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翌朝、日の光が窓から入ってきて目が覚める。
ナノカも一緒に目が覚めたようで起き上がっていた。
「お姉ちゃん、おはよう。」
「おはよう。」
軽く髪を手櫛で整える。
ナノカと一緒に一階へ降り、外にある水場へ向かい顔を洗う。
ようやく目が覚めた。
家の中に戻ると、ノーイが調理しているのか朝食のにおいが漂っている。
昨日の食卓の席に向かうと、台所に見かけない女性の姿もあった。
「お母さん」
勢いよくナノカがかけていく。
「ごめんね、心配かけたね。」
「もう大丈夫なの」
ナノカが問いかける。
「ナノカの持ってきてくれた薬のおかげね。ありがとう。」
「あのね、お姉さんに助けてもらったの。」
そこで女性がサトミに顔を向ける。
「あなたが。ナノカを助けてくれてありがとうございます。カヤです。今朝食を準備しているので座って待っていてくださいね。」
「サトミです。お邪魔してます。」
サトミは邪魔にならないように席に着こうと動く。
「あのね、お姉ちゃんすごかったんだよ。弓で倒したんだよ。矢が光ってね、すごかったんだよ。」
爆弾の投下である。
サトミの時が止まった。
「矢が…光ってたの…」
カヤの不思議そうな声が聞こえる。
台所にいたノーイもこちらに視線が向いている。
終わった。
ナノカは不思議そうな顔で首を傾げる。
「あっ、あのっ…」
何とかごまかさなければいけないという気持ちと、突然の出来事に大混乱である。
頭の中はまとまりが無くなり、続く言葉が浮かばない。
「朝食を先にしましょうか。それからでも大丈夫ですよ。とりあえず座ってください。」
目の前で慌てるサトミの様子を見てかえって冷静になれたのか、カヤは優しい声で言う。
サトミはなぜかカヤの声に少し安心してしまった。
「はい…」
サトミは止まっていた体を動かし、椅子に座る。
その空気に気が付いてしまったのか、ナノカは困ったような悲しげな表情をしていた。
「ごめんなさい。」
うつむき、自身の洋服を握りしめている。
「大丈夫よ。」
カヤはそんなナノカの頭をなで、優しい表情を浮かべている。
そんな空気を変えるべくノーイが皆に向け声をかける。
「とりあえず朝食にしましょう。お腹が減ったでしょう。」
食卓に朝食を並べ、皆で食べ始める。
微妙な空気の中、美味しいはずの朝食の味がわからず過ぎていくのだった。
朝食を終え、サトミ、ナノカ、ノーイ、カヤが席についている。
「光の矢ということは、あの一族の方なんですね。」
微妙な空気の中、最初に口火を切ったのはノーイだった。
もう免れることは難しいだろうと覚悟を決める。
光る矢など、サトミの一族しか一致する者がいないのである。
「はい、お察しの通りです。」
「そうか…今まで大変だったでしょう。我々も人さらいに未だに合うから警戒をしていてね。この見た目だ、物珍しさからたまにだが誘拐されるんですよ。あなた方には申し訳ないがあの事件があってから大々的に攫われることは無くなりましたがね。」
サトミの一族はある島にのみ存在している、とても珍しい者たちだった。
だがなぜか島の向こうの人たちに気づかれ、盗賊のような人たちに荒らされ、攫われて行ってしまったのだ。
運悪く日中に襲われ、逃げることもできず一族はその島から姿を消したのである。
その惨劇を知った島の向こうにある国の王様が人さらいが横行しないよう制度を作った。
中にはその一族の一人に一目ぼれして、その女性を調べるうちに内情を知った王様が行動を起こしたのだと噂する者もいた。
一族は外を恐れていた。
恐れていたのに起こってしまった悲劇。
海を渡れば翼を失う。
そう思っていたのに、翼のみならず島からは人が消えてしまった。
「このことは我々のうちにとどめましょう。ナノカ、絶対に、絶対にこのことは誰にも言ってはいけないよ。」
真剣な表情でノーイが言う。
あぁ、悪い人ばかりではないのだと思う。
ここで簡単に信じてしまってよいのかと思う気持ちもあるが、本能がこの人たちは大丈夫だと感じる。
「わかったよ。しーだね。」
「そうだよ、しーだ。」
ノーイとナノカが口に人差し指を添えて真剣な表情で言っている。
本能は大丈夫と言っているが、その光景に少し不安がよぎってしまう。
だが信じるしかない現状、サトミはただその光景を見ていた。




