものから手をつける。
葉を広げると米の上に香ばしいお肉が乗っているものだった。
お米にたれが吸われ、口に入れるとピリッとした辛味もある。
あまり食べない昼ご飯だが、あまりの美味しさに手が止まらなくなる。
食後のデザートとして果物を食べる。
机に乗った残りの食べ物は明日食べるとして、しばらくは屋台に近づくことは避けようかと考えるのであった。
食休みで椅子に座りぼんやりしていたところへ扉をノックする音が聞こえた。
「はい。」
「イーリャよ。お客が来たんだけど、今大丈夫かい。」
「わかりました、今行きます。」
扉を開けると少し困った表情のイーリャがたたずんでいた。
「休んでるところ悪いね。村長が来ていてね。」
「村長が…ですか。」
「一緒に来てくれるかい。」
「はい。」
不安な気持ちいで手を握り、イーリャの後をついていく。
一つ深呼吸を小さくし、歩みを進める。
いつも朝食を食べていた部屋に着き、一人の男性が席についているのを見つける。
「急に申し訳ございません。村長をしておりますゴークと申します。」
席を立ち、丁寧に腰をおり挨拶をしてくる。
「初めまして、サトミです。」
村長にならい、サトミも腰をおる。
二人で向かい合って席に着くと、いつの間にか用意したお茶をイーリャが二人の前に置く。
「ごゆっくりどうぞ。」
イーリャはそのまま厨房へ姿を消していった。
「サトミさん、この度はターダ・ベイを狩っていただきありがとうございます。しばらく畑を荒らされて困っていたのです。」
「はい…。」
完全に委縮してしまっているサトミを前に、人の好い笑みをうかべてゴークは話を続ける。
「小さな村ですので、お礼はささやかですがお金を用意いたしました。もともと討伐した褒賞金として用意してはいたのです。お受け取りください。」
「ありがとうございます。」
少し重みのある袋を受け取る。
重さからそれなりの金額が入っていることが予想つく。
「いつまで村にはいらっしゃる予定でしょうか。長くいらっしゃるようでしたら、宿代を代わりにお支払いいたしましょう。もしよろしければ我が家に客間もございます。家内や息子も歓迎するでしょう。」
「いえ、明日には旅に出る予定です。」
「そうでしたか、残念ではありますが予定もございましょう。旅に必要なものなどで何かお困りでしたらお手伝いいたしますよ。その時は声をかけてください。村の中心地に我が家はありますから、ご用がありましたら来てください。」
「いえ、ありがとうございます。」
「突然訪ねてしまい申し訳ございませんでした。それではお暇いたします。お時間をありがとうございました。」
「こちらこそありがとうございました。」
ゴークは席を立ち、頭を下げると去っていった。
「話しは終わったみたいね。ちょうど6時よ、夕飯できているけど食べていくかい。」
「いただきます。」
「準備するから待っててね。」
相変わらず慌ただしく厨房へ去っていく。
準備された夕飯はお肉を焼いたものとサラダにスープだった。
スープはさまざまな香辛料がきいており、中の具材もとろみがありよく煮込まれているのがうかがえる。
動物の乳を使用した濃厚なスープだった。
お肉は赤身が少しあるくらいで焼かれており、ガクの実のスパイシーで香ばしい香りが口いっぱいに広がる。
どれも美味しい大満足な夕飯であった。
夕飯の後は明日からはまた旅に出るため、早めに就寝の準備をして眠りにつくのであった。




