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村へ戻るとまずは村長の家へ行くこととなった。
「村長、居るか」
問いかけながら扉を叩く。
ノーイは気が急いているのか扉を叩く力が少し強い。
扉が開き、年配の男性が顔を出す。
二人の様子を見てただ事ではないことを察して一瞬にして表情が険しいものへと変わる。
「何があった」
「人攫いが出たかもしれないんだ、子どもたちがいない。」
「向こうで車輪の後を見つけたの。うちの子を助けて…」
「動けるものを広場に集めよう。どこへ向かったか捜索しながら動くことになるな。」
そこからの動きは速かった。
広場にはあっという間に人々が集まり、情報交換を始めていた。
「子どもたちが攫われたらしいな。」
「森の方だろう」
「最近は無かったのにな」
いろいろな声が飛び交っている。
「余所者が来たからよ。」
ふとそんな女性の声が聞こえてきた。
サトミは声の聞こえた方へ顔を向ける。
「最近攫われることなんて無かったじゃない。余所者が来たら起こるなんて、信用して村へ入れるからこんなことになったのよ。」
だんだんと女性の声に力が入っていく。
サトミの方へ向けて声を荒げる。
「リルが帰ってこないのはあんたが何かしたんだろう、あんたのせいで」
「余所者って…」
「ほら、昨日の」
広場に集まった者たちの表情は疑心暗鬼にとらわれていた。
視線がサトミへと集中する。
複数の視線に晒され、何も考えることができずに混乱していく。
呼吸の仕方を忘れてしまったような感覚になっていく。
「一旦家にいてください、さあ、早く。」
頷きを返しサトミは家へ戻る。
一人になると冷静になれた。
善意を無下にされたこと、皆の役に少しでも立てたらと思ったこと、全てを否定されたような気持ちになる。
荷物をもって外へ出る。
村から出ようと歩き出す。
数歩歩いて立ち止まる。
ナノカは未だに見つかっていないこと、皆が心配そうにしている様子、取り乱していた様子を思い出す。
深く呼吸を一つする。
視線はいなくなったという森へ向く。
やはりサトミは見捨てるという選択はできないのだなと苦笑する。
村の子どもたちを探すため森へ向けて歩き始めた。




