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ツバサ  作者: ミズメ
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2/15

サクタ村 1

人口約100人ほどのサクタ村。

近くに川が流れており、のどかな様子がうかがえる。


「すみません、フールを1つください。」

フールは甘い果物でおいしい。

果物や野菜が並んでいる中で好物を見つけて気分が上がる。

「はいよ、1つ10ランね。」

恰幅の良い親しみやすそうな女性だ。

接客とはいえ笑顔が自然で素敵な女性だ。

「これでお願いします。サクタ村の宿はどの通りに多いんでしょうか。」

「ここから一つ隣の通りだね。そこの道から一つ目の道を左に進むとあるんだが、ゆらりっていう宿がこの村唯一の宿さね。」

実際に指をさしながら教えてくれてわかりやすい。

道を覚えるのが苦手なため、わかりやすく助かった。

「ありがとうございます。」

女性に一つお辞儀をし、その場を去る。

手元にあるフールをみて口角が上がる。

一口かじると甘さが口の中に広がり、とてもおいしい。

かみしめながら深く息をはく。

道を曲がってから気を引き締めて進んでいく。

道順を何度も頭の中で繰り返しながら進み、無事に宿の看板ゆらりを見つける。

「よかった…」

安堵の息をはき、扉をくぐる。

「いらっしゃい」

切れ長の目をした女将が出迎えてくれた。

「あの、5日お願いしたいのですが…」

「朝食付きで一泊2ルン、5日だと10ルンだね。いいかい?」

「お願いします。」

「この村には来たばかりかい?畑がある森の近くは気をつけてね。最近畑が荒らされることが多くてね。ここに名前をお願いね。」

「はい。」

出された紙にサトミと書く。

「珍しい名前だね。もしかしてかなり遠くから来たんじゃないかい?」

「あの…まあ…そうですね。」

「私はイーリャっていうの。よろしくね。鍵はこれね、階段上がって黄色い看板がかかっている部屋だよ。」

「わかりました。ありがとうございます。」

鍵を両手で握りしめ、お辞儀をしてから進む。

「黄色い看板…」

宿の中は小さなお花が飾られていたりときれいに管理されていた。

黄色い看板を見つけ、中に入る。

「緊張した…」

サトミは人見知りが激しく、部屋に入るなり力が抜けた。

部屋は椅子と机、ベッドがあるのみで簡素だが、居心地の良さがある雰囲気だった。

椅子に座り、先ほど購入したフールの残りを食べ、今後について考える。

まずはこの周辺の情報がわからないため、地図を手に入れたい。

その後は出費もあったため稼がないといけないことをふと思う。

「この村の人たち、どのくらいの能力を持っているんだろう?」


この世界には能力を持って生まれる人がいる。

少し早く走れる能力と呼べるか不思議なものから火を出し戦う力を持つ者から様々である。


「今日はゆっくりして、明日からにしようかな。」

宿にお風呂があるか確認していないことを思い出し、重い腰をあげる。

部屋を出るとイーリャが取り込んだ洗濯物のシーツを持ち、歩いている後ろ姿を見つけた。

「す、すみません、、お風呂はありますか。」

イーリャは振り返り、瞬きを繰り返す。

「あぁ、言ってなかったね。お風呂は沸いてるよ。夕方4時から日付が変わる時間までだね。」

「わかりました、ありがとうございます。」

お風呂の準備をして向かう。

お風呂は今の時間人がおらず、貸し切りの状態だった。

「よかった…。」

背中にある痣を見られたくなかった。

翼の形をした痣を。

急いでお風呂に入り、人がいない今のうちにと全身を洗い急いで出る。

部屋への帰りに同じ宿泊客とすれ違い、急いでよかったと安堵する。

その日は部屋に戻り、旅の疲れを癒すためベッドで眠りについた。

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